1 ベルトルト・フーバー

mein Lieber

出会って一日目で告白なんて、こちらの世界の僕はずいぶん生き急いでるみたい。

だって仕方がないよね。
僕はいつだって君の隣で、君の一番近くで、君の紡ぐ言葉を聞いていたいんだ。

可愛い可愛い僕の君へ。

追伸
最近、僕のこと可愛いって言いすぎ。
そのうちお仕置きするから、覚悟しておいてね。
2 削除済
3 ベルトルト・フーバー
前に君に花言葉を冠した日記を贈ったことがあるね。

それを思い出して今日は花屋を覗いてみたんだ。
君には向日葵を、僕には竜胆を。花束にして君にとどけに行くよ。
今の僕たちに相応しい花を選んだつもりだけど、君は気に入ってくれるかな。

花屋の香りで思い出したんだ。
君と初めてデートしたときのこと。
君との距離が近くて、触れてくる君の指に心臓が跳ねたこと。
君のにおい、君の体温、君の声も、君の笑顔も、泣き顔だって。
全部独り占めしてしまいたいくらい愛おしい。

大好きだよ。
4 ベルトルト・フーバー
君に、素直に寂しいと言ってもらえることを嬉しいと思う。
君の押し殺した末の我が儘に、安心している自分が居る。

僕の隣にいるのが君で良かった。
僕は飽き性だから、君が最初から素直だったら、こんなに長くは続かなかっただろう。
僕は本当は良い人でもないから、君がもう少し我が儘だったら、こんなに可愛いとは思わなかっただろう。
僕の心臓にぴったりと嵌まるみたいな、君の素直さと我が儘が愛しくてたまらない。
もう君じゃないと駄目なんだ。

…惚れた弱みとは言ってみたけれど、まったく僕のこれは重症だな。
5 ベルトルト・フーバー
君からの、まさかの告白。
楽しみすぎて眠れないなんて気分を久し振りに体験したよ。
子供の頃、朝市に連れて行ってもらう約束をした日みたいに、わくわくして、どきどきして…ああ、早く約束の日が来ますように。
君への最初の贈り物も決めてあるし、僕たちの新居に置く家具もいくつかは見繕ってある。
部屋の内装は簡素に過ぎるくらいだから、君が気に入ってくれるか少し心配だけど…家のことは僕に任せるって言ってくれたから、頑張るよ。
式や新しい生活のことはこれから色々と話し合わないといけない部分も多いけど、引っ越しの日までにゆっくりと二人で決められたらいい。
さて、これが終わったら部屋に戻って家具のカタログをチェックしよう。
早く君と過ごす家に相応しい家具をそろえなきゃ。
6 ベルトルト・フーバー
一つは出会った頃の僕達に、
一つは砂漠で過ごした僕達に、
一つはこれからの僕達に。

新居の枕元に用意しておくよ。
君の左手の薬指は僕が貰ってしまうから、そうしたら鎖を通して首に下げよう。
君がどんな姿になっても、君を見失わないように。
7 ベルトルト・フーバー
運命の日まであと9日。
君への指輪はきちんと用意した。
新居に入れる家具や装飾品もあと少しで全部揃う。
あとは二人の日々を残せる日記帳を用意して…それから、二人の部屋の見取り図も書かないと。
三つ目の記念日はきっと素晴らしい日になるだろう、いいや、してみせる。
一年後の僕に誓って。
8 ベルトルト・フーバー
君と二人で無事にこの日を迎えられることに感謝を。

失うことを恐れる君に、僕が示してあげられるものは約束の言葉くらいしかない。
沢山の時間をくれる君に、僕が差し出せるものなどこの心くらいしかない。
一人で戻る道などとっくに失ってしまった。
それでもこの美しく時に残酷な世界で僕を選んでくれたから。
君が僕の盾になって僕を守るというのなら、僕は君の剣となって君の行く道を切り拓こう。
そして…そして、願わくば君が息絶えるなら、それが僕の隣でありますように。
燃え尽きて骨になったら、その骨を僕に拾わせて。
9 ベルトルト・フーバー
早起きが苦手な僕が、今日は少しだけ早起きをしてみた。
せっかくの記念日だから、君が起きるまでに身なりを整えてせめて格好良いところを見せてやろうと思ったのに…
めったに見られない君の寝顔を見ていたらそんな計画も台無しで、結局寝癖も直せないまま君のおはようの声を聞いた。
だって、君が寝言で僕の名前を呼ぶんだもの。目が離せるわけがないじゃないか。
僕に対しては我儘でかっこいい君が大好きだよ。

結婚式まで残り11ヶ月。今日は手のひらにキスを贈ろう。
(僕の言葉が降り積もって、君をすっかり埋めてしまえればいい)
10 ライナー・ブラウン
なんでもない日おめでとう。
意味はお前に伝わっていればいいんだ。

結局一日遅れ、になっちまったが。

お前が最近いつもに増して本を借りて来るから一番は栞を探してたんだ。
出来れば鳥のシルエットの。
アルミンやマルコに聞いて非番の時によさそうな雑貨屋やら書籍のある店を何件か廻ったが結局好いのは見つからなくてな。
妥協したと言えば其れまでなんだが…前にミーナが進めてくれた店を思い出して。そこに色んな鳥が居てな。
お前が喜びそうな色をしたのとお前に似たやつを見つけたから黄色と淡いピンクの花束と合わせて其れにした。
宿舎じゃ鳥は飼えないから代わりに鳥籠のメッセージカードも添えて。
女を喜ばす訳じゃないから、喜んで貰えるかさっぱりだったが思いの外気に入って貰えたようで好かった。

子供みたいに喜ぶお前の顔が好きだ。
借りてきた本そっちのけで俺に時間を費やしてくれるのも有難いと思ってる。
けど───、いや。此処じゃ其れは控えよう。
お前の便箋だからな、これ。
別に何が欲しい訳じゃない。惟、お前が居ればいい。
もし見返りを求めてみえてるならお前が居る時間と場所だ。お前の聲と体温だ。
お前が思ってるより俺はずっとずっとお前がすきだ。
お前が見えない先を約束するのを怖いからと、遠巻きにする辭を全力で拒否する位にお前がすきだ。
お前の軌跡も、この先の命の時間も俺のものだと宣う位にすきだ。
出来る限り、望む限り、じゃない。弱気になると薄ら呆けた文句も並べるが、お前は俺のものだ。
俺が同じだけそうなように。
弱気になったら叩いてくれりゃいい、お前にもそうするから。

なあ。ベルトルト、お前がすきだ。
この先も俺の手、繋いどけよ。
11 ベルトルト・フーバー
二人きりの生活を始めてから二ヶ月目。
少しだけうまくいかない日もあったけど、相変わらず僕らはラブラブです。
僕が意外と忙しくなっちゃって、予定よりは少し遅れ気味なスケジュールなのは事実。
でも、それってつまりライナーをじっくり味わえる時間が延びるってことだし、君と過ごす時間が増えるってことでもあるから、そう悪くもないと思うんだ。

今日は僕が風邪をひいて体調が芳しくないせいでベッドに伏せっている横でライナーはなんだか忙しそう。
珍しく励まして欲しい、なんて言うから、普段は撫でる事のない君の頭を撫でてみた。
指先に触れるのはまっすぐで少し硬くて触り心地の良い、綺麗な金色の髪。
これで僕が元気なら、今すぐベッドに引っ張り込んで抱きしめてキスをして、髪の毛だけじゃなくて下の毛も撫で…やめて冗談だからお粥投げないで火傷しちゃう!
………早く風邪治して、ライナーをベッドに引っ張り込めるように頑張ります。

結婚式まで残り10ヶ月。今日は腕へキスを贈ろう。
(そこは入口じゃなくて出口です、なんて僕に言っても無駄だってこと)
12 ベルトルト・フーバー
なかなか風邪が治らないから医務室に行ったら、どうしてもっと早く来なかったんだって怒られてしまった。
だって寝てたら治ると思ったし、僕を甘やかしてくれるライナーに甘えていたかったんだもの。
せっかくの記念日だから、少しでも長く一緒にいたくて医務室に行く時間だって惜しかったんだって言ったら、ライナーには怒られそうだけど。

(りんご…すりおろしてくれないかなぁ…このままでも美味しいけど、せめてあーんして)
元気になったら、真っ先に君が食べたい。
13 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて三ヶ月目。

訓練中に珍しく君が声をかけてきたから、何の用かと思えばぶっきらぼうに「機嫌が悪いんだ」だって。
そんな事を言う君の顔も可愛くて、会話の不穏さとは裏腹に僕はご機嫌になってアニに呆れられちゃった。
交わした言葉は少なかったけど、朝から君の言葉が聞けて僕はとても幸せだよ。

ねえ、ライナー。
君が最近ご機嫌ナナメだったのには、ちゃんと気づいてたよ。
何年の付き合いだと思ってるの。
最近は君が不機嫌な時にでも傍にいてくれるのが嬉しいんだ。
昔みたいに、僕に黙って僕のいないところでやり過ごすんじゃなくて、機嫌が悪いながらも僕の隣にいてくれるのが嬉しい。
アニが呆れるくらい僕は君に夢中だから、君がいないと不安でたまらなくなるし、君が隣にいてくれるなら偶には殴られたっていい。
一緒に笑いあって、楽しく過ごせる時間も大切だけど、君となら泣いたり喧嘩したりも悪くないと思うんだ。
…なんて言ったら、また君が呆れる顔が目に浮かぶんだけどさ。

結婚式まで残り9ヶ月。今日は腕へキスを贈ろう。
(君が大好きだよって、何回言ったら君の心をいっぱいにしてしまえるのかな)
14 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて四ヶ月目。

俺といても良いことがないなんて言うから、理由を問い詰めたら…返ってきたのは僕もうっすら予想していた答えだった。
それを聞いた時、僕は嫉妬すると同時に安心したんだ。
隠そうと思えば、いくらでも隠せる事なのに、わざわざ言うってことは僕に気付いて欲しかったんだよね。
君は僕に叱って欲しかったんだろ。
そうやって時々自棄になるのは君の悪い癖だ。
望み通りに叱って罰してあげるつもりだったのに、痛々しい君を見るのが辛くて早々に抱き締めて撫でてしまった。

ねえ、ライナー。
僕は、こんなことくらいで君を離さない。
離さないから、もっと僕のそばにいて、依存してほしい。
べたべたに甘やかして僕から離れられなくして、ずっとずっと君を閉じ込めておきたい。
君は自分のことを我儘だって言うけど、僕だって凄く我儘なんだよ。

結婚式まで残り8ヶ月。今日は耳朶へキスを贈ろう。
(君が好きだと言ってくれた、僕の声も一緒に)
15 ベルトルト・フーバー
20150801

(教師の僕から、フリーライターの君へ)

僕が此処に来るのは初めてだね、今日は君の誕生日だからどうしても僕からお祝いを言いたくて。
改まって何だと笑ってくれそうだけれど幾つになってもお祝いは嬉しいものでしょう?

僕は随分と長く君の傍にいて、こうした君の節目節目にも確り手を取らせて貰ってる。
歳月が巡る度、君の横顔や体の作りは変わってゆくけど僕にくれる優しい眼差しや僕に対してとびきり甘いのは全然変わらない。君と過ごす楽しい時間や君と繋がっている感覚と魅力に関したら年を追う毎に燦然と輝きを増す程だ。
新しい刺激やこんなに長く繋がっていても未だ識らない君の側面をこれからもずっとずっと見て行けるなんて僕は本当にしあわせ者だし、そんな幸せを与えてくれる君が産まれた日を、僕は感謝してもし足りないんだ。
ねぇ、君が産まれてきてくれて嬉しい。
君が僕の傍で笑ってくれるのが嬉しい。
君が僕をすきだと言って、僕も君がすきだと言い合えるのが嬉しい。

ありがとう、ライナー。

僕に出来るプレゼントなんて限られてしまっているけど、世界で一番きみがすきで、これからも今日までの日々と変わらず君を大切にさせて。


お誕生日、おめでとう。今日からまた宜しくね。
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18 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて五ヶ月目。

どうやら記念日が近くなると君は不安定になるようだ。
最近は前よりは素直に心の中を明かしてくれるようになったけれど、それでも君があまり弱音を吐かない所は変わらない。
きっと、君は自分の弱い部分や穢い部分を見せるのが得意ではないのだと思う。
僕があんまりにも君を好きだから、きっと綺麗なままの君でいてくれようとしているんだろう。

でもね、ライナー。
君がどんなに弱くても、穢くても、君の傍に居たいと思う気持ちは変わらないんだ。
今までだって手を離す機会は何度でもあったけど、一度だってその選択肢を選ばなかった事が物語ってると思わないか。
僕はあんまりにも君を好きすぎて、君の綺麗なところだけでなく、穢いところも弱いところも全部食べてしまいたいんだ。
出来ることなら、君の弱音や穢いところは全部、僕だけのものにして仕舞いこんでしまいたい。
あんまりな独占欲だと思うんだけど、これは僕の正直な気持ち。

結婚式まで残り7ヶ月。今日は首筋へキスを贈ろう。
(全部欲しい、君の心の中まで、包み隠さず、ぜんぶ)

追伸
…あんまりな醜態を晒した僕を許して欲しい。
でも君が少しでも笑ってくれたのなら、うっかりでも何でもいいや。
19 ベルトルト・フーバー
好きだ──という言葉が口癖になってしまいそうなほど、君に対して沢山好きだと言っている気がする。
軽い気持ちで口にしている訳じゃなくて、君のことを好きだなぁと思う瞬間が日々にあって、そういう時に語彙の足りない僕は好きだ好きだと繰り返す。
この世界には素敵なものが沢山あって、僕の心を惹きつけるものもあるけれど、そのどれよりも君は素敵だし僕の心を捉えて離さないんだ。
だから、そんな君が好きだと──それこそ僕は口癖のように君に囁く。
好きだという以上の言葉があるのも知っているけれど、それはやっぱり特別な時にとっておきたくて。

君は自分のことを兎に例えたけれど、君が兎なら僕は闘う魚。
水から顔を出しても息はできるけれど、水が無いと死んでしまうんだ。
君という水の中で生かされて長い長い時間が経った。
今日で丸四年を迎えて、また新しい一年が始まる。
擦り切れた僕の日記帳には未だ薄い字で書かれたあの日の記録が残っていて、読み返せば随分と荒削りな告白だったと恥ずかしささえ覚えてしまう。
いや、でも、スマートにカッコよく、なんて僕の柄じゃないだろうし…それで君が堕ちてくれるとは思わないけど。
あの日の僕を選んでくれてありがとう。
今日の僕をこんなにも好きになってくれてありがとう。

ねぇ。
君の中で泳ぐ魚は案外長生きなんだ。
だからまだ、まだまだよろしくね。
僕の可愛い兎さん。


君の傍で、君の左手を繋いで。
誰よりも君を愛してる。
大好きだよ、僕のライナー。


─────未来の君を僕にください。


(僕のもう一つの心臓へ、)
20 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて六ヶ月め。

君が…あんまりにも物欲しそうな顔をして僕を強請るものだから、ついつい意地悪を言ってしまうんだ。
でもね、ライナー。君はこういうのも嫌いじゃないでしょう?
君の心を少しずつ擽って、自分から従うように仕向ける。
素直じゃない君が自分から甘んじて従えるように、逃げ道は用意した上で、優しく優しく背中を押すだけ。
大丈夫、君は悪くないよ。命令したのは僕だし、逆らえないようにしたのも僕だ。君は何も悪くない、全部僕のせい。
だから安心して僕の腕の中に落ちておいでよ。
そう言って囁いて、誘惑して、やっと腕の中に落ちてきたライナーを僕は思う様貪った。
ああ、でも、まだまだ足りないな。

今日は喉へ、噛みつくようなキスを贈ろう。
(君が欲しい。君が欲しい。君が欲しい。全部食べちゃいたい。)
21 ベルトルト・フーバー
君が怒ってくれることに安心していたりもする。
君はどうでもいい人の前では笑顔で振舞うのを知っているから。
君が見せる感情が、君が醜悪だと忌み嫌う感情こそが僕の糧で、君が好きではないという苛烈な性格が僕を惹きつけてやまない光でもある。
(かといってヘコまないという訳でもないけれど。今日も自己嫌悪モードで訓練中に頭を木にぶつける始末だ)

優しい君が好きだ。
格好良い君が好きだ。
朗らかに笑う君が好きだ。
意地の悪い君が好きだ。
悪態を吐く君が好きだ。
泣いている君が好きだ。
寂しがっている君が好きだ。
まだまだ、僕に見せてない表情もあるんだろ?
もっと見せて、君でいっぱいにして。
君のことをもっと好きになるから。

あの日、僕を選んでくれてありがとう。
願わくば、優しいふりをした鳥籠にずっと捕まっていて。
髪の毛一筋、爪の一枚までぜんぶぜんぶ食べてあげるから、どうか僕の隣に居てください。
22 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて七ヶ月め。

今日はとっても甘えん坊な君を抱きしめて、髪を撫でながら思い出を辿っていた。
小さい頃、君が秘密を打ち明けてくれた日のこと。
涙を浮かべる君に僕は「君が泣いてたら僕が泣けないじゃないか」って言ったの、覚えてるかな。
それから、君の家に初めて遊びに行った時のこと。
あんまり居心地が良くて「帰りたくない」って駄々をこねた僕を君が撫でてくれたよね。
川に飛び込む度胸試しで、君がこっそり「飛び降りられたらキスしてやるぞ」なんて言うものだから、その頃すでに君に恋心を抱いていた僕はそれはもう頑張った。
鳩にお弁当を浚われた僕を見て、君が大爆笑したこともあったっけ。
君と目いっぱい遊んで、家に帰る時間になっても君と離れがたくて、両親に拳骨を落とされることもあった。
小さな、小さな頃から僕は君が大好きで、それは今も変わっていない。

今日は額へ穏やかなキスを贈ろう。
(あの懐かしい日々と、これからの僕らの未来に。)
23 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて八ヶ月目。

今月は色々あったなぁ。
一番嬉しかったのは君が少しだけ僕のところに堕ちてきてくれて、その想いを日記帳に書き付けてくれたこと。
約束の1年までに食べきれるかどうかは分からないけど、少しずつ少しずつ君は僕のものになっていく。体も、心も。
その度に僕の世界はまぁるくて幸せになっていくんだ。
それから、君が1年で一番好きだという秋のお祭に二人で奔走したことも。
お祭りの随分前からあちこちで衣装や小道具を探し回って、部屋を飾り付けて、お菓子を作って、駆け抜けた10日間だった。
お出かけした回数はなんと5回だよ。引きこもりの僕にしては驚異的だ。
君も生き急ぎすぎて少し疲れてしまったり、最近は僕が少し忙しかったりしてすれ違い気味だけど、僕が1年で一番好きな冬のお祭りに向けて一緒に色々と素敵なものを探していけたらいいと思う。

結婚式まで残り4ヶ月。今日は髪の毛へ沢山のキスを降らせよう。
(君が恋しい。君がいないと僕の心には隙間風が吹くんだ。)
24 ベルトルト・フーバー
頭をガンガンしたい記念の日記。

とりあえず、落ち着こうか僕。
可愛いライナーが、ずっと昔に僕と初めて出会った駅を大切に覚えてくれていて、その駅の伝言板へ記念日のメッセージを書きつけてくれていた。
僕は授業が終わったその足で駅まで一目散に駆けて行って、伝言板に残されたメッセージを読む。
深緑色の黒板にライナーのちょっと癖のある字が並んでいて、心がほっこりしたところで…振りかえって見つけたのは、ライナーに初めて声をかけた喫茶店。
昔から変わらないその場所に足を向けて、そこに置かれたノートを見た、のが失敗だった。
…あれから何年もたっているのに、僕が書いた恥ずかしいメッセージが全部残ってるじゃないか。
お店の人に聞いてみたら、開店してからずっと記念としてノートを置いてあって、そのすべてを保存しているそうだ。
不幸なことにこの喫茶店は僕の通っている学校からそう遠くないし、同じ学校の人たちが立ち寄る事があるのも知っている。
僕の浮かれた書き込みと恥ずかしいペンネームを知られたら、ジャンやエレンになんて言われるか…
いや、大丈夫。少なくともP.N.黄色い薔薇の人、イコール僕だと知っているのはライナーだけだ。ライナーさえ黙らせたら何とかなる。

最近追加されたばかりの真新しいノートたちのすぐ下に、古ぼけて端っこの痛んだノートが置いてある。
ちょうど僕が一番頻繁に書き込んでいた頃のものだ。
他にもノートはあるのに、昔のノートがどうしてこんなに前の方にあるんだろう。
お店の人が「あなたと同じくらいの歳の金髪の人がここに来て、よくこのノートを読んでいるのよ」って教えてくれた。
とっても嬉しそうな顔で読んでるって。
その人、僕の恋人なんですって言ったら、お店の人は驚いた顔をするんだろうな。

(数日後、その金髪の人が女性だと判明する。しかも二名いるらしい。どういうことだ…)
25 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて九ヶ月め。

ライナーと旅行に行く計画がある。
あれがしたい、これがしたいと話し合って、僕はガイドブックと日々格闘中。
ライナーとはよくデートをするけれど、本格的に遠出をして旅行に行くのなんてこれが初めてだから、否応なしに僕だって張り切ってしまう。
張り切りすぎて今から旅行鞄に荷物を詰めてみたり、図書館でガイドブックを借りてきてアニに呆れられたりするくらいだ。
それでも必要なものをリストアップしたり、旅行の下調べをするのはとっても楽しい。
だって、君の喜ぶ顔や驚く顔を思い浮かべるだけで幸せな気分になれるんだもの。
僕が昔住んでいた街に行ったら、お気に入りだった場所を案内しよう。
君が見たがっていた景色を一緒に見て、やりたがっていたことを一緒にしよう。
君と一緒にいる毎日はいつだって輝いているけど、もう少しで特別な思い出が一つ増える。

結婚式まであと三ヶ月、今日は君の綺麗な背中にキスを贈ろう。
(え?ああ、これは…言うなれば少し早い新婚旅行かな)
26 ベルトルト・フーバー
<脳漿の僕から愛し君へ>
※キャラ崩壊気味・閲覧注意※

此方には僕から。真面目な事はライナーに言わせているから少しくらいいいよね?、ほら僕今日誕生日だもの。
僕の所のライナーが随分と君の傍らを占領してしまっているからクリスマスも年末年始も出番が来ない予感がしてならないけど隙あらば君にぶち込みたいんだよとはちゃんと伝えておこう。とても大切なことだから。
……いやだ、そんな怖い顔しないで。興奮しちゃうじゃないか。
だって折角の誕生日だよ。年に一回だよ?お祝い、して貰いたいんだ。
定番のあんなことやこんなことは勿論だし、楽しい妄想日記を寄越してくれてもいい(その際はとても詳細に御願い)。
あ〜あ、時間が48時間とかあればいいのになぁと常々思うよ。そんなことを言えば腰がもたないとか何とか君は煩くいうのだと思うのだけれど…あ。睡眠時間を増やしてしまうという強行手段に及ぶのも考えられる。とても困ります。寂しいです僕。
48時間に時間がね、もし増えたらその分大好きな君にくっついて居たいし僕がご無沙汰な分とてもアクロバティックでセクシャルな事を沢山して色んな君を見せて欲しい。こんなに時間を共有してたってもっともっと君が欲しいんだ。もっともっと君が知りたいんだ。
世界で一番だいすきな君のことが。
ああ、綴ってたら君に会いたくなっちゃったなぁ。
これを見たら大至急僕のプレゼントになって駆け込むべきだと思うよ本気で言ってる。
念を押しておくしとてもとてもとっっっても大切なことだから二回以上いうけど年に一度しかない僕の誕生日だ。大人気な某上司の影で薄まったり見切れたりセリフ被ったりする僕の誕生日だ。君くらいは僕を一番にお祝いしてくれるべきと思う。ね?、ね??
もの凄く待ってるから飛び込んで来てください。だいすき。プレゼントは君がいい。君さえ居てくれたら僕の世界はいつだって眩しいんだ。

いつも大好きだけれど、いつもよりもっともっとだいすきな僕の大切なライナーへ。

(とここまで綴った所で、ライナーがスペシャルなプレゼントを持って来てくれた。君がしてくれるなんて…!)
(今日中に全部食べられるか心配だけど残さず隅々までイタダキマス。)
27 ライナー・ブラウン
<咎負いの俺から最愛の心臓へ>

どの俺で来るべきか悩んだが…結局あれだ、全員分残せばいいもんかと思ってな…残りの奴らには日記にでも……此処には一番問題の無さそうな俺が。

去年の今頃は…正直お前の誕生日は訓練の忙しさに感けて蔑ろにしていた、お前自身も忘れているくらいなもんだった。
けど今年は有難い事にお前とお前の誕生日を祝う時間を設けられそうで安心だ。
この一年は随分と色んな事を濃縮したような一年だったな、お前とのことは勿論他の色んな事もだが。俺はお前よりずっと感情の起伏が激しくて、時には自分自身で持て余してどうしようもない程に荒れることもあったがお前が揺らぎ一つなく俺を待って居てくれることに何度掬われる想いだったか知れない。
こんな俺のどこがと問う度、俺だから好いのだと笑うお前。
どうしたって素直に嬉しいと頷けないが、ちゃんと受け止めてんだろう事はお前にバレてんだと思う。
多分来年も再来年も この先ずっとそんな遣り取りをして、いつも変わらず俺の隣で笑って手を繋いでくれるんだろうってことに何の疑いを持たないくらいにはお前は俺の世界の一部だ。
性格も違うし、お前に同じくらいの俺の世界と時間を分けてやれてるかは解らん、更に言えば一介の訓練兵の給金じゃお前の好きな本だって買える量は限られてくる。そんな中でお前の誕生日に渡せるものなんてのはこの先もずっとずっとお前がすきで大切に想う、その手を離さないってことくらいだ。
受け取り拒否は出来ないもんだから諦めて押しつけられろ。

この一年俺をしあわせで居させてくれてありがとう、新しい一年は俺がしあわせにすると誓う。

(互いに咎負い、それでも産まれた日と蒼穹はきっと平等でありますように、)
(お前の咎は俺が必ず担って、最期まで護るとも誓おう。それが俺の意義で────)

うまれてきてくれて、ありがとう。ベルトルト。
28 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十ヶ月目。

ライナーもこの暮らしに慣れてくれたのか、最近はずいぶん素直になってきた。
欲しいものは欲しいと言うし、痛い時は痛いっていう。
時々ちょっと怯えたような目をするのはなぜだろう、僕はこんなにライナーを大切にしているのに。
僕の気持ちが全部伝わってないのだろうか。
僕の望みはただ、君の全てが欲しいってことだ。
時間も、目に映る景色も、君の声も、その呼吸も、肉体も、精神も、全部全部。

ねえ、ライナー。
もう分かってるんだろ、君に逃げ場がないことくらい。
その目は__される_の目にそっくりだ。
君がそんな顔をしているのが僕は少しだけ気に入らない。
君がその金色の瞳に映すべきなのは絶望じゃなくて僕と一緒に過ごす未来への希望だろ。

分かったらライナー、今すぐその目で僕を見るのはやめて。
やめないなら、その目を_____しまうよ。

結婚式まで残り二ヶ月。今日は鼻梁へキスを贈ろう。
(すなおなきみは、とってもかわいい、でも)
29 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十一ヶ月目。

二人揃って利き手を怪我するという惨事に見舞われた。
といっても訓練中に体勢を誤って利き手をひねった僕と違って、ライナーは僕を庇っての名誉の負傷なんだけれども。
さて、こうなれば困るのは日常生活だ。

幸い訓練に出られないほどの怪我でもなかったから、なんとか片手を庇いつつ訓練には出ているけれども、たとえば立体機動装置のベルトを留める動作なんかが上手くいかない。
戦場では命取りだ。
訓練でも命取りだ。
なにせ僕らの教官殿は朝の点呼までに装備を万全にして整列しておかないと強烈な頭突きを食らわしてくるのだから。
必然、利き手のきかない者同士、ライナーと二人で早起きしてお互いの装備をチェックし合うのが習慣になってしまった。
それに、訓練中無意識に利き手を庇う体制になってしまう。
これは一人で対処するしかないけれど、変な癖がつく前に治さないと。

訓練以外でも困ることが出てきてしまう。
たとえば、食事は何とかできるものの固く締まった瓶の蓋や、缶詰を開けるのには苦労する。
無理は良くないとのことだから、一人でやってみて、それでも無理ならライナーにお願いして一緒に開けてもらうことにしている。
ささやかながら二人の共同作業というやつだ。
ほかにもお風呂の時に腕が上がらなくて髪が上手く洗えない。
僕が困っていたらライナーが洗ってくれたから、僕もおかえしにライナーの髪を洗ってあげることにした。
ライナーが存外それを気に入ってくれたから、利き手が治るまでという約束で毎日髪の毛の洗いっこをすることになった。

そういう生活を始めて一週間、最近なんだか周りの僕たちを見る目が優しい気がする。
そろそろ僕らもハンナとフランツみたいにお似合いのカップルなんて言われたりするのかなぁ。
それはすごく楽しみだ。

結婚式まで残り一ヶ月。未だ痛む指先へキスを贈ろう。
(ここから全部が伝わればいいのに、僕が君を大好きだってこと)
30 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十三ヶ月目。

一度にいろいろな変化が訪れて、君との関係がギクシャクしたりもした。
起伏の激しい君の感情を抱きしめている時、その手が痛まなかったわけじゃない。
それでも僕が君を選び続けるのは、君が僕の心臓をつかんで離さない存在だからだ。
それに、遠い昔に僕が君を飼い始めた時にした約束は今でも有効なんだ。
自分の手で堕としたからには、最期の時までこの手の中で。

予定通りに結婚式は挙げられなかったし、君が僕の手の中に堕ちきってくれることもなかったけれど、君と過ごせる時間がまた増えたと思うと少しだけ嬉しい僕がいる。

次の結婚式まで、ゆっくり二人で歩いていく時間を大切にしよう。
そんな誓いを込めて、今日は君の背中へ長い長いキスを贈ろう。
(君の預けてくれた心臓を確かめるように、)
31 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十四ヶ月目。

君と少しだけ距離ができた気がして、寂しいと零した。
僕は自分の感情を表現するのが下手くそで、特に寂しいだとか悲しいだとか、そういう感情を表に出すのは上手くはないから、寂しいと伝えるだけで精一杯だった。
でも、君がぎこちなく手を伸ばして、抱きしめて頭を撫でてくれる、それだけで寂しい気持ちは薄れていくんだ。

ねえ、大好きだよ。
君が大好きだ。
できればずっと僕の隣で手をつないでいて。

ずっと、という言葉を口にするのが嫌いだった僕が変わってしまうくらいに長く隣に居てくれた大切な君へ。
今日は君の男らしい輪郭を辿って、その頬へ何度も口付けを降らせよう。
(少しでも僕の気持ちが伝わりますように。)
32 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十五ヶ月目。

今回は珍しく君の後を追いかけて。
この一カ月は君が外側の事に興味を惹かれているみたいで、恋人としては少し面白くなかったり、も。
でも、君が何かを楽しんでいる時の表情は本当に好きだし、君が楽しいと思うことなら僕も全力で応援したい。
それにほら、これは僕の自惚れかもしれないけれど、君は必ず僕の所に帰って来てくれると信じているから。
僕は君が疲れて帰ってきた時に安らげるような、戻って来たくなるような存在であろうと思う。

手紙を描くのは久しぶりだけど、こうして改めて文字にしてみると自分の想いがはっきりと形になるようで、良いことだと思う。
さて、今日も帰ってくる君のために干しておいた布団をとりこんで、良い香りのシーツで出迎えよう。
……僕が寝てしまう前に帰ってきますように。

君の癖字で書きつけられた手紙、と、秘密の__を枕の裏に忍ばせて。
今日はペンを握る君の指先に噛み跡を残すような深いキスをしよう。
(君がどこに出かけても、僕のものだって忘れられないように。)
33 ベルトルト・フーバー
6年目の僕から6年前の君へ。

あの頃の君は何というか、野良猫みたいだったのを覚えている。
手を出したら噛みついてくるから、力づくで押さえつけでご飯を食べさせて、僕の匂いを覚えさせて、そんな繰り返しだった。
カンのいい君は薄々気づいていたかもしれないけれど、君が僕の手からご飯を食べるたびに僕はとても嬉しかったんだ。
だから、僕は君の好きそうなものをせっせと手に入れては贈り物をしていた。
僕からの贈り物を君が受け入れてくれるのも嬉しかったんだ。

こんな事を言ったら君は嫌がるかもしれないけど、君がくれた初めてのこと、僕にとっての初めての日は今でも時々思い出して懐かしくなるくらい大切な思い出だ。
誰かと一緒にお風呂に入るのも君が初めてだったし、親子のふりをしてみたりするのも。
最近は忙しくてなかなか一緒に入れないけど、君と一緒にお風呂に入るのが僕にとって特別な時間なのは今でも変わり無い。

それと、そうそう、僕と君が殴り合いも無く仲良く抱き合ってるなんて言ったら君は笑うかな。
三つの世界を共に過ごして、やっと平和が訪れたような…いや、まあ、ここも平和とは言い難いけど、昔の僕たちに比べたら喧嘩の回数も減ったよね。
でも本当は君がそういうのが好きなのも知っているし、僕も嫌いじゃないから、そのうちに、ね。

この5年間、本当に色々な事があって、喧嘩したり仲直りしたり忙しかったけど、僕は君と出会えたことに本当に感謝しています。
『僕たちは相変わらず仲良くやってます』
──来年も再来年も、そう書き記すことができますように。
34 削除済
35 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十八ヶ月と一日目。

あいかわらず平穏で少しだけ忙しい日々を送っている。
久しぶりに一緒に手を繋いで外を歩いて、それから地下室に戻って仄暗い日々の続きを満喫する。
光の下では胸を張って堂々と歩いてみせる社交的な君が、地下室の闇の中では子供のように僕に縋り付く。
明るい場所では君の後ろに隠れるばかりの僕が、陰の落ちる自分の塒では君を支配するものになる。
太陽の下も夜の闇も、どちらも大切な僕らの居場所だ。君もおんなじ気持ちでいてくれたら嬉しいな。

それから、例の日に先だって送った僕の分身を思いのほか気に入ってくれているようで安心したよ。
君が自慢げにそれを見せびらかしているのを見ると、僕はとっても誇らしい気持ちになるんだ。
どうか末永く、僕共々傍に置いてくれ。

一足先に塒に戻って、じきに帰ってくる君をじっと待ちうけよう。
僕のもとへ還ったら後ろから忍び寄って耳朶にキスをあげるよ。
(ねえはやく、きみがほしいんだ。ライナー。)
2016/6/11 21:55
36 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて十九ヶ月目。

季節はあっという間に秋めいて、朝晩の涼しさに君を引き寄せて眠る回数が増えた。
最初にここに来た時は夏の暑い盛りで、少しのすれ違いから大喧嘩をしたことを覚えている。
ここに来てからは喧嘩を擦る回数も減ったけれど、変わらないものだってあるんだ。

例えば、僕が君の言葉をどんなに待ちわびているか。
何年たっても君の姿が見えないだけで不安になる癖だとか。
君は僕に好かれているか不安だというけれど、僕のほうがきっと君を好きだという気持ちは大きい。
君がおねだりをしてくれるならなんだって叶えてあげたくなるくらい、君に夢中なんだもの。
どれだけ好かれたってきっと足りないし、もっともっと僕に夢中になって欲しい。

今日は君を抱きしめて、はじめて心を繋いだあの日のように唇へキスを送ろう。
触れ合わせた場所から少しでも僕の気持ちが伝わりますように。
(僕は少しだけ頑張ることにしたんだ。君を夢中にさせられるように。)
37 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて二十四ヶ月目。

今では隣にいるのが当たり前で、名前を呼べば返事をしてくれるのが当然のようになっていて、臆病な僕でも未来への約束を怖がらなくて済むようになったんだ。
君は僕に沢山の勇気と、素敵なものをくれる人。
そして、たぶん僕が一番恐ろしいと思う人。

もう少し暖かくなったら一緒に花を見に出かけよう。
夏になったらきらきら輝く海と、僕らの歩いたあの道を見に行こう。
秋になったら君の大好きなお祭りで一緒に騒いで、冬になったら二人でかじかんだ手を繋いで僕の大好きなお祭りの日に大きな樅の木の下で大切な大切な君にキスをするんだ。
そうしてまた一年が過ぎて、君が僕の隣にいる日々が続いたことへの感謝を来年もまた告げられますように。

僕のもう1つの心臓──愛しい君へ。
(忙しくなりそうだけど、君が帰る場所である限り、僕は頑張れる。)
38 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて二十九ヶ月目。

この世界に来て、どんなにか長い時間を過ごしただろう。
長い長い時間は僕を変えて、君を変えて、少しずつ少しずつ形を変えていった。
変わらないものなんて無いって知ってたのに、少しばかり幸せすぎて僕はそれを忘れていたみたいだ。
ごめん、まだこの手は離さない。僕の意地みたいなものかもしれない。
でも、あの言葉を言った時から僕の心は決まってたんだ。

だから、もう少しだけよろしくね。
僕が大好きで、大好きで、とってもこわいと思う人。
君の一年が沢山の素敵なものに溢れますように。

ハッピーバースデー、誰でも無い僕のライナー。
(…できれば恥ずかしいから暫くは見つかりませんように。)
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40 ベルトルト・フーバー
一緒に暮らし始めて三十ヶ月目。

さて、この一ヶ月。
お互いに忙しくて慌ただしい日々を送ってきて、久しぶりのデートも何だかよそよそしくて、正直ちょっと、いやかなり、寂しかった。
それでも寂しいなんて喚いて困らせない程度には、僕も大人になっただろ。

相変わらず君のことが大好きだよ、僕のライナー。
君が見せてくれる景色が好き、君が話す言葉が好き、君のきらきらした瞳が好き。
大騒ぎして、楽しかったって笑う君が好き。
優等生の顔をして実は影で一生懸命で、時々緊張の糸が切れてしまうところも好き。
君がきらきら輝いて、笑っていられるなら、僕はきっと何だってするだろう。

プレゼントは星の流れる空をとじこめて。
(たまには、僕に凭れにきてね。ちゃんと受け止めるからさ。)