1 エレン・イェーガー

忘れねぇ。

あの呟きはお前なんだろうか。
確認として送った手紙が返らない時点での危惧は二つだった。一つはお前に何かあったか。もう一つは、前に言ってたふらっと居なくなるかもって宣言。
まぁ、その宣言通りになった訳だが、オレがプレッシャーなり何なり余計なモンを与えちまったんだろうな。悪かった。

自らの意思で消えた方が楽だと判断したなら、オレはもう何も言わないし言えない。元々縛れる様な関係じゃなかったしな。
それでもオレは、お前とのベッタベタに甘い日々を夢見てたよ。いつかは、ってな。甘くされるとはぐらかしちまうって言ってた誰かさんと、甘え甘えられて笑顔の溢れる未来があればと望んでた。

でも、オレじゃ役者不足だったんだよな。オレはお前を安心させられる器じゃなかった、そんだけなんだろ。

いつか近い未来で、お前が安心して甘えられる奴が見つかるといいと思う。
忘れてなんてやらねぇけど、もう追わない。探さない。お前が選んだ道に小石を蹴り込む真似はしたくねえ。

だんだんと冷えて来たし、ベッドを暖めてくれる誰かと優しい日々を築いて達者でやれよ。身体に気を付けて。
いつかうっかり再会する日が来たら、そん時はお互い笑えてたらいいな。