1 アニ・レオンハート

ジャン

あれで、最初で最後の恋文にした筈だった。
自分の日記を覗いたのが不味かった。馬鹿な事をしたって自分でも解ってるよ。
再び取った手が離れて、それから暫くして擦れ違った時に、気持ちは全部奥底に封じて眠りに落ちたんだと思ってたんだ。きっと、あんたももう此処には来ないんだろうと思ってさ。だから、大丈夫だと思ってた。そう思ったからこそ…ふと深い眠りから浮上した時、気紛れに開いた。

何だろうね、自分で書いたのに自分の言葉で無いような奇妙な気分だったよ。最初は。
でも、読み進める内にあの頃の記憶が、思いが溢れて…堪らなくなった。もっとああしてれば良かったとか、こうしてやりたかったとか。多分美化されたところもあるんだと思う、だけど…やっぱりあんたが私の最愛である事は変わらない。だから、今でも私はあんたを愛してる。大好きで、愛しくて、大切な人。

あれから数年経ったけど、それは変わらない。だから、気持ちの整理としてこれを書いたら言葉を残すのは本当に最後にしようと思ってる。

愛してる、ジャン。
私は今でもあんたの名前を呼ぶ度にあんたの事を思うよ。
どうか元気で、ね。