1 エルヴィン・スミス

きっと

お前はそそのかした私を許さないだろうな。時折、濾過された思い出が浮き上がっては後悔の念にさらされる。


好きだった。
愛していた。
けれど、耐えられなかった。


弱すぎた私を許してくれ。


幸せに。
2 リヴァイ
上げちまって悪い。

可能性は限りなく低いだろうが…どうもこの記事が気に掛かった。
何に耐えられなかったのか、それだけ教えてくれねえか?

…それと、俺の思うお前えかどうかは分からんが悲しく呟く位なら相手に伝えてやってくれ、と。
3 エルヴィン・スミス
まさかこの記事にレスポンスがつくとは思わなかった。
……耐えられなかったことか。

相手が己を試すことに耐えられなかったよ。
いつのまには愛は義務になっていた。
何が地雷になるか分からなくて途中から怯えていた。

直接伝える手段はもうない。全て焼いてしまったから。

それに、多分お前は私の知る人ではないよ。キャラは一緒だけれど、ね。

私はあの子の好きという感情を弄んだ。
あの子は私を恨んでいる。傷ついた感情を私にぶつけて泣いたんだあの子は。

でも万が一、お前が胸に描いた名前というワードに反応する子であれば。
……一言、謝らせてくれ。本当に、すまなかった。
4 リヴァイ
よう、エルヴィン。
お前の言う「あの子」とやらは恐らく俺だろう。黒豹と言えば分かるか?
反応している俺よ、お前の思い描いている奴とは此奴は別人だ。悪いな。

…久し振りだな、エルヴィン。
反応する気はなかったんだが、他の俺を勘違いさせちまったら悪い。

…今更かも知れないが、お前を散々振り回しちまって…すまなかった。お前を傷付けた。
確かに愛してた筈なのにな。どうやら俺は包み込んでやるようなタイプじゃないらしい。再三言っただろう、俺は面倒臭いと。

全て焼いた、と聞いて安堵している自分が居る。
…二人の手記を燃やしちまってすまなかったな。残っているのが辛かった。
お前に一言断りを入れるべきだったが…顔を見ると毒でも吐いちまいそうで、な。また傷付けたくはなかった。
まぁ、言い訳だ。別に鍵なんざ鉤けなくても、お前の別の手記を燃やしたりしねぇよ、馬鹿野郎。

謝罪は要らねぇ。お前が今幸せであればそれでいい。思い出は思い出として取っておけ。
そして、その内に忘れるといい。
5 エルヴィン・スミス
リヴァイ…4のリヴァイが私と時を過ごしてくれたリヴァイだね。

お前からの返信をどこかで期待して、どこかで恐れていた。
お前の心の柔らかさを知っていたのにね。

…嘘をついた。私の箱の奥底に冬眠したような鳩が眠っていたよ。
鳩を飛ばしたら届くだろうか。…私には分からない。

面倒臭くても、愛しかった。未だに思い出す。
お前に会いたくてたまらない。多分、届かないだろうが。
時折猛烈に触れたくなる。……リヴァイは幸せだろうか。私はどうだろう。
幸せと言われれば幸せかもしれないが。

私はずっと覚えてしまうんだ。よいものも悪いものも。
だから、多分覚えているよ。それだけは、すまない。返信、ありがとう。
6 リヴァイ
……会いたいなら会いに来い。
俺の鳩の宛先は変わってねぇよ。

お前の心に何らかの爪痕でも残せたのなら、嬉しく思う。
人は思い出されなくなった時に死ぬのだと聞いた事がある。俺はそれが怖い。

…俺も、時折お前を思い出す。
もっと優しくしてやれば良かった、抱き締めてやれば良かった。…それでも、過去は変わらねぇからな。全ては今更だ。

ああ、一つ言い忘れだ。別に恨んじゃいねぇよ。馬鹿野郎が。
そりゃあ最初の頃は酷い有り様だったが…お前が幸せであればいい、と。思える程度には回復した。

会いたければ会いに来い。
じゃあ、な。