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ファミレス

いつものように人もまばらな深夜のファミレスで本を読んでいた私の目は、入ってきた二
十歳くらいの三人連れに吸い寄せられた。
一人はアッシュカラーに髪を染めピアスをした、今風の色黒の青年、もう一人は青いシャ
ツを着た、くっきりと整った目鼻立ちの青年。
いずれも魅力的な若者だが、それよりも私の目を釘付けにしたのは最後の一人、白いジャケ
ットを羽織った色白で柔和な面立ちの青年の、怯えた小動物のような瞳だった。
動物が狩る者と獲物に分けられるとすれば、彼は間違いなく後者だ。
私が最も好むタイプでもある。
二人がどこかおどおどした様子の青年を両脇から挟むように誘導し、店の一番奥まった席
に座る。運良く私からほぼ真正面の場所で、本から横目で視線を外せば、彼らの動きをつ
ぶさに観察できた。
どういった関係なのだろう。前者二人がどこか意地悪い笑みを浮かべているのとは対照的
に、挟まれて座る青年の表情は酷く強張っている。
頬が赤く見えるのは、気のせいだろうか。
「どした、貴博?元気、ないじゃん」
ピアスをした方の青年が、俯いたままの顔を覗き込む。
「そうでもないよ。こっちはかなり元気」
反対側に座っている青いシャツの青年は、そう言いながら貴博と呼ばれた青年のジャケッ
トを開き、股間に指を這わせた。
「ガチガチに勃起してる。ずいぶん湿気っぽいね」
驚いたことにその言葉通り、彼の股間の肉は完全に勃起し、はっきり形が分かるほどにコッ
トンパンツを押し上げている。
男の指が意外に大き目の肉の形をなぞりながら、ゆっくりと上下する。
「ぁ・・・」
声というより吐息と呼ぶべきうめきを漏らし、眉根を寄せた貴博がぶるりと身を震わせた。
「パンツの中、もうグチャグチャってこと?」
ピアスの青年が笑い、男根への刺激に耐えている貴博のTシャツの裾に手をかける。
少し捲り上げられた下から白い肌と、コットンパンツのウエストに挟められた、何かのコ
ントローラーが見えた。
「ケツ、そんなにイイんだ?」
抜き取られたコントローラーから伸びたコードは、コットンパンツの中へと続いている。
コントローラーには小さなスライド式のスイッチがついていて、今は中ほどに設定されて
いた。
おそらくそれはバイブレーターで、しかも肛門を刺し抜いているに違いない。
貴博は尻にうねるバイブを挿入され、町なかを歩かされていたのだ。
彼の真っ赤な顔は、彼が尻穴への責めに感じてしまっていること、つまり異物に掻き回さ
れることが快感になるほどに調教が進んでいることを教えてくれる。
ピアスの青年の日に焼けた黒い手が、コントローラーを哀れな被虐者に見せつけるように
振った。
「声、出すなよ。出したら店ん中にいるヤツ全員に、バレちゃうからさ」
スイッチがスライドし、私の耳にもかすかなモーター音が聞こえてくる。
「んぅ・・・・・っ!」
いきなりバイブの震動を最大にされ、貴博の身体が大きく仰け反った。
もじもじと膝を拠り合わせ、膝に乗った拳を硬く握り締める。
「ぅふ・・・ぅ・・・・ふぅ・・・っ・・・」
歯を食いしばってはいるが、薄く開いた唇がわなないている。
我慢しきれずに漏れ出す甘い吐息と汗ばんだ首筋を、私は生唾を飲み込みながら視姦する。
目の前の青年が、公衆の面前でバイブに尻を犯されて悶えている。
バイブのうねりに前立腺をこね回され、尻もチンポもトロトロになりながら震えているの
だ。
本当に素晴らしい光景。
だが、それはまだ、ほんの始まりでしかなかったのだ。
2
「ほら、あんまり大きく動くな。注目されたら嫌だろ?」
青いシャツの青年が貴博の肩を抱き、自分の方へ向かせる。
反対側の手で肉棒をしごき上げ、さらに亀頭の辺りを縦方向に爪でカリカリと引っ掻き始
めた。
「はひっ・・・いぃっ・・・!」
痺れるような疼きがチンポ全体に広がったのだろう、貴博が奇妙な浅い息を繰り返しなが
ら抱き寄せた相手の肩に体重を預ける。
「足、もっと広げろよ。ほら」
今度はピアスの青年が貴博の膝を引き、股を開かせて自分の腿に乗せる。
「・・・ーーーーーっ!」
途端に貴博が、ひゅううっと喉を鳴らして空気を吸い込んだ。
目が大きく見開き、だらしなく開いた口から紅い舌が覗いている。
足を開いたことでズボンの股の縫い目が引っ張られて尻に食い込み、バイブがより奥深く
に押し込まれたのだ。
最大に激しいうねり運動をこれ以上ない深い挿入で受け止め、しかも敏感な亀頭を爪でし
ごかれながら、彼は息もせずに硬直し続ける。
あの表情では、恐らく絶頂のほんの一歩手前まで追い詰められているに違いない。
「まだイくんじゃねーぞ」
寸前まで追い詰めておきながら、ピアスの青年がスイッチを中ほどまで戻した。
弛緩した貴博の身体ががくんと揺れ、椅子の背にもたれる。
だが、うねりが止まったわけではない。
今度は中途半端でねっとりとした刺激が、射精を待ちわびる前立腺をゆるゆると侵食する。
「いやらしいヤツだな。こんな場所でイく気かよ?」
青シャツの青年が、肉棒の先端の縦目に沿って生地を引っ掻く。
「ぅく・・ぅ・・・んふ・・・っ」
苦悶の表情とは裏腹に、甘えるような吐息が鼻から抜ける。
「変態。マゾ奴隷。淫乱」
心を抉るような言葉を投げかけながら、鈴口をしごく。
「ふぅひぃ・・・はひぃ・・っ・・・ふはっ・・・ぁ・・・」
それとともにバイブのスイッチまでもがON/OFFを繰り返され、尻の性感を高めてゆく。
前後の性器への、執拗な責め。
尻を嬲られ肉棒をくじられ、今にも熔けてしまいそうなほどに紅潮する貴博の身体。
「変態らしく、チンポ、出すか?」
青シャツの青年に言われ、貴博が慌てて股間を両手で覆った。
「やめて・・・っ」
「手は横って、いつも言ってるだろ」
ピアスの青年が、非情にもバイブの出力を最大に上げた。
「んぁ・・・・っ!」
途端に貴博の身体ががくんと跳ね、押し殺した喘ぎ声が喉から絞り出される。
陰部を守る手が両脇に流れ落ち、無防備になった股間に青シャツの青年の手が伸びる。
「下ろすよ」
ファスナーはほんの数センチ下ろされると、ズボンの中でガチガチに勃起した肉に押され
て全開になり、そこからグレーのトランクスに包まれた肉茎が飛び出した。
先走りでぐっしょり濡れた生地が濃い色に染まり、亀頭にぴったりと張り付いて形を誇示
している。
「ベチョベチョだな」
青シャツの青年に顔を覗き込みながらそう言われ、貴博が恥辱に染まった顔を背ける。
「ケツ掻き回されて濡らすなんて、ホンモノの変態だよな」
追い討ちをかけるようにピアスの青年がせせら笑い、バイブのスイッチを何度もスライド
させる。
「んぐっ・・ぅ・・んふっ・・!」
バイブの動きに合わせて腹筋が収縮し、窓から飛び出している肉棒が上下にひくつく。
私は、空しく天を突き上げながらさらに染みを大きくしてゆく、茎の先端から目を離せな
かった。
3
あの薄い布の内側で震える肉がどんなに甘美でいやらしく、屈辱的な快感を吐き出し続け
ているのかを考えただけで、私自身のモノまでが固く勃起する。
「先っぽヒクヒクさせちゃって。これ、キツいんだろ?出してやるよ」
涙に潤んだ目が救いを求めるように青シャツの青年を見たが、彼はさも馬鹿にした視線で
一瞥をくれただけで、ボタンを外してしまう。
「我慢すんなよ。こうして欲しかったんだろ?」
トランクスがずり下げられ、ぷるんと揺れながら肉棒が顔を出した。
色白の貴博に相応しくピンクがかった色の、雁高で形の良いペニス。
「もの欲しそうなチンポだな。尿道がパクパクしてるぞ」
裏筋を根元から亀頭に向かってしごき上げられ、尿道に溜まっていた先走りが鈴口から溢
れ出す。
「あーあ。ぐちゃぐちゃのべちょべちょ」
ピアスの青年が蔑むように笑い、相変わらずコントローラーを忙しなく操作しながら言う。
「しごいてやれば?簡単に射精させないように、慎重にな」
「分かってるって」
青シャツの青年の手首が上下し、ここまでクチュクチュと聞こえるほどの勢いで摩擦が始
まった。
「ーーーーぅ・・・!ひぅっ・・・うふーーーーっ!」
先走りでたっぷり濡れた肉を直接しごかれては、もう貴博には周囲にばれないように耐え
ることなど不可能だった。
波打つように全身を震わせ、それでも必死に悲鳴を飲み込み、淫らなダンスを踊り続ける。
皮膚が粟立つほどの快感が尻穴と肉棒から波紋のように広がり、そこかしこで弾けて新た
な快感の火種となる。
だが、イきそうになると途端に二人の愛撫は鈍くなり、まるで消えそうな熾火にそっと息
を吹きかけるみたいに緩やかでこそばゆいものへと変わる。
そして散々焦らされた貴博が切なさに身をよじる頃に、再び激しい責めを再開するのだ。
「ーーーーーっ・・・ひっい・・っ」
「泣くほどイイのか?」
「どっちが感じるんだ?ケツか?」
スイッチが最大と最小の間を小刻みに往復する。
「んぅーーーーーーっ!」
「おいおい、ケツの方が好きなわけじゃないよな?それじゃまるきり変態だもんな」
そう言いながら尿道に親指をねじ込み、グリグリと肉棒の芯を嬲る。
「んっ!ぅっあ!ぁ、あ!あ!」
快感に翻弄され、揺れる痴態。
「たいした乱れよう」
ピアスの青年が貴博の顎を掴み、真正面を向かせる。
「あのオッサンも、呆れて見てるし」
4
貴博の涙に濡れた目が私を見つけ、まるで死刑宣告を受けた受刑者のように悲痛な表情を
浮かべた。
「ゃ・・・ヤっ・・・あ!」
私の視線から逃れようとする貴博の肉棒を、青シャツの青年がゴムを伸ばすみたいにグイ
グイとしごく。
「お前がこのスイッチでケツん中掻き回されながら、生チンポしごかれてる姿、全部見ら
れてたみたいだな」
両脇の二人が私を見て、薄笑いを浮かべる。
ピアスの青年がコントローラーをこちらに向け、私に差し出すように軽く持ち上げた。
「今度はあのオッサンにしてもらうか?」


私はゆっくりと立ち上がり、激しくかぶりを振って否定する貴博に歩み寄る。
貴博の真正面の椅子に腰掛けた私は、ピアスの青年に渡されたコントローラーを受け取っ
た。
「こんなところで先走りベチョベチョのチンポを出すなんて、悪い子だ」
私はそう言いながら、コントローラーのスイッチを最強方向に押し上げた。