1 ハンジ・ゾエ

無題

正直どこに吐き出せばいいか分からないし、こんなとこで言うべき事ではないが、限界なんだ。吐き出させて。あなたが見ているならそれでもいいし、見ていなくてもどっちでもいい。
私はあなたの言葉を全て覚えている。忘れもしない。あなたは自分で言ったことをすっかり忘れているみたいに、いつもいつも…何度も裏切る行為をした。嘘を吐いた。その度に私は傷付くし、悲しくなりもするが…毎回許していたよね。どうしてか。馬鹿みたいにあなたを信じて、許していた。自分でもわからない程に。あなたの言葉には温かみがあって、何故か「次は大丈夫、今度は大丈夫」そんな気にさせるような…不思議な言葉に魅了されていたのかもしれないね。
今はわかるよ、あなたは自分が辛くなったり気が変わったりしたら自分で言ったことを全て白紙に変えて、こっちの想いも踏みにじって、別れの言葉すら置かず逃げ出せるような…。あなたにとって、私はただの 玩具 でしかないんだろう?だからそういう事が出来るんじゃないのか?全部まやかしだったんだね、あなたの言葉って。
嫌いになったりしない?もう二度と離れない?無理にでもずっと傍に付いてもらうだって? はっ、ヘドが出るよ。最悪の気分だ。
あなたと居た四年半、バカみたいな時間だったね。楽しかったかい?きっとこれを読んだらあなたは傷付くね。でもね、私はこれ以上に何度も何度も苦しめられた。辛かったから。
私、あなたに何かしたか?あなたには喧嘩を売ったり、故意的に酷い言葉を浴びせたことはなかったはずだ。何か問題を起こせば、私はちゃんと理解して謝罪をしようと努力した。あなたが悩んでいた時は頭を捻って真剣に相談を聞いた。あなたが急に居なくなったらいつも私は何かしたんじゃないかと不安になった。何度も繰り返されるから、嫌なことはハッキリ嫌と伝えよう。離れたい、そう思ったなら言葉は必ず残そう。別れは必ず来てしまうものだから、その時は円満に別れが出来るように。そうやって二人で沢山話し合っていたじゃない。
あなたは今、どんな気持ち?私は泣きはらして涙なんかもう流れないが、心に穴が空いたようだ。
…さっきは暴言を吐きすぎたね。だが本心なんだ。恨んでないといえば嘘になる。あなたと過ごした時間が全て…無駄だっただなんてそれは言い過ぎたけど。なあ…ちゃんと傷付いたか?私も傷付いたよ。だからおあいこだ。
こんなに暴言を吐く私を、あなたは見たことがないだろう。それくらい辛くてやるせなかった。
もうあなたの言う通り「他人」なんだから、関係はないね。
ねえ、あなたには感謝もしてる。色々と…やっぱりね、過ごした時間は…幸せだった。辛くもあった。全ての感情をくれた。文句も言い切れないほどある。けれど、感謝も伝えきれない。だから、この一言でいままでの全てを受け取って。
出会ってくれてありがとう。
そんだけ。ごめん、無駄だった、なんて嘘。訂正しとくよ。
私の知らないどこかで幸せに、沢山笑って過ごしてくれ。吐き出せて少し、落ち着いたかも。ごめんね、さよなら。