ナズナの花

エレン、頼む。誤解なんだ、本当に。お前の気持ちを疑ったことなんて一度だってないんだ、本当に。お前が誠実に俺に接してくれていたことをちゃんと知っている。わかってる、嘘じゃない。
頼むからちゃんと話をしよう、エレン。

何があっても一緒にいると約束、しただろう。絶対に離さないと。死んでも一緒だと。俺はお前を信じている。
ちゃんともう一度俺の元に戻ってちゃんと話をして、仲直りをして、また二人で世界で一番のバカップルを目指すんだって信じてる。まだまだ、やりたいこといっぱいあるだろ?俺はまだあるんだ、お前とじゃないとだめなんだ。

お願いだ、エレン。戻ってきてくれ。今更お前がいない世界でなんて生きていけない。
必ず幸せにする。今まで以上にお前に愛情を注ぐよ。疑うことなんて絶対にしないと誓う。俺にもう一度チャンスをくれ。鳩はずっと変えない。上からでもいい、直接会いに来てくれるでもいい。とにかくお前に会いたい。俺に言葉を届けさせてくれ。お前を愛させてほしい。

謝罪だけじゃない、感謝もお前に伝えたいんだ。会いたい、エレン。


今度は、俺がナズナの花をお前に捧げる。
俺の心臓を、お前だけに。…頼むから応えてくれ、エレン。

お前以外何も要らない。
お前に別れを告げられて半日が経った。たった半日なのに随分長く感じる。

以前俺がいないと眠れなくなっていると言っていたがお前は眠れただろうか?…俺は眠ろうとしても眠れなくて、いつもの時間までにはお前からの鳩が来るんじゃないかと待っていた。半日が過ぎても、いつもの時間になってもお前からの声がない現実が酷く堪える。
お前のこと以外考えられず、何も手につかない。

お前は何回もサインを出してくれたな。いつも歩み寄ってくれていた。なのに俺は気付けなかった、自分ばかりを大切にしてしまった。
溜め込むんじゃなくて、物分かりのいい風を装うんじゃなくて、強がるんじゃなくて素直にお前に気持ちを零して向き合うべきだったんだよな。溜め込んで逃げてはいけなかったんだ。…本音を俺が隠すからお前もモヤモヤしたり不安になったとき何も言えなかっただろう。もっと俺が素直に口にして、お前も言葉に出して話し合ったり言い合ったりすべきだったんだ…お前が言ってくれたように。
距離を置かれたように感じると言ったお前に、俺は冷たくて怖かったよな、沢山傷付けてしまった。本当に酷いことをしてすまなかった。

お前を失ってから気付いて後悔するだなんてもう遅いとはわかっているが、深く反省している。もう同じ過ちは繰り返さない。お前を傷付けたりなんかしない。
だから、エレン…もう一度俺にチャンスをくれ。俺のことではなく、誰よりもお前を想いお前を大事にする。俺がつけてしまった傷を、俺の手で癒させてほしい。

必死すぎて酷い有り様だが、体裁を気にしている余裕なんてないくらいにお前を欲している。

本来なら、やっと重なった非番の土曜日。歯医者に行ったお前を甘やかしていちゃいちゃ過ごす予定だった。その為に二人で支えあって頑張ろうと約束していたな。…ばかだと沢山怒ってくれ、エレン。そして抱き締めて、俺に抱き締め返させてくれ。

沢山ある顔の中で、お前だけが俺の唯一なんだ、エレン。頼む、帰ってきてくれ。
しつこいだろうが、ここにも記しておこう。

どんなに傷付けられても、俺はお前が欲しいんだ、エレン。お前にしか癒せない。
俺はお前がいるだけでいい。それだけで、何でも頑張れる。任務も、壁外調査も。お前がいるだけで強くなれる。

…愛の板に、お前宛のラブレターを贈る。お前が戻ってくるまで、何枚も綴る。…どうか受け取って欲しい。

俺の唯一は、お前だけだ。エレン。