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3-*サクラ*(ご近所の〜)

 唾液だけでは潤いが足りず、ペニスの挿入は途中で止まった。章は息を吐いて一旦動きを止め、佐波を覗き込んだ。佐波は泣きじゃくって震えていた。その幼い手にきつく握り締められたままの性器は、先端から白濁を溢れさせていた。章が腰を揺すり上げると、小さなペニスからさらにとぷっとぷっと溢れ出て、佐波の指を白く汚した。
「オモラシしちゃったな。駄目っつったろ?」
 笑みを含ませて章が囁くと、佐波は啜り上げた。
「…っぃ、…イタ…よ…ぅ…っ」
「痛いだけか? こんなにオモラシしてんのに?」
章は低く囁きかけながら、自分のペニスを支えていた手を離して佐波の手へと伸ばした。上から包み込み、一度きゅっと握るとまた白濁が溢れた。章はそれを指に絡め取って、親指と人差し指をくっつけたり離したりしてくちゅくちゅと音を鳴らした。
 佐波はひくっ、ひくっと嗚咽じみた息を漏らし、上体をねじって章の首にしがみついた腕にぎゅっと力を込めた。
「…エッチだな、佐波は」
「…っゃ…ッ」
「ああ、ほら…オシリも」
 章が片手で佐波の性器を弄っているうちに、重みがかかる佐波の尻に章の屹立が少しずつ食い込んでいった。太い幹が狭い孔を擦り、ずずっと押し入っていく。章はわずかな痛みとそれを上回る快感に低く呻いた。
「もうちょっとで、全部入っちまうぞ」
「…ァア…ンッ」
 囁きながら章は腿のバネを利用して腰を揺すった。その揺さぶりにこらえ切れずに、佐波が章のペニスの上に滑り落ち、その尻に根元まで咥え込んだ。とっさに怯えたように腰を引こうとする佐波を章は片腕でしっかりと抱き留めて、少し回すように腰を動かした。
「…ッァン…ッ、…ぅ…ッ」
「痛いか? …入っちまえばそんなに痛くないだろ?」
 章は佐波の耳朶に歯を立てながら、低く囁いた。片手の中の幼い性器も、弄り続けているためか硬いままだった。
「…あきら…にぃ…ちゃ…ぁ、…イタ…よ…ぅ」
「ウソつけ。また零れてきてっぞ。
 ……ああそれとも、痛いのがキモチイイ? ますますエッチじゃねえか」
 章は指の腹で佐波のペニスの先を撫で回し、爪で皮の間の鈴口を抉って強く刺激した。まるで漏らすように次々とそこから先走りが溢れて章の指先を濡らした。
「…っひ、…ッィ…っ」
「また漏れてきた…ヤラシイなぁ、佐波」
 章は低く笑って佐波の性器から手を離し、自分の首にしがみついてくる佐波の腕を強引に解かせた。そうして上体をねじっている佐波に前を向かせ、背中から抱くようにして両手で佐波の膝裏を持ち上げた。
「…ッァ…ッン…ッ」
 膝が上がると挿入が深まるのか、佐波は章の胸に凭れかかって首を振った。
「そろそろ…俺もシンドイからな」
 狭くて熱い佐波の体内に挿入しているだけで、章のペニスもはちきれそうなほどに昂ぶりを増していた。
2
 膝裏を抱いた腕に力を込め、章は佐波を浮かした。たまらない快感と共に章のペニスがずるっと佐波の尻から抜け出て、くびれで引っかかる。章は腕から力を抜いて一気に佐波をペニスの上に落とした。
「…ッァア…ッ、…ァン…ッ」
 佐波は両手を章の二の腕に縋らせて、繰り返される章の激しい動きに泣きじゃくった。章のペニスが深く佐波の体内に食い込む度に、昂ぶった幼いペニスの先から白濁が溢れて飛び散った。章は佐波の体を両腕で上下に激しく揺さぶりながら肩越しに見下ろして、興奮を増した。佐波に出入りする怒張がさらに張り詰める。抜き出るペニスは赤黒く膨張し、くっきりと筋が浮かび上がって、先端から滲み出る先走りで滑りをよくした。狭い孔が締め付けながらペニスを包み込んでを上下するのは、たまらない快感だった。
「…ぁあ…ン…ッ、ァン…ッ、…ァ…ッッ」
 佐波のペニスは吐精するものがなくなっても上を向いたまま、白濁をこびりつかせた先端を真っ赤に腫らして揺らしていた。突き上げられる衝撃に悲鳴が突いて出る口端からはだらしなく涎が零れ、泣きじゃくった佐波は半分意識が飛んだようにその全身をぐったりと弛緩させて章の胸に凭れて揺れた。
「ごめんな、佐波…もうちっと…ッ」
 章は佐波の両方の膝裏を強く胸に抱き寄せ、佐波の体を縮ませて下から突き上げた。焼き切れたように熱い佐波の体内に太いペニスを押し込んだ。赤い肉に締め付けられる快感。これをもう少しだけ感じていたかった。その章の熱望に対して先に佐波が根を上げた。白い内腿の間から飛び出た佐波の小さなペニスが、激しく続く衝撃に耐え切れずにちょろちょろ、と金色の液体を零し出した。独特のアンモニア臭が立ち昇る。章はそれでさらに興奮を増す自分を知った。覗き込むと佐波は涎で濡れた唇を半開きにして失神していた。
「あー…」
 章が佐波を揺さぶるとそのときだけ量を増して小便が床に散った。フローリングに溜まりを作る佐波の尿を見て章はごくりと唾を飲み、温かなその上に佐波を組み敷いた。佐波の髪や頬やトレーナーが濡れることも構ってやれずに、章は丸い尻だけを掲げた淫らな姿勢を佐波に取らせて、思う様貫いた。まったくケダモノだ、と章が自分を省みれたのは、たっぷりと佐波の中に精液を吐き出した後だった。
3
 がこんがこん、と洗濯機が回る音を聞きながら、章は膝に佐波の頭を寝かせて、まだ少し湿り気の残る柔らかい髪を撫でていた。
「…まぁ、夕方までには…乾く、よな…?」
 語尾を疑問系に霞ませながら、章は佐波の髪をくしゃくしゃと撫で、すっかり寝入っている佐波の顔を覗き込んだ。まだ幼さの残る顔は安らぎに満ちていて、規則正しく寝息が漏れる。その寝顔にほっとして、章は表情を緩めた。
 洗濯機の脱水が終わり、ブザーが鳴った。
 章はそばのクッションを引き寄せてそっと佐波の頭の下に敷き、脱衣所まで歩いた。洗った佐波のトレーナーを引き出してパンパンと皺を伸ばし、そのまま乾燥機に突っ込んでスイッチを入れた。章が部屋に戻ってくると、佐波がクッションに頭を載せたままぼんやりと目を開けて章を見た。
「…おはよ。起きれるか? 佐波」
 章がそばに膝を落とすと、佐波は章を見上げてにっこり笑った。続けて唇を開いて、佐波は自分の掠れた声にビックリしたように口を閉じた。喉を片手で抑える様子を見て章は小さく吹き出した。
「泣きすぎて声が嗄れたんだろ。
 何か飲むか?」
 こくっと佐波が頷くのを見て、章は再び立ち上がって台所まで歩いた。冷蔵庫を開け、佐波のために買ってあったオレンジジュースのペットボトルを取り、出しっぱなしだったグラスに注いだ。部屋に戻ると、ぶかぶかの章のシャツを着た佐波がだるそうに上体を起こしていた。
「ほら、佐波」
 章は佐波の手にグラスを差し出した。受け取る佐波を見ながら章は床に腰を下ろして座った。
「今服は洗ってるからな。夕方までには乾く」
 にこっと笑って頷き、佐波は両手でグラスを持って口へ運んだ。こくこくと佐波の喉が動く様子を眺めて章は表情を和ませた。
「…ぁ、」
「ん?」
 ジュースを一気に半分飲んで、佐波が小さな声を上げた。
「…あき…兄ちゃん…、これ…」
 章は佐波が持つグラスの中を覗いて、少し言葉を飲んだ。佐波を映したオレンジジュースの上に桜の花びらが浮いていた。
「あー…それ、な」
 にこぉっと佐波が笑って小首を傾げた。
「お外から持ってきたの?」
「…ああ、まぁ、」
 佐波の、髪に載っていた花びらだ。
 捨てられずに持って帰った。
 章は佐波の手からグラスを奪い、口を付けて花びらごと口に含んだ。そうしてグラスを床に置くと佐波の華奢な背を抱き寄せて、唇を唇で塞いだ。柔らかな唇は驚いたのか閉じられもせずに、章が注ぎ込むジュースと花びらを受け入れ、喉を鳴らして飲み込んだ。
「…っん、…んっ」
 章はゆっくりと唇を離して、佐波の濡れた唇を舌でぺろりと舐めた。
「佐波、…土曜日、俺と花見するか。もう散ってるかもしれねえが」
 章の言葉に佐波は嬉しそうにくしゃっと笑った。
 その笑顔を眩しく見つめながら、章は桜色の唇にもう一度口付けた。