1 アルミン•アルレルト

僕の大好きな幼馴染みに宛てて

こんな風に、いつも隣に居てくれるエレンへ改めて文字を綴るのは何だか妙に照れ臭くて、なかなかくすぐったい。でも今日はせっかく君と過ごして1ヶ月めだから、伝えた通りこうして手紙を綴ろうと決めていた。書いては消して書いては消してを繰り返していたら遅くなってしまったけれど。ちょうど1ヶ月前の今日、君が僕の名を呼んで、その手を伸ばしてくれた事を今でも覚えているよ。あれから月が巡って、こうしてまた同じ形の月を君と共に眺められる事がすごく嬉しい。

いま思うと君に惹かれる切欠となったのは、エレンが僕の「還る場所」になると言ってくれた時だと思う。父さんも母さんも今は居ないけれど「おかえり」も「ただいま」もこれからは君に言えば良い。それに何だかすごく安心して、エレンともっと話したいと純粋に思ったんだ。…ただ問題は、君の用意してくれたこの居場所は暖かくて、大きくて、とても優しいから、少し気を抜いただけで沢山甘えてしまいたくなるという事だ。それでも僕は強がりで、何でもない顔をして君への言葉を幾つも飲み込んで来た。

だけどきっとこの無意味な強がりもその内続かなくなってしまうんだろう。君が好意を口にしてくれる度に、どんどん小さなプライドさえ保てなくなって来ている僕がいる。誰かを、君を…―好きになるってこういう事なんだ。それを妙に実感した時に少し悔しくて、とても照れ臭くなったよ。今でもこんなに君の事で頭がいっぱいなのに、これ以上にもっと夢中になれなんて言う君は、やっぱり狡い。

どうかこれからも僕の隣に居て、また君と一緒にこの日を祝わせて。1ヶ月傍に居てくれて本当にありがとう!
2 エレン・イェーガー
…間に合った!改めて言葉を贈るのって意外と緊張すんだな。肝心な時に限って巧い表現が出てきやしねぇ、そんなワケだから間違っても期待だけはすんなよ!クソ、お前が綺麗に綴るからオレの残念な言語力が丸出しじゃねぇかっ…―やべ、話が逸れる勢いだった。

お前はオレを「特別」だとか大袈裟に言ってくるが、やっぱり今でも簡単に頷く事ができねぇよ。居場所も何でも単にオレの願望であって目標に過ぎねえからだ、――…オレたちがこの世に生きる限り、喜びも悲しみも怒りだって全部経験する。そんな時に誰かが隣にいてくれたら、絶対嬉しいはずだろ?そんな存在になりたいと思った…、お前の純粋な笑顔見てからずっと。否定される前に言うけどよ、やっぱりお前は純粋なヤツだと思うぜ?それが可愛くて何つーか…、愛しい――わ、笑うなよ!?

純粋過ぎて触れたら壊れんじゃねぇかとか、悩む事が多すぎてオレの思考が爆発しそうだ…!でも、アルミンの嫌がる事は絶対にしないッ…仮に進展が遅くてもその過程を大事にしていきたい。それで、お前がオレに興味持った時は色々言わせてやる。今、意地悪だと思ったか…?今更だぞ。頑張れ、オレ!ま、安心して傍にいろよ。絶対、大事にするし幸せにしてやる。

今日で一ヶ月、…――明日からはまた違う探検だ!アルミンとならどこへだって行ける気がするぜ。勇気を振り絞った手をオレは離さねぇから…お前は黙って握っとけ。溢れる幸への感謝は絶対に返すからな?…アルミン、大好きだ!オレの事もずっとずっと大好きでいてくれ!
3 アルミン・アルレルト
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 エレン・イェーガー様

君に倣い、今日は手紙という形でエレンへ想いを綴る事にしてみました。

当日のお祝いは出来なかったけれど日記を書いて一ヶ月、本当におめでとう!
すぐにやめてしまう人だって少なくないのにこうして今も書き続けている君へ、僕は尊敬の念を抱かずにはおれません。それに何より君の日記には本当に僕の事ばかりが書かれていて、それがとても幸せな事だと、どうしたら上手く伝えられるでしょうか。

…本当にね、気が付くといつも顔が弛んでしまうんだ。
ミカサにも僕はとても幸せだって伝えたい。エレン、いつもありがとう。

僕も君が大好きだよ、大事な親友で恋人で誰よりもかけがえのない君と、
――…ずっとずっと先の未来まで、傍に居ると約束するから。
沢山の感謝と愛を、君に。

  アルミン・アルレルト

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4 アルミン・アルレルト
今日で君と出逢えて2ヶ月を迎えるね、エレン。だから再びここに言葉を綴るよ。
君の本に書こうか少しだけ悩んだけれど、少しずつここの数が増えて行くのも嬉しいから。

最近は以前に比べて君と沢山話せる事が増えたと思うんだ。
それは僕が会いたいと言った結果だったり、君が急におはようを言ってくれたからだったり。
これは1ヶ月前の僕達には無かった出来事だ、エレンとの距離が縮まっているんだなと実感出来るよ。

……君が居て、僕が居る。
これがこの先ずっと当たり前に感じられたら、それはどんなに素敵な事だろう。
ねぇ、エレンのお陰で僕はこんなにも幸せな気持ちになれるんだよ。
僕の心の中を、君に見せられたら良いのに。

最後に。
僕の大事な幼馴染みがこの先も幸せであれる事を祈って。
この間見つけた四葉のクローバーをこの手紙と共に添えるよ。

いつでもエレンの事を愛してる。
5 エレン・イェーガー
少し出遅れちまったが、二ヶ月をお前と迎えた事実は変わらねぇし感謝と幸せの言葉を綴っとくぜ。最初の頃は普通に幼馴染の会話だけで「好き」なんて言葉が頻繁に飛び交う事すらなかったよな、…―でも今はどうだ?沢山の愛情表現をお前に向けてる。バカの一つ覚えになってるかもしれねぇけど、それは本心っつーか…お前だから言ってるんだ。愛してなきゃそんな言葉、オレが言うワケねぇだろ!?理解しとけ。

この距離が縮まった期間に、お前を傷付けた事や不安にさせちまった時も絶対あるはずだ。それでも隣にいてくれる今が嬉しくて感謝をどう伝えていいのかも分からねぇ、…でも、とりあえず傍にいる事にする。オレの居場所はお前の隣で、お前の居場所はオレの隣だからな。そうだろ?

…なあ、アルミン。もう夏も終わって新しい季節が来るぞッ!次は二人でどう過ごすよ?お前と過ごす時間がスゲェ幸せで愛しい、オレの幸せはクローバーがあってもお前がいなきゃ本当の幸福とは呼べねぇよ。だから、…――イイ事思い付いた!お前が褒めてくれた想像力を働かせてみたぞ。今度、頼むから待ってろよ!

愛してるぜ、アルミン。
ずっと二人でこの世界を生きような?
6 アルミン・アルレルト
久しぶりに日記ではなく此処へ、何故だか無性に書きたくなった。
以前に僕が手紙に添えたクローバーを、君が大切に持っていてくれたからかもしれない。

僕が以前に書いたのが8月。そして今はもう12月。
暑いから君と同じ布団で寝ると汗だくだ、なんて笑っていたのに、今は君が僕の暖房がわりになっている。

いずれ君と共に歩んでいるこの道が分かれる事も有るだろう。
エレンが左、そうして僕は右の道を選ぶ事が有ったとしても、僕らの目指す場所は同じだよ。
だから最後にはまた2人、同じ一本のこの道に辿り着ける。
僕はそう信じているんだ。

覚えていて、エレン。
炎の水や氷の大地、砂の雪原も、大きな青い海だって。全てを共に見る事が出来たとしても、君と僕の冒険はずっと終わらない。
春の花も夏の風も秋の香りも冬の静けさも、これからも君と知って行きたいんだ。…そう、最後の時まで。

ずっと幼馴染みでいた僕らだから、この先もずーっと幼馴染みで居てくれる?
僕の幼馴染みで親友で恋人で、未来の旦那様になる君へ。
今までもこれからも、大好きだよ。
7 エレン・イェーガー
 01/28/7回目の記念日。

今回はお前が用意してくれたこの場所に想いを綴ろうと思う。確かこの場所はアルミンが悩みに悩んで書いた場所だ。オレにとっては大事な場所だし、数が増える度に貴重な時間を積んだって感じられる。それよりお前、題目っ…いくら何でも直球過ぎやしねぇか?毎回見るごとに目を薄めちまうよ。ったく、恥ずかしいだろ。

なぁ、…――アルミン。お前が好きだ。何度伝えたって胸の内側に潜む全部の愛情を伝え切れない現実が時々歯痒くて仕方ねぇ。でも本気で好きなんだ。普段は照れて言う機会を逃してるだけに過ぎねぇ…、オレだって言う時は言う!何なら質問攻めでも何でもしてみろよ。時間は掛かるが、全部答えてやるさ。…悪いが、嫌いなトコは答えてやれねぇぜ?嫌だと思った事なんて一度もねぇんだからな。は?当然だろ。

アルミン。まだ先の話だけど、1年記念日にはお前に指輪を贈るつもりなんだ。その時は薬指に嵌めてやるな?誰かに盛大に祝福されながらってのもアリだが、誰も知らない場所で二人で永遠の愛を誓い合うのもいいと思うんだ。…って、まだまだ先の話なのにな。今でも確かな愛情を感じる割には贈れない。やっぱり、お前と出逢ったあの日に贈るのが夢なんだ。オレらしいだろ?笑いたきゃ笑えよ。……バカ野郎!

アルミン、この先もオレにはお前が必要だ。ずっと傍にいてくれ、…頼むぜ?
8 エレン・イェーガー
 03/28/9回目の記念日

雪が溶け始めて最近は何か春の匂いがする。ああ、春が来るんだ!綺麗に草花が開花した時は真っ先にあの場所へ体が勝手に飛んでっちまいそうだぜ。早く探したい。お前に贈りたい。あ…、駄目だな。確か二人で探すんだっけ。了解だ。

『――…君は今、幸せ?』
あの頃に聞かれた言葉だ。愚問だな。幸せ過ぎて怖いぐらいだ。幸せな時間も言葉も、全部同じ奴がくれる。些細な事から時々大胆な事まで、お前すげぇよ!アルミン。普通に話して目が合って、触れたり特別な事したり…難解な壁も越えた。もう隔てる物がねぇよな?臆病なお前と心配性のオレが、お互いに捧げた。時間は掛かったが、それは問題じゃねぇ。……オレ、本当嬉しかったんだ。今でもあの感覚を思い出すと感極まって涙が出てきそうだぜ。煩ぇ!

アルミンがいればオレは幸せだ。代わりは勿論いねぇ、お前がいい。なぁ、お前は今幸せか?頑張り屋のお前に負けねぇようオレも頑張る。――…結婚するか。掴んだ手を絶対離さねぇし、独りにもしない!約束だろ?この世界でお前という人間に出逢えて良かった。この先もずっと隣で顔を眺めてぇ、見せろよ。可愛い姫様?
9 アルミン・アルレルト
06/28/12回目の記念日

エレン、君とこうして過ごしてもう1年目だよ。
この1年間色々有ったような気はするけれど、こうして振り返ってみると案外僕らの「何か有った」は他の人達から比べると至極平和な物なのかもしれない。それだけ君と過ごす時間は穏やかで、例えるなら緩い坂道を一緒に歩く様な、そんな日々と言えるだろう。僕は元々のんびりしているけれど、もしかしたら…やっぱりエレンは僕に多少なり合わせてくれていたりしたのかな?もしそうなら、本当にありがとう。君だからこうして以前と変わらず二人で同じ様に言葉を交わせてるんだと、本当に思うんだ。

1年を迎えた僕の大好きな幼馴染へ。
エレンと出逢えて本当に良かった。1年目もこうして胸を張って君に言える。ねえ、それって本当にすごい事だと思わないかい?でも今の僕ならわかるよ、きっと2年目も3年目も君に同じ事を言える気がする。

これからもずっと一緒に同じ夢を君と追いかけさせてほしい。
大好きだよ、僕の大切な君へ。1年分のこの思いがどうか伝わりますように。
10 エレン・イェーガー
06/18/残り10日で、

お前との特別な関係も3年だ。

今頃お前は真っ白な紙と向き合ってオレに頼まれた通り一生懸命書いてる頃か?一緒だな。お前は知らねぇと思うが、同時に愛を綴るのが今回の作戦だ。偶には驚かさねぇと。然し何だ、改めて何か書くのは相当難しいな。かれこれ30分が経過してるぞ…!―…なら、好きだぜ。アルミン。取り敢えずこれは残したい。色々喧嘩や気持ちが擦れ違う事も何度かあったけど、最終的に今も変わらず隣にいるのはお前が誰よりも大切で大好きな奴だからだ。

最近少し好きって言える回数が増えた気がするんだ!お前の喜ぶ顔も見れるし、偶には素直さを押し通すのもアリだな!変に意識すれば負けな気がするし…、嘘だ嘘。
最近言えるのは感情が溢れてる所為だ。好きって凄ぇ伝えたい。何でだろうな、好きな事は今に始まった訳じゃないのによ。お前といると色々知らなかった感情が湧き上がる。嫉妬深いのは知ってたが、実は寂しいって気持ちも好意がこんな溢れて言葉にならねぇってのも全部お前を通じて知った感情だ。それが新鮮で変な気持ちだな。お前から目が離せねぇよ。

なぁ、…アルミン。好きだ。お前の事誰よりも好きだぜ。この先もずっと一緒だ。アルミンがいれば平凡な日常も輝きに変わる。そんな時間がオレにとっては特別で大切で…捨てられねぇ時間だ。お前の顔を近くで見て話して触れて、大切なお前を愛していきたい。3年後も、その先もずっとずっとだ!

はは、これだけ書くのに1時間半も掛かっちまった。頭が疲れたぞ…っ、よしアルミンに逢いに行くか!
11 アルミン・アルレルト
ここに綴るのは本当に久しぶりだから少し緊張しちゃうな、でも今日はここに書こうって決めていたんだ。エレンの思惑通りとはいかなかったけれど、お蔭で最近エレンの事ばかり考えていたよ。だからこれを書いている今、とてもエレンの顔が見たい。きっと急いで帰って来てくれるだろうし、もう暫くおとなしく待ってみる。

ねぇエレン、大好きだよ。こうして改めて書くと、いつも言っている言葉なのにやっぱり照れ臭いな。だけどエレンが書いてくれたのに僕が書かない訳にはいかないじゃないか。好きって言葉も最初はなかなか伝えてくれないエレンの代わりに僕が沢山好きだと言えば良いと思ってた。それが以前からは考えられないくらいエレンが色々僕に言ってくれるようになったから、この勝手な僕だけの使命感も必要なくなってさ。それが嬉しくて未だ馴れなくて、すぐ照れるって君に言われる始末だけれど。今は、――…それでも沢山エレンに好きだと伝えていきたい。言葉は人間にのみ許された意思疎通の最上の手段だと思うし、何より僕に言われ慣れてしまった君をもっとこの言葉に溺れさせたいんだ。エレンはそういう所、本当に単純だろ?…大好きだよ、エレン。ほら、また少し僕の事を好きになってくれた、なんて。はは、冗談だよ。

一年過ぎて二年過ぎて、そうして三年目を迎えて、飽きるって単語は僕らの中から欠落したのではないかとさえ思える現状といえるだろう。それが堪らなく幸せで嬉しいよ。エレンもそう思ってくれていたら良い。また二人で並んで沢山の物を見に行きたい。色々な経験も共有したい。もっともっとエレンと一緒に居たいよ。三年なんかじゃ全然足りないんだ。君との歴史が僕の当たり前になって、この先もずっと続くと信じてる。エレン、エーレーン。エレンが帰って来る前にこの手紙を書き上げようと思っていたのに間に合わなかったみたいだ。本当は0時ピッタリに手紙を書き上げる予定だったんだけどなあ。僕はどうにも鈍臭すぎていけない。今夜もまたエレンにおかえりって言えて嬉しいよ。僕のいる此処が君の帰る場所だから、これからもずっとエレンにおかえりって言い続ける。

大好きな僕の幼馴染へ。おかえりなさい。
12 アルミン・アルレルト
久しぶりにこの場所を思い出して、日記を読んだらエレンの書き込みが有って驚いた。そして僕は残念な事にすっかり日記の鍵を忘れてしまったから、君が気付くかわからないけれどここへ。久しぶりにエレンに、文字を綴るよ。

エレンに新しい家族が出来たみたいで、僕も嬉しい。上手くやれそうかい?ちゃんと有言実行しろよ、君はすぐ調子の良い事を言うんだから。どうかその人を大事にしてあげてほしい。

親友に新しい家族が出来て良かった。
エレンの幸せを、遠くで祈ってる。
13 削除済