1 エルヴィン・スミス

形崩れのオムライス

この題名を見て肩を震わせるのはお前くらいだろう。

出逢って二ヶ月。
丁度一ヶ月前の今日はお前が土産にと買って帰ってくれた甘いそれを食べさせ合った事をよく憶えている。あれからもう一月が経った訳だが…時が経つのは早いものだな。

偶にふと考える。あの日あの時、もしも出逢った相手がお前では無かったらと。お前が私以外の手を掴んでいたらと。そう考えるだけで寒心に耐えない思いで身が震えてしまう。
改めて私達を巡り逢わせてくれたあの場所に、感謝の意を示したい。

きっとあの頃の私にはまさかお前とこのような関係になるなどとは想像も付かなかった筈だ。お前もそうだろう?
此奴には十分に気を付けろ、と出逢った当初の自分に会えるのならば執拗に言ってやりたい。それを知らずして油断をし、まんまとお前に心奪われ惚れ込んでしまったのだからね。全く…一体どうやって責任を取ってくれるつもりだろうな、リヴァイ。

お前に出逢えて良かったと心からそう思う。この二ヶ月間、本当に満たされるばかりで確かな幸せを感じていた。
さて…オムライスの次は何を作って貰おうか。お前の愛情が注がれた手料理を食べれるのは私の特権なのだから。


私の唯一の最愛へ。
この先もどうか、私の傍らに。
2 リヴァイ
…………あのオムライスは記憶から抹消してくれ。料理なんざろくに出来ねぇのに人様に食わせようと思った俺がどうかしていた。しかし、お前は美味いと言ってくれたな。いい旦那になるぞ、きっと。


お前の言う通り、あの頃はここまでの関係になるとは思っていなかった。予想外の展開だが俺は満足している、毎日毎日お前と共に居れて幸せだと思う。だから昔のお前には注意するなよ、警戒されて今の関係になれるのが何ヵ月先になっちまうか分からねぇからな。

俺の一生で責任とってやる。有り難く受け取れ。