1 エレン・イェーガー

大切なひとへ

心の穴。空虚。失った一欠片。
それを受け入れて頭で理解すんのは、思った以上に上手くいかねえ。いっそ悪い夢を見てるような気分だ。
朝になっては夢じゃねえと実感して、流れる時間の中に幻を感じる。居ない事が不自然で、…ああ、クソ。なんで居ねえんだ。おまえは。

オレはまだ、心の準備が出来てなかった。現実を受け入れられる程、出来た大人じゃなかった。
それでも現実は変わらねえ。なんたって世界は残酷なんだ。残酷で、そして、儚いからこそ――…