1 ミカサ・アッカーマン

満月の夜に、

繋がっていられる気がするから、天体を眺めるのが好きなのだと言っていた。私らしく軽く流したけれど内心は驚いていた。だって私もそっくり同じ想いを抱いていて、ほんの微かな期待が胸にあったのだから。
あなたはそう、いつも私の欲しい言葉をくれる人だった。奇妙なほどに合致する価値観を喜べるほど、私は幸福に慣れていなかった。
だけど、もういいのだ。
どこに居ても誰と居ても、あなたがどうか幸せな気持ちで今夜月を想っていますように。
全てを癒すその素直な優しさを、失わないままで居て。
あなたから受け取った無償のいつくしみを、私はまたいつか誰かに繋いでいく。ここではない、どこか別の世界でも。
そうで在れとあなたが教えてくれたように。