Write
1 ライナー・ブラウン

交わした掌

このタイトルで伝わればいいが…昨夜、眠れないと言っていたベルトルトへ。
そう、俺が後を追っていた事に気付かなくて悔しがってたお前だ。…別に悔しくないって?まあ、いい。

あー、とにかくだ。何故ここに言葉を残したのかはもう言わなくても分かると思う。
本当に、すまない…お前に触れて、夢見心地で浮かれていたら実際に夢ん中とは…笑えねえ。
お前の時間を中途半端に割いちまった事、眠れないお前を置いていっちまった事、謝らせてくれ。…申し訳ない。

そんな失態をしておきながら、お前の掌の感覚が未だ忘れられねえなんて、……笑うなよ。
お前が穏やかな夜を過ごせる事を祈って、感謝と謝罪をここに。
2 ベルトルト・フーバー
…また驚かされてしまった。伝言を残してみようと思って来てみたら、まさか君に先を越されているなんて。
昨夜、僕に手を差し出してくれたライナー。君ともう一度こうして言葉を交わせて嬉しいよ。ありがとう。

昨夜のことは気にしないでくれ。時間も遅かったし、僕も君が眠って直ぐに君の手を握ったまま眠ってしまった。
あれだけ目が冴えていたのにな、…君の体温の心地良さにすっかり浸ってしまっていたみたいだ。

…笑えないな。僕だって忘れられない。あれからずっと君の感触が掌に残ったままだ。
それに…君がどれほど貪欲なのか、僕はまだ知れてない。次に会った時にはもっと君を求めてもいいかな、ライナー。

急だとは思うけど…今日もなかなか眠気がやって来ない。もし君も同じなら声を掛けてくれないか。
3 ライナー・ブラウン
…驚いたのはこっちの方だ。お前の目に留まればいい、ぐらいの気概でいたから…まさかまたお前の姿をこうして見られるとは思わなかった。

ああ、…くそ。まだ夢の続きでも見てるんじゃねえか、俺は。こんなに都合のいいことがあるなんて思えねえ。
……ベルトルト。そんな事を言われたら、俺は期待しちまうぞ。…なあ、いいのか。

奇遇だな、俺も今夜こそすぐには眠れそうにない。お前が挽回の機会を与えてくれるなら、喜んで。
今から待合の適当な部屋でお前を待つとしよう。もし気付いたなら、顔を出してくれ。
夢の様な時間はあっと言う間だった。…もう君の声が聞きたいなんて言ったら笑うかな。

さっき話した通り、連絡先を残しておくね。君から手紙が届くのを窓を開けて待ってる。
今しがた、お前の元へ手紙を飛ばした。
念のために俺の連絡先も残しておこう。

お前との再会を願う。