1 エルヴィン・スミス

無題

あれから色んな人に出会った。その中には、私を愛そうなどという物好きな人も何人かいた。

…だが結局のところ、私を一番大切にしてくれたのはお前だったのかもしれないと…ふと思う。

自分から離した手を、寂しいと思うなんて愚かなことだ。あのとき私は確かに自分の意志で選んだ。人間性を捨て去り、お前を傷付けてまで自由を選んだ。

今この場所がとてつもなく寒いのは、私自身の招いた自業自得の結末だ。救いなどあるはずはないし、求めてもいけない。
2 リヴァイ
横入り、失礼するぞ。少し気になっちまって居ても立っていられなくなった。

お前がどう言う訳を持って手を離したのか、どんな相手とどう過ごしどう言う別れ方をしたのかは検討も着かないが…手を離した方が忘れられねぇ様なら、多分相手も同じじゃねぇのかと思う。振られる側の…しかも俺個人の意見だからな。何ともはっきりは言えねぇが。

別れた後でふとした時にでも、相手がそう思ってくれていると知ったら、それだけでも嬉しいんじゃねぇだろうか。もしまだお前がそいつの連絡先を知っているなら、手を伸ばして見ても良いんじゃねぇか?無責任な事を言う様ではあるが…

悪い。纏まりなくなっちまった。どっちの立場も経験しているから、その冷たさも虚しさも後悔も分かる。別れた後で鳩を待つなんてざらだ。

…お前が早く温もりに触れられれば良い。
3 エルヴィン・スミス
まさか反応があるとはな…ありがとう、リヴァイ。

だが、彼は私を許すことはないだろう。もう二度と逢えない…


思い出してしまう、あのぬくもりを。