1 クリスタ・レンズ

無題

最初から、私のことなんかどうでも良かったのかな。
あなたの方から好きだと言ってくれてたはずだったのに。
追い縋ろうとしたらするりとすり抜けて、二度と追いつけない場所まで行ってしまったみたい。

私は彼の代理。
彼は意地っ張りだからあなたには何も言えないんだよ。
―――お願い。まだあなたが私を囲っていたいと思っているなら、好きと言わなくて良い、ただ声を聞かせて。