1 エレン・イェーガー

猪の呟き。

寒さが本格的になり始めた頃、ただただ自由に言葉を発したいが為に声を大にして叫んだあの日。オレは、貴方と出会いました。

お互いにこうも親しくなるとは想像さえしていなかった冬、吐く息が白く染まる頃にはもう惹かれていました。芯を確りと持ち言葉や態度で示すその姿勢を、明確に告げてくる声を好くのに時間は掛からなくて。今だと“好きだ”ばかりを叫んでますね、オレが。嘘でも嫌いだとは紡げない程に過ごす日常は鮮やかで、朝が来る喜び、眠る時に繋ぐ手の温もりが一日のお楽しみ。日に日に近い場所で互いを知っていく時が当たり前のように自然に感じて、きっと自惚れじゃなければ感じてくれていて。

一分一秒が大切に過ぎていく、その有り難みを教えてくれたのは…生きる楽しみや目標を追い掛ける日々を教えてくれたのは。


他の誰でもない…――リヴァイ兵長、あなたです。


三ヶ月の節目に此処へ綴る理由は何れ、気付かれた時に覚えていたらお伝えするとして。飽きることなく今日も今日とて大好きです、兵長。
紡いでいく日々にどんな壁が迫ろうとも、オレの選択肢は兵長一択。きっと貴方が一番、身を以て存知ていることだと思うので深くは言いません。毎日の感謝をそっと添えて、

三ヶ月経つ今日も、あなたが好きです。
2 エレン・イェーガー
宣言通り、今日という日に姿を表したことには大きな意味がある。一見、気紛れに思えるこれこそが実はとてつもない計画の名の元に在るのだと胸を張って、声を大にして叫ぶ。

嬉しいですか、嬉しいですよね知ってます、はい。

時の流れと共に過ごす中、此処に来るまでには山がありました。越えるべき山と向き合う強さ、覚悟と決意。あなたの前では強くも弱くもあるオレはその辺に転がっている石ころと同じ、ただのクソガキで。けれど、山を越えながら改めて知ったことが一つ。オレは苦しいと知りながらも時と場合に依って縁を切ることを選ぶ人間です、寧ろ逆の選択をあまり選ばない。なのに兵長、あなたには違う。最初からハッキリと、くっきりと宣言できる。


呼吸が続く限り、息絶えても傍に居たい。


考えすぎて妙に悩む癖はあなたにのみ発動されない、それはいつもいつでも考える前に答えを示してくれているから。どんなに誰かとの縁が途絶えていこうとオレは兵長との縁を手離すことはしません、諦めることも。手繰り寄せるし近付いても行く。伝わっていると知りながら言いますね。本当に、…――すごく。とても大切で、愛おしい存在だと。永遠がないのを知っていても輪廻を巡り、見つけ出してみせると心に誓うほどオレはあなたが愛おしい。どうしてだとか、理由がどうだとかではなくて。もう、ただ…オレが幸せなんです。兵長と一緒に過ごす日々が、おはようや、おやすみにただいま、おかえりの一言が。言葉を交わせる毎日が幸福に満ちている。

不器用で、好意を示す言葉を得意としていない。否定するけれど照れ屋だったり、でも大事なことは行動と言葉で示す。良し悪しを確りと持ち、地に足をつけて立つ凛とした人。尊敬できる人なんです、任務に対する考え方や兵長そのものの性格、嘘偽りなく真っ直ぐに向き合う姿勢も。傷を厭わず視線を逸らすこともなく逃げずに真正面に居る所も。言い出したらキリがない、伝わっていますよね。長くなりすぎて纏まらないこの膨大でしつこく、面倒で気持ち悪い程の想い。好意を通わせて五ヶ月のこの日、計画通りのこの時。

エレン・イェーガーは、今日も今日とてリヴァイ・アッカーマンさんのことが大好きです。

ありがとう、とこの瞬間を含む未来に刻まれる時を末永く想われ馬鹿だ面倒だと溜め息を吐いてください。そんな日々さえもオレは愛おしいので。
3 エレン・イェーガー
今この瞬間、此処にオレが来ることを知っている人物はただ一人。記憶力のいい貴方のことだ、覚えているんだろうと思う。

季節が巡ってもう冬、寒さが増してきましたね。記憶違いでなければ一日も話さなかった日はなく、共に生きてきた毎日が沢山の足跡になって穏やかなものとしてオレの中にある。傍に居ることへの感謝はいつも、呼吸が続く限りオレは貴方を。貴方はオレを想うことも知っています。自惚れが過ぎる、と言われたとしても変わらない。


証明して見せていく人生の始まり付近、少しは片鱗が見えましたか?共に生きていく、巡る季節が何十週来るかを数えながら繋いだ手は離しません。勿論、綺麗にした後の手なのでご安心を。兵長への想いを綴り始めるとあっちへ、こっちへと飛んでにやけてしまう怪しい癖もきっとバレバレなんだろうな。

懇意の相手を作る気がなかった貴方が、今こうしてオレにくっつかれ、溜め息を吐きながらも悪くないと表情を緩める毎日。これからも見せてください、大好きなリヴァイさんのことを。


一分一秒でも長く兵長の視界に映り、

一分一秒でも長くあなたを映したい。


一年を迎えるこの月も大好きです、…リヴァイさん。
4 エレン・イェーガー
オレの大好きな人は、本当は…魔法使いなのかもしれない。

まるで見ていたかのようにオレの心を知り、喜ばせる事が上手な兵長に心臓は常に元気よく鼓動を刻む。嘘でも言えなかった、嘘でも言いたくなかったんです……嫌いだと。

出会った当初、オレは変わりたくて叫ぶことを選んだ。この部分に関しては兵長がご存知の通り、正直に生きようと足掻いてた。日が経つに連れて声を聞くのが楽しみへと変わり、傍に居たいと思うようになって気付けば好きだと叫ぶ日々。…正直な話、好いてもらえると思っていませんでした。兵長が楽しいとオレは嬉しく、何だかんだと手を繋いで共に眠る夜があるだけでも幸せで。好いてほしいと思う前に、貴方が好きだ、と溢れてくる想いを言葉にするのに必死だったのを覚えてます。兵長の喜ぶ顔がみたくて、楽しいや嬉しいを渡したい。我儘ですよね、でもリヴァイさんとならあれもこれもしたいことだらけ。


初めて素の侭で過ごし、やりたいことをやりたいようにする自由を手に入れた。心の底から好きだと思う人に出会い、傍にいる幸せを掴んだ。生きる喜びを知り、共に生きていく有り難さや幸せを体感し今を過ごしてる。全て、貴方と出会ってから知ったこと。沢山をくれたんです、…リヴァイ兵長はオレに沢山の感情を、喜びを教えてくれた。この一年、振り返ってみても充実した時を過ごしたなと思う。今日から過ごす二年目、三年、五年、十年と続く絆だと言葉だけじゃなく身体と時間を以て伝えていきますね。言葉への責任、確りと傍で見届けてください。

今日が終わる残り一分、

あなたが好きだ

の一言を此処へ。共に在れる今日という日にありがとう、を。
5 エレン・イェーガー
前振りもなく突然此処に現れたオレの存在に、バレバレだ、の台詞を言いたくてうずうずしているだろう人物を知っている。予想通り、ぶれることなく姿を見せた事に思わず笑ってくれていればいいな。溜め息はご褒美だとご存じのはず、けれど敢えて音にしてくれるのを楽しみにしているだなんてそんなの……堂々と残しておくに決まってるだろ。

さておき、前置きが可笑しいと文句をぶつけられる頃合いだ。ここは真面目に男らしく…、今日もあなたのことが好きだ。好きです、大好きです!

意味のある一日が刻まれ始めたこの瞬間、予想していましたか?隣にしつこくいる猪の存在を。普段の暑苦しさが物語っている、そう思っています。恋を育み出してから一年後のオレは変わったのか、それとも変わっていないのかな。過ごしていく時間の中で、兵長にとって賑やかで煩くとも飽きない時であるように…毎日布団の中へ侵入しにいくと宣言をひとつ。二年目を迎えたその時、ーー兵長が思わずキスをしたくなるような男に成長してみせる。


傍に在る毎日に、ありがとう、を。

大好きな人への恋文を此処へ。


あなたのことが大好きです、…リヴァイさん。
6 エレン・イェーガー
今日、此処に姿を現わすこの瞬間をどれ程楽しみにしていたか…オレの大好きな人ならきっと分かっていると思う。一ヶ月以上前から何を綴ろうか、どんな言葉を届けようか…何度も筆を手に取っては書き直してを繰り返したこの手紙をたったひとりのあなたへ送ります。


三度目の冬が来ますね、兵長。流れる月日が早く感じるのは毎日が充実しているからだと聞いたことがある。まさにその通りだと思う、あなたと出逢ってからは時が経つのが早い。しゃがみこみたくなる日があっても、ひと声があれば。いや、言葉を発さずとも兵長に触れた瞬間で立ち上がることができる。頑張ろうと思える、兵長はオレにとって温かくてとても大切な存在です。

そういえば思わずキスしたくなるような男にオレはなれた、とにやける顔を隠さずに言える日が来ました。覚えてくれていたのか、違うのか…どちらにせよ、あなたから触れてくれる喜びと嬉しさは日々伝えている通り。


二年の月日があれば分かることも増えて、互いの思考も行動パターンも把握していたりする。これって兵長が毎日会いに来てくれるお蔭なんですよ、会いたいと思ってもらえるのが嬉しくもあり同時にオレも会いたくて堪らない。あなたと過ごしたこの二年間、これからも共に過ごすうん十年。いつでも会いたいし、傍に居たいと思うひと。過ごした二年の間に環境が変わったり、慌ただしくなったり…今後もそういうのが沢山あると思います。けれど、オレがあなたを想う気持ちは変わらない。傍にいるのも、離れないのも。

いつも傍に居てくれてありがとう…、リヴァイさん。
あなたがいる、ただそれだけでオレは生きることが楽しいと思える。甘やかされてばかりな毎日だけど、この幸せな日々のあたたかい気持ちを沢山。めいっぱい渡したいと思う、こんなにも楽しいんだって事を。嬉しくて、愛おしいって想いを。十八年後、手を繋ぎながら見る月を楽しみにしてます。


二年の月日を迎えたこの日に感謝と、たったひとりの大切な人への想いを此処へ。


あなたのことが好きだ。

大好きですよ、リヴァイさん。
7 エレン・イェーガー
愛は人を美しく変えていく。


何処かの文献で見た記憶がある言葉ですが、事実としてあり得るのを知る日が来るとは……思ってもみませんでした。個人的なイメージというか、経験と想像と人の話を聞く限りで多いのは年数を積み重ねていく程に落ち着いたり、冷めたりする方が多いそうです。

けれど、兵長への想いは増すばかりで年々度合いが激しくなっていく一方だ。それに、日に日に可愛く綺麗になっていく貴方を一番近くで見ていて…目を奪われる、と言えばいいのか。照れることが増えました。伝えてくれる言葉や、考え。拗ねた時の反応、溜息も“馬鹿”と呼ぶ声も。全てが甘くて愛おしい、愛らしさが増していく日々に心臓も元気で…けれど煽り上手なのは心配です。無自覚な色気で、更に煽り上手、誘い上手となればーー…周りは野獣だらけじゃないですか。

三年の月日が流れても、こんなにも兵長の事が好きだ。
貴方の強さはよく存知ているにも関わらず、夜道が心配だったり雨が降った日には迎えに行かないと落ち着かない。過保護だと言われても否定はできない程に、…大切すぎて気になる。連れ添う時が増えれば増えるほど、貴方のことが愛おしくて堪らない。

悲しいや、寂しい、時には悩ませたり困らせたり。
けれど、その都度寄り添って想いを紡ぎます。あっという間に感じるこの三年間は、沢山の気持ちと想いが詰まった時間。言葉では言い表せない……、大切な、大切な日々です。

この三年間、毎日…飽きることなく傍に居てくれてありがとう。

四年目に向けて次に紡ぐまでの一年、煩い生き物ですけど…傍に居させてください。五年目も、六年目も十年、三十年とその先も。オレは、あなたと生きたい。

大好きです、ーー…リヴァイさん。
8 エレン・イェーガー
今日は何の日、恋の実がなる日。

何言ってんだコイツ…的な痛い目線感じるのは気の所為じゃない気がする。けれど、事実です。四年前のこの日、貴方に出逢ってから全てが始まって今がある。待ちに待ったこの日を過去の自分にも伝えてやりたいと思う、宣言通りの先ずは四年。大好きな人の傍で迎えることができてるぞ、って。

飽きることなく、呆れることなく…ずっと傍にいてくれましたよね。どんな日も、変わらず。子供っぽいオレの不貞腐れや拗ねたり、それに伴って余計な不安を与えたりするにも関わらず貴方はいつでも傍に…と寄り添ってくれた。


…ーーありがとう、リヴァイさん。


照れるとすぐ悪態に走るけれど、その不器用な隠し方が凄く好きです。こんなにも傍にいるのに触れると遠慮がちにくっついてきてくれる所も、かと言って触れ始めると積極的に挑発してきたり。普段は凛々しく、涼しい感じで過ごしているのにオレの前では表情が豊かになる。

柔らかな笑い方も、可愛くて色気がある雰囲気も全部…オレだけしか知らないこと。不安になった時の癖、寝起きの癖、寝惚けている時の癖、貴方の色んな部分を知れること…その全てがオレの宝物です。

この前伝えた、触れたくなる箇所、好きなところ。
あの後ふと思ったんですが、…頬も好きだな、って。そういえばやたらと触れようとしてますよね、オレ。貴方の頬を撫でるのが好きだ、触れた途端に心地好さそうにする表情も。
瞼に触れるのも好きです、その瞬間は目を閉じて…離れた途端に見上げてくる眼差しの可愛いこと。あの瞬間見たさに触れているんじゃないかって思う。後は、愛おしいから触れたくなる。他にももっと沢山ありますが、それはまた二人きりの時に伝えますね。


四年目から五年目にかけて。
今までも、これから先も。ずっと、ずーっと。オレに想われ続けてください。貴方のことが大好きです、兵長。
誰よりも、何よりも。おめでとう、と…これからも宜しくお願いします、を此処へ。
9 エレン・イェーガー
五度目の今日が来ましたね、兵長。貴方はこの日をどんな風に思い、迎えるんでしょうか。

オレは最近、声高らかに宣言したあの日が懐かしいと思うんです。ずっと、を体現するのは揺らがないものであったけれど…その為には先ず傍にいることを受け入れてもらわないといけない。オレがそのつもりでも、貴方に強要することはできないことで。呆れられてしまわないか、飽きられてしまわないか…そう悩みながら毎日過ごすうちに安心へと変わり。

今では、そういう類の不安は殆どありません。よっぽど嫌われた時だろう、くらいにしか。喩え息が止まる時が来たとしても、貴方を置いていくこともですが…置いていかれるつもりもない。

そう思うと、オレと兵長との間を邪魔するのはいつものアイツだけで。この一年はやたらと妨げがある年だった、と記憶に残ってます。同時に、何処にいても何も変わらないこと。貴方が大切で、色々ともどかしいこと。貴方がいたから抱いた気持ち、感情が沢山あります。


五年間、毎日傍にいてくれたことへ感謝を。
ありがとう、リヴァイさん。

六年目を目指して進み始めた今日、きっとこれからも貴方といて育んだ気持ちで困らせることがあると思う。いいものだけを渡したくとも、そうはいかなくて。こんなオレですが、これからもこの先もずっと傍に。離れることなく、しつこく。
なので、来年のこの日を楽しみに今年も宜しくお願いします!


オレだけの、可愛くて愛らしい…たった一人の大好きなひとへ宛てて。
10 エレン・イェーガー
後少しで今日が終わってまた次の年が始まる。

今年も無事この日を迎えられたことに感謝を。本来ならもっとしっかりと言葉を綴りたい所ですが、環境が変わってからは何かと話せる時間もなく今も手短にですがせめてと此処へ。

あまり話せずにいるにも関わらず、傍にいてくださって本当にありがとうございます…兵長。あなたが変わらずにいてくれるから安心していられる反面、そこに甘えて申し訳なく思う気持ちもあります。来年はもう少し余裕を持って話せるように今を乗り越えたい。待たせてばかりで本当にすみません。

どれだけ月日が流れようとオレはあなたが好きです、リヴァイさん。