2
「やめろ!痛っ・・・誰か!!」
アスファルトに引き倒された青年は恥も外聞もかなぐり捨てて助けを呼んだが、こんな夜
中にこの道を誰も通らないことは、彼が一番よく知っていた。
青年は頭の上で両手首をひと括りに押さえつけられ、肩を地面に押し付けられ、ズボンと
トランクスを一緒に膝まで下ろされてなお、激しく身を捩る。
そのせいでアスファルトに当たった背骨が酷く痛んだが、彼は釣り上げられた魚がそうす
るように、全身を大きくくねらせて逃亡を試みた。
「いいかげん、諦めろって」
ドス!と鈍い音がして、青年の脇腹にスニーカーの爪先がめり込む。
「げ・・・っ・・・ぅ・・・」
呼吸困難になるほどの痛みに、青年の動きが止まる。
「そうそう、無駄な努力はやめたほうがいいって」
方々から手が伸びて邪魔になっていた靴が脱がされ、ズボンもトランクスも足から抜き取
られる。
剥き出しになった青年の下半身が、薄暗い街灯に照らされて闇に浮かび上がった。
「へえー、なかなか立派なモノがついてんじゃん」
その言葉通り、青年の陰茎は縮こまっている今でさえ、ある程度の大きさと形のよい亀頭
を見せている。
だが、それを視姦する男たちには、彼の男性器など何の意味も無い。
彼らの目的は、閉じた肉丘に隠された部分にあるのだ。
「そっちはいいから、早く穴の方、見せろよ」
二人が青年の両側にしゃがみ、片足ずつ掴んで胸側に引き上げながら左右に割り開く。
「う・・ぅ・・・あっ・・・」
必死の抵抗を続ける青年の足が大きくM字に開き、それに従って尻が地面から浮き上がり、
尻穴を天に向ける。
やがてこれ以上は無理なくらい股が広げられ、青年の彼自身すら見たことの無い部分が露
わになった。
細かく皺を寄せて引き締まったそこは、彼がそれを排泄以外に使ったことが無いことを男
たちに教える。
「間違いなく処女だな。ケツ毛も無いし、きれいな穴だ」
「嫌だ!誰か!助けてくれ!」
青年がもがいたが、上半身と両足を押えられたままでは、唯一自由な尻が上下左右に揺れ
るだけだ。
しかも限界まで開脚させられているために丸見えになった肛門が、引き攣る腹筋の動きに
合わせてひくんひくんと収縮する様まで晒されている。
「ケツ穴ひくひくさせて、誘ってんのかよ」
男たちが笑い、足の間に陣取った一人が尻の谷間に唾液で濡らした指を這わせた。
ひやりとした感触に驚いたのだろう、開ききった尻たぶは動かなかったが、会陰が波打ち
肛門がきゅうっと締まって引っ込む。
「感度、いいじゃん」
感触を確かめるようにゆっくりと谷間をなぞる。会陰から尻穴を伝い、尾てい骨まで。
何度か往復した指が、肛門の上でぴたりと止まる。
「すぐにハメてやる。嬉しいだろ?」
「い・・・っやだ・・・ぁああっ・・!」
節くれだった人差し指が狭い入り口を割って入り、青年は悲鳴を上げながら硬直した。


大量のローションが塗られたとはいえ、初めての挿入は体を真っ二つに裂かれるのではな
いかと思えるほどの痛みを青年に与えた。
3
「ぎゃああぁあああああああっ!」
「すっげ、狭ぇよコイツ」
慣れない挿入に加え、青年自身が異物を拒んでいるのだから当然だった。
ほんの1cm進むだけで、耐えがたい激痛が青年の全身を駆け巡り、心を引き裂く。
少しでも痛みを避けようと青年が頭の方向にずり上がったが、それも周囲の男たちに固く
押さえつけられることで封じられた。
逃げ場を失った青年を、男根が容赦なく貫く。
「ぁああぁぁあああ!!・・・ああぅ・・っ・・・はっ・・・ぁ・・・っ」
無理に広げられた腸壁が悲鳴を上げ、骨盤が軋む。
犯される恐怖、全身を覆う激痛、自由を奪われ淫らな格好を強要される屈辱。
やがて全てが腸内に収まり、あたりに一瞬の静けさが戻った。
「きっつー。俺のチンポまで痛みそう」
「さっさとしろよ。後がつかえてんだから」
「分かってるって・・・」
ずるりと肉棒が引き出され、巻き込まれた腸壁が普段ではあり得ない方向に引き攣れる。
「いっあぁあっ!・・・ああーーーーっ!」
間、髪を容れず、尻肉と腰が打ち合わされる音と青年の絶叫が響く。
まるで丸太で串刺しにされたような痛みが、乾いた音を伴って何度も青年を襲う。
「うっわ・・奥の方、なんかグニグニ動いてて・・・すっげーイイ」
「ああーーっ!あっ・・うぅあ・・ああーーーっ!」
「やっべ、俺、もうイっちゃいそ・・・っ」
一人目が青年の中で果てたのは、ほんの数分後だった。
半分抜けかけていた男根から注ぎ込まれた熱い精液が、陵辱に腫れた腸壁を焼き、溢れ出
て尻を汚す。
「あ・・・うっ・・・」
詰め物を引き抜かれて、まだ僅かに口を開けた肛門に夜風が吹き込む。
だが、これで終わったわけではなかった。
「お前、早過ぎだって」
笑いながら、二人目が青年に覆い被さる。
「見てろ。俺のでこいつをヒィヒィ言わせてやっからさ」


広げられた括約筋は、ローションとザーメンのぬめりもあって、二人目の肉棒をさして苦
も無く飲み込んだ。
エラを張った亀頭が直腸を押し進む動きが、青年の背筋に先ほどとは明らかに違う、えも
言われぬ感覚を引き起こす。
「んぅ・・・っ・・・・はぁ・・・・っ」
4
無遠慮に突っ込むだけだった一人目と違い、角度を考慮した侵入には腫れた壁面を荒らさ
れる痛みだけでない別の刺激があった。
敏感になった腸壁を柔らかいカリが撫でる感触。
奥の奥まで広げられ、詰め込まれる刺激。
どこか甘やかな、体の芯が痺れるような感覚。
無関係のはずの陰茎の根元からじんわりと熱くなるような。
「あ・・・ん・・・っ」
青年の唇から、押し殺した吐息が漏れた。
「どうだ、俺の、イイだろ?」
青年の反応に気をよくした男が、覆い被さるように顔を覗き込む。
「今からもっとヨくなる」

決して激しくない、しかしリズミカルなピストンが開始された。
無理に引き抜かずに尻たぶの肉の分だけ押し込む緩やかな動きに、最奥を蹂躙する亀頭が
小刻みに前後する。
何度も角度を変えながら繰り返される行為のさなか、青年の腰骨の中心にずうんと甘い感
覚が訪れた。
「あ・・・っ!」
表情の変化を読み取った男がしつこくそこを突き上げる。
男自身も男根の先端に、ある器官の触感を感じていた。
「・・・ここだな」
男がいきなり大きく腰を振り、目標めがけて強く深いピストンに切り替える。
その動きが青年の前立腺を正確に捉え、叩き、抉る。
「んっあ・・ああぁあっ!あっはっ・・・ああっ!」
快感の源を刺激され、甘い違和感に過ぎなかった感覚がはっきりとした悦びに変った瞬間
だった。
男が腰を打ち込むごとに生じる快感に、青年が喘ぎ悶え、身を捩る。
すっかり縮こまっていたはずの肉棒までが熱を帯び、臍まで届くほど反り返る。
「マジかよ・・・ほんとに勃起してるぜ」
「だから言ったろ。ボサっとしてないで、しごいてやれよ」
得意満面の男に促されて、押さえつけている男たちも、空いた手で放置された男根や乳首
を掴む。
血管を浮き立たせた肉の棒をしごかれ、青年は下半身の表にも裏にもビリビリとした快感
の奔流が押し寄せるのを感じた。
「ヤっあっぁああああっ!あうっんっ!んっあ!んっ・・!」
ピストンに揺さぶられて弾む悲鳴は男たちを拒むが、しかし明らかに愛撫に感じて切ない
響きを含んでいる。
「ひぃあっあ・・っ」
充血して豆粒みたいに膨れた乳首をぐいとひねられ、電撃が走る。
同時に与えられる無遠慮な茎への刺激と前立腺圧迫に押し出され、開いた鈴口から先走り
が小便のように迸った。
「ああぁーー・・・っ・・・ぁあ!!っあ!」
「すっげぇ・・・マジ、すっげ・・・」
傍らで見ていた一人が青年の痴態に興奮して堪らずファスナーを下ろし、自分自身をしご
き始める。
「あひっ・・・あっ!んうっ!あんっ・・あっくぅんっ!」
青年にとっても、こんな激しい快感は初めてだった。
いつもは射精時に味わう脳の髄まで痺れるような快感が、男根で尻を抉られることによっ
て何度も何度も全身を駆け抜けるのだ。
三箇所の性器が一本の糸で繋がれ、そこに高圧電流を流されているような目も眩む激しい
快感。
5
「あぁーーっ!あっあーーー!」
快感と屈辱と恐怖が綯い交ぜになり、青年が泣き叫ぶ。
その間も休むことの無い愛撫に絶頂の兆しの痙攣が訪れる。
だがその瞬間、男が一際激しい突き上げで快感を散らしてしまう。
「ぐぅあっ・・・・ぁ・・・・っ」
射精寸前から引き戻され、耐えがたい切なさが青年の性器を焦がし、疼かせた。
「おい、前、あんま強くしごくなよ。フィニッシュは俺がキメるんだからさ」
「フィニッシュって、お前、トコロテンでイかせるつもりかよ?」
「いいから見てろって」
男が再び元の角度で深く犯す。
肉棒の先端で前立腺をゴリゴリとこすり、カリに纏わりついた腸壁が動きに巻き込まれて
捩れるように。
「ぁはああーーあっ!はっあっあーーーーっ!」
あの、射精にも似た衝動が犯されている尻から筒先まで貫き通す。
「はひっ・・・も・・・っ」

(もう、イく・・・)

しかし、青年が最後の自尊心を手放して快感を開放しようと思った次の瞬間、男はまたあ
の激しいピストンで痛みを与えて射精を許さない。

(ま・・た、・・・こんな・・・っ・・・も、俺・・・っ)

繰り返される絶頂寸前の快感。
青年の口元からだらしなく涎が零れ落ち、涙に潤んだ目が非情な陵辱者を熱っぽく見る。
「イきたいか?」
「う・・ぁ・・・・あぁっ・・んっ!」
「なんだ、違うんだ?じゃ、俺だけ勝手に出すぞ」
「あっ!あ・・・ぁ・・・っ」

あれほど拒絶を叫んでいた口から出た言葉は。
「イ・・・かせ・・て・・・っ」