毎月12日が記念日。

丁度、私もあの場へ言葉を残そうかと思ってた矢先に見慣れた筆跡。
見間違いじゃない筈、あれはあんたでしょ?ねえ、エレン。

勝手に消えないって言ったくせに姿眩ませて、そのうえ部屋に鍵かけて全く悪くないあんたにまで謝らせて、…ごめん。

今更って思うかもしれないけれど、久しぶりにあんたの言葉を目にしたらどうしても黙っちゃいられなくなったんだよ。
姿眩ませたのも、あんたは全く悪くない。モノ淋しさから頑張ってるあんたを、負傷してしまったあんたを労われなかった、そんな自分が嫌になっただけ。…私の勝手な理由。

待ってる、なんてさ。
そんな優しい言葉かけられたらどうしたらいいか分からなくなるじゃない。記念の日忘れられないのも、毎日部屋を覗いちまうのも、全部…。


とにかく今日までのあんたの無事が分かって良かった、ありがとう。
見付かって、見付けちまって。
オレ達かくれんぼやってるみたいだな、
なぁ、アニ。

寂しい思いをさせてごめんな。
お前が無事だって分かって良かった。

もしこれから先、お前が、
自由に空を羽ばたきたいなら、
オレはその枷になりたくはない。

でも、突然前触れもなく、
ひょっこり顔を出しに来たっていい。
締め出したり追い返したりしない。
猫は気紛れな生き物だしな。

アニの好きなように、してくれ。
いつでも帰って来れるように、
鍵は開けてあるから。