1

夜間遺精

けたたましい目覚ましの音で僕は目覚めた。
むっくりと身体を起き上げて、いつもの日課になりつつある行為を僕はする。

‥‥今日も出しちゃったみたいだ‥。

僕は何だか情けなくなって泣きそうになる。
朝の日課というのは、パンツのチェック。
ここ最近僕の性器はおかしいのだ。いつも朝になるとびしょびしょに濡れている。
夢精の経験はあったが、こんなに大量に出るのは初めてで何か悪い病気にでもかかってしまったんだろうかと恐くなる。
「それに、なんだか先っちょが赤いみたい‥‥。」
ゆっくりと性器に手を伸ばして触ってみる。

ニチャ‥‥

出してからどれくらい経つのか分からないけれど、そこはまだ生々しく濡れていた。
僕は手を伸ばしてティッシュを数枚取ると、性器の周りの白い液体を拭った。


こんなとこまで垂れてる‥‥。


太股の方まで濡れているのを見て、僕はどんどん惨めな気持ちになってきた。
仕方なくそこも丁寧に拭いて、僕はパンツをはきかえた。
‥‥これはどうしようかな‥‥。

汚いものでも摘むように汚れたパンツを摘んで僕は時計を見た。まだ五時。
多分誰も起きてないから洗面所で洗ってこよう。


そう考えて僕はこっそり部屋を後にした。


音を立てないように洗っていると洗面所のドアがいきなり開いた。驚いて振り返ると、そこには兄が立っていた。
「拓巳、朝から一体何をやっているんだ。」
兄は汚いものでも見るかのように僕を見て不機嫌そうに言った。
「ご、ごめんなさい。うるさかった?」
謝りながら僕は、兄から下着を隠すようにしたが、ぐいっと肩を掴まれて手の中を覗き込まれた。
「‥‥洗濯物なら洗濯機に入れておけば母さんがやってくれるだろう。」
「う‥うん、そうなんだけど‥‥。」
おどおどしながら何て言い訳しようかと頭を巡らせる。

「なんだ、夢精でもしたのか?」
僕が言葉に詰まっていると兄は事も無げにそう言い放った。
その言葉に僕の身体は硬直し、言い当てられたせいで頬が朱に染まるのを止められなかった。
ふんっ、と鼻で笑う声が洗面所に響き渡る。
「大方下品な妄想でもしていたんだろう。低能なお前のやりそうなことだ。」
兄の言葉がグサグサと突き刺さる。

いつも兄は僕に冷たい。兄に優しくしてもらった記憶など僕にはない。
歳が七つも離れていて、話が合わないせいもあるのかもしれないが、一番の理由は兄は馬鹿が嫌いだからだ。残念ながら僕はその馬鹿のほうだった。
兄は現在あの超有名なT大学に在籍中。僕は三流私立の中学生。
なんでこんなにも頭の出来が違うのかと、親は嘆いた。
僕も嘆いた。

兄は僕の事を恥と言ってはばからない。僕も僕みたいな奴が兄の弟であることを申し訳なく思っているし、冷たくされても仕方の無いことだと思っている。

だから、何を言われても口答えなんか出来ないんだ。


「おい、洗うならさっさとしてくれないか。風呂に入りたいんだが。」
兄に声を掛けられて、はっと我に返る。
「ご、ごめんなさい。もういいから。」
洗い途中だったけれど、洗剤の付いた下着を軽く絞ると、それを持って兄の横を擦り抜けるように洗面所を後にしようとした。
すると、ぐいっと腕を引かれた。なんだろうと思って後ろを振り向くと兄の厳しい顔があった。
2
何か怒られるのだろうかと身構えていると、ふっと力が緩んで手が離された。
「‥‥‥何でもない。さっさと出ていけ。」
兄はそう言って僕に背を向けると、パジャマを脱ぎ出した。
僕は洗面所のドアを出て、溜め息を一つ吐いて自分の部屋に戻った。


その日の夕食から僕は水分を取るのを控えた。
全然関係ないかもしれないけど、精液だって一応水分だし。控えればちょっとは抑えられるかもと考えたからだ。

 それなのに‥‥、


「拓ちゃん。お兄ちゃんが紅茶入れてくれたわよ。」
お風呂から上がってリビングを通りかかると、お母さんに呼び止められた。
手招きされて、仕方なくリビングに入る。部屋の中は紅茶の香りでいっぱいだった。
最近兄は本格的に紅茶を入れるのに凝っていて、毎夜家族に振る舞うのだ。
飲みたくないけど、夢精をしてしまうから飲みたくないなどとはいくら馬鹿な僕でも言えない。
カタンと席に着くと、眼の前にふんわりと湯気の立ったマグカップが置かれる。
「お前は虫歯になりやすいからな。いつものように少し苦くしておいたぞ。」
僕は紅茶のことは全然分からないんだけど、兄が入れる紅茶は外で飲むのより、ずっとずっと苦かった。
お母さん達は美味しいって飲んでいるけど、僕は苦くて好きになれなかった。
「‥‥これ、部屋でゆっくり飲むね。」
早口で家族にそう告げて、僕はカップを両手で持って急いでリビングを後にした。


僕は自分の部屋に戻る途中でこっそりとトイレに寄って、紅茶を捨てた。

ごめんなさい、お兄ちゃん。

渦を巻いて流れる紅茶を見ながら僕は手を合わせた。


真っ暗な部屋に入って、僕は机に空になったマグカップを置くとベッドに潜り込んだ。ころころと寝返りを打つ。
‥‥‥なんか、眼が冴えてるな。

最近の僕はすごく寝付きが良かった。なのに今日は全然眠くならない。何度も何度も身体の向きを変えながら寝ようと努力していた。


そんな風に過ごしながら何時間たっただろう‥‥。
やっと瞼が重くなり、意識が途切れ途切れになってきた時だった。
“キイッ”
耳に扉が軋む音が飛び込んできた。

僕は眼を瞑ったまま動けないでいた。すると、“ミシッ、ミシッ、、”と床が軋んで誰かが僕に近づいてくる。
お母さんが、、僕がちゃんと寝ているかどうか確かめに来たのかな?
ウトウトする頭でそんな風に考えていたら、いきなり勢いよく掛け布団がまくられた。
冷気が身体をつつんで、無意識に身震いしてしまった。
まだ僕は眼が開けられないでいる。
すると、ベッドが沈んで誰かが腰を掛けたのが分かった。

なんだろう‥、一体何が‥‥


不意に硬直している顔に暖かいものが触れた。
頬を優しくなぞるように触れてくるそれは、
 手、だった。

しかも多分男の。
3
お父さん‥‥?お母さんじゃないんだ‥‥。


そう思ったときだった。
ベッドが大きく軋み、顔に生暖かい風が降りかかった。
人の熱を感じたとき、僕の唇に柔らかいものが触れてきた。
触れたと同時に僕の唇を割ってヌルリとした熱いものが口内に押し入る。

 何これ‥?もしかして‥‥舌?
心臓がドクドクと打ち始めた。
 これって、キス、されてるんじゃ‥‥
ぐちゅぐちゅと音を響かせながら僕の口内を蹂躙する舌は恐ろしいのに、どこか甘美だった。
お父さんかもしれないのに、僕は口を少しだけ開けて舐めやすいように自分の舌を差し出してしまう。
すると、僕の期待に答えるかのように僕の舌に熱い舌が絡まり、ぐちゃぐちゃにいたぶられた。
寝ていないことを感づかれたくなくて、唾液を飲み込めないでいると、口の端から溢れるように零れてしまった。
僕にキスをくれながら、その人は片手で僕の前髪を優しく掻き上げ、もう片方の手で僕の耳たぶを優しく揉み込んだ。
僕の口の中を奥まで散々なぶり倒して、やっと舌が引き抜かれたときは、僕の口の周りはびしゃびしゃだった。
拭きたいな‥、そう思っていたら心が読まれたかのようにティッシュで優しく拭われた。
丁寧に拭かれ、綺麗になったところで今度は軽くキスをされる。ついばむようなキスの合間に呟きが聞こえる。
「‥‥‥拓巳‥拓巳‥‥。」
ちゅっ、ちゅっ、という吸い付くような音に混じって聞こえるその声は‥‥
お父さんよりも、もう一段階低いその声は‥‥‥


 絶対に兄のものだった。


お兄ちゃんが僕にキス、、
あの僕を嫌っているお兄ちゃんが‥‥

気づかれないように薄く眼を開けてみると、眼の前に兄の長い睫毛があった。

 やっぱりそうだ‥

僕はぎゅっと眼を閉じた。
何で兄が?という疑問と起きているのがバレたら怒られるという強迫観念に襲われた。
兄は僕の唇に吸い付きながら、ゆっくりと僕のパジャマの釦を外し始めた。心臓の音は兄に聞こえるんじゃないかと思うほど高鳴っている。
兄はパジャマの釦を全て外すと僕の胸に冷たい手を滑り込ませてきた。

触られたら、心臓がドクドクいってるのがバレちゃう‥‥。

必死に落ち着こうとするものの、僕の鼓動は早まるばかりだった。兄の手はすぐに僕の胸の先端に辿り着く。ぐにぐにと指の腹で潰されながら周りの肉を寄せるように揉み上げられた。
「‥っ、ぁう‥‥」
初めて体験する刺激に思わず声が漏れてしまった。
その瞬間、兄の手がぴたりと止まった。

 ばれた、、
胸の鼓動はどんどん早まっていく。兄の視線が震える僕の瞼に注がれているのが痛いほど分かった。
しかし、兄の鼻で笑う声が聞こえた他は、特別僕に何も言ってこなかった。

気づかれなかったのかな‥‥?
そう考えていたら、ぎゅうっと乳首が捻り上げられた。思わず声が漏れそうになるが、寸での所で堪えた。
4
兄は僕の乳首を指先で摘み上げたまま、舌先で先端の窪んだ部分を愛撫した。
クリクリと濡れた舌が動く度に痛いのと気持ち良いのが混ざって、ジーンと何かが身体を駆け抜ける。僕はそれに耐えられず、くねくねと動いてしまった。
兄は僕の胸から口を離してずり上がり、僕の耳元に顔を近づけた。
「今日の拓巳はよく動くな‥‥。」
僕の耳を噛みながら呟いた。
「紅茶に入れている睡眠薬の量を今日は多くしたはずなんだが‥‥。」
そう言って兄はくすくすと笑う。


睡眠薬、、僕はいつもそんなのを飲まされていたの‥‥、

疑問が頭の中をぐるぐると回った。
「そのまま寝ていろ。今日はいつもより気持ち良くしてやる。」
 ぴちゃっ、と音がして首筋に熱く濡れた舌が押し当てられる。時折皮膚を吸い上げながら兄は僕のあらゆる所を舐めだした。
釦を外しただけだったパジャマも強引に脱がされた。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、肌に唾液を塗り込められる。兄の舌が僕の思考能力までもを舐め取っていくようだった。
「石鹸の良い香りだ。恥ずかしくて洋服が脱げないくらいに僕の跡を残してやろう。」
僕のお腹の肉を痛いくらいに吸い上げながら兄の顔はどんどん下におりてゆく。
おへその穴にも遠慮無く舌が差し込まれて、掻き回された。
「‥っん‥、ふ‥はぁ‥」
必死に閉じようとするのに口は僕の意志とは関係無く開かれ、甘い溜め息が漏れてしまう。


お兄ちゃんは気づいているの‥‥
僕が本当は起きてるって‥‥

分からない。でも、僕はこのまま寝たフリをしているほうがいいような気がして眼が開けられなかった。

兄はおへそを舐めながらずりずりと僕のパジャマのズボンを脱がせた。僕の身に付けているものは白いブリーフだけになった。


どうしよう‥‥、見られちゃう。
兄の舌の刺激によって、僕のペニスは絶対に勃ち上がっているはずだ‥‥。
舌がおへそから離れると同時に、僕の内股に手がかかり強引に大きく左右に割られた。
内股の肉の柔らかい部分をぐいぐいと押さえつけられ、限界まで開かされる。

「‥‥こんなに濡らして‥、中学生になってまでお漏らしか?」
そう言って兄は僕のパンツの上から亀頭をずるずると撫でた。
「っふぁ‥!」
もう声は抑えられなくなっていた。
兄はくりくりと円を描くようにして手首を回して僕のペニスに刺激を与える。
ぐちゅぐちゅと音を立てて、布とペニスが擦れた。
「パンツの上から触っただけなのに、お前の液はいやらしく糸を引くぞ‥。」
僕のペニスから兄の手が離れた。
その代わりに僕の内股に生暖かい息がかかった。
兄の顔が僕の股間にあるのが分かる。ぬるっと太股の付け根に兄の舌が這った。


そこじゃないっ‥
もっと触って欲しかったよぉ‥
じかにペニスに触れて、ぐちゃぐちゃにして欲しかったのに‥‥

僕の頭の中は、欲望でいっぱいになっていた。
5
焦らすように太股をちゅうちゅうと吸われ、気が狂いそうになる。
触れてほしくて堪らない、はちきれそうに膨れ上がったそこに僕は無意識のうちに手を伸ばしていた。
「ああ‥っ、ふぁぁ‥‥んぅ、」
少し触っただけなのに気持ち良すぎて声が漏れる。
パンツの上から触ったペニスは本当にびしょびしょに濡れていた。

「おい!何を勝手に触っているんだ。」
ぐいっと手を掴まれた。
「‥お前は寝ているんだろう?寝ている奴が自分のペニスをしごいちゃいけないな。」

そんなこと言われても、もう僕の理性は限界だった。
ペニスを触りたくて堪らない僕は、兄の手を振り解こうともがいた。
「ほらほら、寝相が悪いにもほどがあるぞ。」
そう言って兄は僕の手を強くベッドに押さえつけながら、またキスをしてきた。

 くちゅり、と音を立てて舌が進入してくる。
僕は触ってもらえないもどかしさも伴って、兄の舌を強く吸った。
吸っている間、兄は舌先を使って僕の上顎をちろちろと舐める。
「んふっ‥!んむぅ!」
もっと奥に欲しくて我慢できない。そう感じていたとき兄の僕を押さえつける手が離れて頬に添えられた。
僕は手が離れたのをきっかけに、兄の首元へ抱きついていた。
「んんっ、、んっんっ!んぅ‥、」
抱きついたまま少し身体を起き上げて兄の口内にじゅぷじゅぷと僕の舌を乱暴に入れる。
差し入れたまま、口を大きく開けて兄の零れた唾液も全部僕の口に落ちるようにした。
むさぼるように兄の口を求めていたら、胸を強く押されて透明な糸を引きながら舌が抜けた。


その瞬間‥‥僕は眼を開けてしまった。


眼の前に兄がいる。
いつもきちっとセットされている髪は乱れ、前髪の間から見える眼は見たことの無い光をたたえ、妖しく僕を見据えている。唇は先程のキスのせいで真っ赤に濡れて光り、唾液が顎を伝っていた。

ぞくりと何かが背中を這った。
見たことの無い兄の顔は、僕の心をぐんぐん突き上げる。


「起きたのか‥‥。」
兄は呟きながら僕のパンツの中に手を滑り込ませた。
「あああっ!!やっ、やぁっ!んっ‥」
ぎゅっとペニスのくびれた部分を掴まれた。
兄の大きな手で包まれ、ゆっくりと上下に動かされる。
「ひあああっ!!あっ、あっ、あっっ!」
僕の喘ぎ声と、ぐちゅぐちゅっと液にまみれたペニスをいじくる音が暗い部屋に響き渡った。
「‥‥眼を開けたんだったら覚悟しろよ。どこもかしこもめちゃくちゃにしてやる。」
兄は片手に僕のモノを握りながら、もう片方の手で僕のパンツを乱暴に引きずり下ろした。
「いやぁっ!!お兄ちゃん、はずかしいよ‥」
僕はとうとう裸になった。
「今更何を言う。こんなにズルズルに濡らしてるほうが恥ずかしいだろう。」
僕のペニスを、兄はにちゃにちゃと音がするようにしごき上げる。
茎をしごく手を止めずに、もう片方の手で僕の亀頭を包み込んだ。
兄は僕のペニスの先端に人差し指を伸ばすと、ぐちっ、とえぐるように小さな穴を擦り上げた。
「う、ひはぁ!!そこっ、そこぉっっ!!」
刺激が強すぎて、瞼に涙が滲んでくる。
痛いのに、その間に見え隠れする少しの快感が僕の頭を支配した。
「お前ちょっと喜びすぎだ。自分の弟がこんなに淫乱なやつだったとは、兄として恥ずかしいよ。」
兄は僕の恥液まみれのペニスの先端にキスをした。そしてチロッと舌を出すと穴の中に無理矢理食い込ませていった。
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