1 エレン・イェーガー

Zwei.

兵長。貴方が居たから、貴方が見放さずに居てくれたから、俺はこうして立ち上がれた。…足を絡め取られて沈みかけていた腕を引き上げて、自暴自棄になっていた俺を生かしたのは、誰でもない貴方だ。
確かにあの時とは何もかも変わっちまったけど……俺、幸せですよ。だって、こうして貴方の横に並んで、堂々と陽の下を歩ける。人間としての極々当然の幸せをちゃんと噛み締められてる。

もう貴方の背中を見るばかりのガキの俺じゃない。…と言えば、貴方は少し寂しそうにその睫毛を伏せるだろうか。
ね、兵長。いつか二人で海に行きましょう。俺が貴方を連れて行きます。巨人共を残らず駆逐して。
禁書に見る海ってヤツは、何処までも際限なく広がっていて、地球の輪郭通りに丸くて、気が遠くなるくらいの碧色だって…知ってましたか、兵長。
終わりない景色を、貴方とだから一緒に見たい。


ふたつめ。