1 リヴァイ

これは勝手な憶測だが。

アンタの姿は本来俺なんだろう。
そして、俺とアンタが未だ連絡を取っていた頃からかどうかは分からんが、アンタは俺でない誰かに愛され、其方が大切になり、俺が面倒になった。
アンタからの言葉は途切れ、確認もクソも全て水を掴もうとするかのように無駄に終わり。

なぁ…おい、アンタは今幸福か?
俺はどう頑張ってもアンタが忘れられねえようだ。
頭ン中で己を嘲笑っても、アンタを悪者に仕立て上げても、アンタとの思い出ばかりが脳裏を過る。

馬鹿だと思う、自分でも。
だがな、馬鹿だと思っても尚、アンタが恋しくて愛しくて、戻って来るならば…開き直ろうが、自分が一番じゃなかろうがアンタが戻って来るならば、どうしても手に入れたいと思う。

さっさと次に行っちまいたい。
こんなに苦しむならあの日アンタと出会わなけりゃ良かった。
季節の話も、未来の話も、するんじゃなかった。

そういえばアンタは言っていたな?
意地らしい、と。
その意地らしさはな、人に甘えられなかった理由は、こうやって丸裸で捨て去られるのが恐ろしかったからだ。

遥か昔に、刃を構えるのはやめろと言われた事がある。
どうしてもやめられなかった。
身包みを剥がして人に寄り添う事は、対象を失くした時にこうなると解っていたからだ。
それをアンタはいとも簡単に剥いで行ったんだよ。剥ぎ取って、丸めて捨てやがった。
なぁ、おい。さぞ気分が良かったんだろうな?アンタに絆され身を寄せた俺を、嘲笑っていたんだろう?


…………健気に帰りを待っても、暴言を吐き罵倒をしても、アンタは帰って来ない。
解っている。
離別を望むなら二つ返事でそれに頷いてやるから、白い紙をくれねえか。

何処へも行けず、穴も埋まらず、目すら動かない。
頭が可笑しくなっちまいそうだ。

アンタさえ居れば、他の全ては食い荒らす巨人だろうが権力を振り翳す貴族の豚だろうが、何でも良かったのに。


…代理が否かは伏せる。