1 エルヴィン・スミス

無題

お前が私の手を離してから何ヶ月になるのかな、一方的に鳩へ託す気持ちは今のお前には届いているのか?どう映っているのだろうね。
お前は後腐れを残さぬようにと私を突き放して飛び立ってしまった。
欲しがっていた友人は沢山出来たか?誰かと幸せに過ごしているだろうか、甘やかし諭すことに長けなんでも一人で出来てしまうお前は私のことも誰にも相談出来ずに苦しんでいるのかもしれないね。すまない。
それともお前の心は今更揺れないだろうか……。
あの時無理矢理にでもお前を囲っていたら状況は変わっていたのか。
今思えば大丈夫だとばかり繰り返し私の話を静かに聞くお前は一人で苦しんでいたのかもしれないね。問い詰めたところではぐらかされて気が付けば私の話になっていそうだけど、はは…。
好きだと伝えながらお前に嫌われることばかりを恐れ臆病な私では役不足だったのだろうね。
お前ほどの男にはもう二度と巡り会えないだろう。


リヴァイ、私は今でもお前が……
2 エルヴィン・スミス
鳩が手紙を持ったまま帰って来てしまった、ここに気が付いて窓を閉めてしまったのか……私はお前にとって疎ましい存在なようだね。
桜の色付く季節に知り合いまだ不慣れで友人が欲しいと言っていた一線を引かれてるようで悲しくお前の気持ちを考えもせず押し付けてばかりだった、自分の欲を抑えずお前の優しさに漬け込んで好き勝手に傷付けたお前に許されてると思って調子に乗ってしまった。今更だとお前は怒っているかもしれないね、望みは無いのか…リヴァイ。
もう一度許されるなら、お前に会うことが許されるなら今度は大切にしたい……一声を聞かせて欲しい。
3 エルヴィン・スミス
お前をこの腕に抱き眠りたいと願うことは叶わぬ夢なのだろうか……疎まれているのだろうと考えながらも簡単に諦め切れない私を見たらお前は怪訝を貼り付け怒るのだろうね。
所詮は自分で蒔いた種……だからね。
お前への気遣いもろくに出来ずに手酷い真似をしたのは痛感しているという贖罪の気持ちはもう届かないのか、良い大人が聞いて呆れるか……?
泣き叫んで殴りつけるまではいかなくても感情のままに怒るくらいしてくれたらもっと早く痛みに気付けただろうに私を思って耐えてくれたのか、それとも一切気になど止めていなかったのか…今となっては闇の中だ。
どうか償わせて欲しい………お前が望んだ友人でも構わない。
4 エルヴィン・スミス
寒さのせいか眠りが浅いようだ…変な時間に目が覚めてしまった。あまり眠ることを大切にしないお前は今日もまだ起きているのだろうね……。
いつだったか珍しく楽しげに話していた深夜に寝ないお前を気遣い様子を見に来てくれると話していた友人とはまだ仲良くしてるか……その友人を羨ましく思うよ。もう冷える季節だから風邪を引かないようにしっかり身体を休めていることを願おう。
5 エルヴィン・スミス
いつか私に言ったように傷は付けた本人か時間でしか癒えないとするなら時間を選んだのだろう。私の攻撃的な言葉へも否定の言葉や不満を口にしなかったのはお前の秀逸さだろうね、あまりにも簡単に決断し飛び立つ背に手を伸ばすことしか出来ない。私はいつからこんなに弱くなったのか……二度と気持ちが通い合うことが叶わないとしても私はいつまでもお前に手を伸ばし続ける。
6 エルヴィン・スミス
風邪が流行ってるようだ、私も歳には勝てない……いつかお前に良い歳なんだからと口酸っぱく説教をされたことを思い出す。子供を叱るように心配してくれるのが心地良くていつまでもこうしてたいと良く考えたものだ。風邪を引くといつも以上にお前の顔が浮かぶ、窓辺を彷徨うばかりの特別な鳩は淋しそうだ…
7 エルヴィン・スミス
もうすぐお前の誕生日だね、きっと沢山の者に祝福されるのだろうね。私は側に居れないだろうけど心からお前が少しでも幸せな誕生日を迎えれることを願って止まない。

誰かの温かい心がお前を温めてくれてたらとはまだ心底思うのは難しいけれど、ね……
8 エルヴィン・スミス
あれから一年経ったと一緒に笑えないのは私に責任があるんだろうな。

リヴァイ……お前に逢いたい。
9 エルヴィン・スミス
いかにお前を苦しめていたか、時間が経った今となっては身に染み解ると言うのにいまだにこうして吐き出すのは愚かしいと考えるのに抑制が出来ないでいる。やめてくれと言われたあの時自制が出来ない自分を責めたのは一瞬だった、直ぐに自分の欲が勝ってしまった。今更贖罪を連ねたところで跳ね返るだけで何一つ得る事はないのだろうけど、謝りたい。

お前は今幸せにしてるのだろうか…
10 エルヴィン・スミス
年を重ねても褪せることを知らない気持ちに蓋をしたのも束の間にお前を重ねて違いに落胆する。お前の部下に頼んだ伝言は届いたのだろうか、返事が欲しい
11 エルヴィン・スミス
お前の直属の部下からお前と連絡が取れなくなったのだと報告を受けた、私のせいなのだろうな。もうこれでお前と繋がる術を失ってしまったんだな。今思えば最初から最後まで拒まれてばかりいた。どうして俺じゃ駄目なのかとお前が欲しくてお前の気持ちを考えずに無理矢理にお前に苦渋を強いた結果なのだと後悔をして、恋愛事を嫌うお前が望んだ友人で居ようと頑張ったつもりだった。過去は覆らない、後悔先に立たずなのだろうな。けど私はお前を忘れてない、いつまでも待つ。