1 リヴァイ

許されない事と許せない自分、

俺が抱かれる側になると、必ず上手く行かなくなる。
いつもそうだ。誰も居なくなる。

そりゃあ抱かれた経験なんて殆どねえからな、どう振る舞えば良いのか解らねえし、言っちまえば床下手だろうよ。
居なくなった奴等から理由を聞かされた事もねえから益々参る。どうすりゃ良い。

やはり俺が受けになるのは無理か。
大人しく攻めをやり続けろと?
だがな、俺は完攻めじゃねえんだ。
それにもう攻めばかりに回るのは疲れちまってんだよ。受けの奴等を相手にするとどうしても気を張って格好つけちまうし、甘やかして可愛がっちまう。俺が甘えるなんて到底出来やしねえ。
偶には俺も…思い切り甘えてみてえのに。気を緩めて凭れ掛かりてえのに。抱かれたくなるのに。それが許された事が無い。
許さないのは俺自身か?

クソ。情けねえ。ああ、こういう処が女々しいって事か。だから抱かれる側に回ると彼奴等は離れて行っちまうのか。
後悔と虚しさばかりが積もりやがる。
指先が痛いくらいに冷たい。暖めてくれるような奴はもう一人も居ない。

許せない俺を、誰か許してくれ。
2 リヴァイ
へぇ、俺みたいな奴が他にもいたとはな。

甘やかして、
依存されて、
全て受け入れて、
挙句の果てには抱かれたい?

もう与えて与えてこっちはカッスカスなんだよ、
肉欲ぐらいはおまえが満たしてくれてもいいんじゃねぇの?

…って思うよな。

まぁ、仕方ねぇ。
欲求不満解消の道具みたいなもんなんだろうよ、

不要になりゃ捨てられる、
その程度の関係にいちいち傷付くのも阿呆くさいだけだ。
3 エレン・イェーガー
一言だけ、良いですかね。兵長。

そんな貴方を許してくれる攻め側の人は探せば居ますよ。ここにも、一人。

寧ろ受け方が分からなくてがっかりされたこともあります。皆掘りたがりますからね。攻め側を。
4 エルヴィン・スミス
少し気になったものでお邪魔するよ。
その気持ちは分かるよ。与えるだけではなくて与えられたいと思う事は悪いことでない。現に私もそうだし相手もそれをちゃんと分かってくれている。
いつかリヴァイにとってどちら側でも心を許せる相手に出逢えるように願っているよ。
5 リヴァイ
まさか……こんなに共感や励ましを貰えるとは。思いもしなかったな。
同じ顔の俺、エレン、エルヴィン。三人とも、本当に心より感謝している。

まず同じ顔をした俺へ。
与えて与えて、ってのは正しくだ。
欲求不満を解消する道具に成り下がったような気分になる事も確かに有る。
不要になれば捨てられる…なんて関係じゃ無く、互いに信頼と愛情で構築する関係を持ちてえもんだが、そこまでに至るのが何より難しいからな。

そしてエレン。
お前みてえな野郎に出逢えた試しがねえ…受けとなると床下手な俺を許してくれるような奴は一体何処に居やがるんだ。
だが「居る」と言うお前の言葉に気持ちの余裕を貰えた。有り難い話だ。
攻め側を掘りたがる奴と出会した事がねえが、そいつらは男前な受けを好んでるんだろうな。元から受けの可愛い奴よりも。

最後にエルヴィン。
与え合える関係が結べて居るとは、尊敬ものだ。これからも末永く幸せで居ろよ。
いつか俺もそんな相手に出逢えりゃ言う事ねえな。その為にも、もう少し努力してみようかと思う。

本当にお前等三人には感謝ばかりだ。
この世界から離れる事まで考えて居たが、諦めるのはまだ早えと気付かされた。
互いに後悔しねえ選択を、幸福になれる選択を出来るように祈っている。
6 リヴァイ
再び上げる事になるのは癪だが……
少し、吐き出す為に綴ろうと思う。

疲れちまった。色んな事に。
一度噛み合った筈の歯車がまたばらばらに回り出して、俺の思考を掻き乱す。胸が軋む。頭が痛い。
俺は一体どうしたかったんだ。
本当にこれで良かったのか?
誰を信じれば良い。
何と答えれば良い。
お前等は俺に、何を求めて居る?

世界が思い通りにならねえ事くらい理解してる。
だがな、俺も人間だ。理想は有る。

瓦礫の上に居る様な気分だ。
一つずつ積み上げて来たものが何もかも崩れ去っちまった様な。

…いつまで経っても満たされないのか。