2
全裸にされて、両手を後ろ手に手枷で繋がれた。
コンクリートの床に転がされて、下敷きになっている腕が痛い。
コックリングも付けられているので、今は萎えているからいいけれど、勃起すればこっち
も痛むだろう。
「今日はなにして遊ぶ?」
茶髪が俺の腰骨を踏みつけながら聞くと、金髪が天井を見上げてさも考えているような顔
を作ってみせる。
「先週の浣腸、面白かったよな」
「あれ、やんの?臭くて大変だったじゃんよ」
二人が言っているのは、先週の土曜日にやったゼリー飲料の浣腸のことだ。
公園に連れ出され、アルミパックのゼリーを何本も尻から飲まされ、鉄棒に跨らされて何
分もつか賭けの対象にされたのだ。
まだ夜は肌寒いというのに冷たいゼリーを注入されて、腹の中がひどい下痢と同じ状態に
なって地獄の苦しみだった。
しかも鉄棒に跨っていたので自重で棒が割れ目にめり込んで排泄も許されず、俺は苦しみ
のあまり、人に見られるかもしれない危険も忘れて吼えた。
全身を冷たい脂汗が覆った頃、我慢できずにとうとう腰を浮かせてしまい・・・
「でも、面白かったろ?まさか20分も我慢できると思わなかったしさ」
「お前は勝ったから面白かったろうけどさぁ」
「ま、確かに糞まみれなのは勘弁だけど」
まるでテレビの感想を言うような気軽さで、俺の心をズタズタにする台詞を口にする。
彼らにとって、俺はどうにでもできるオモチャでしかないのだろう。
「で、どうする?たまに、フツーにハメる?」
「そうだな・・・こいつに決めさせるってのはどう?」

「お前、先週頑張ったからさ、今日はお前が決めていいよ」
茶髪がしゃがんで、俺の顔を覗き込む。
綺麗に整えられた眉毛のせいで人工的な印象を与える顔は、笑うと眉尻が歪になって醜い
と思った。
「そうだ、俺らがサービスしてやるよ。ケツとチンポ、どっちで気持ちよくなりたい?」
どちらを選んでも、ろくなことにはならない。
以前、満員電車の中でファスナーを下ろされ、オナニーホールでしごかれたことがある。
周囲に気付かれたくない一心で必死に声を押し殺したけれど、俺は人込みに囲まれて公共
の場所で射精してしまった。
今でもあの時のことは悪夢となって俺を苦しめる。
すぐ横に立っていたサラリーマンの侮蔑そのものの視線が、いつまでもこびりついて離れ
ない。
「さっさと選べよ。じゃないと、今日も浣腸するぞ」
気の短い金髪に肩を小突かれ、俺は観念することにした。
「チンポで、お願いします・・・」
俺にも男のプライドはある。
同じ苦しむにしても、尻を責められての射精は惨め過ぎる。

「じゃ、決まり。今度はファミレスで射精とかさせよか?」
「それも面白いけど、どうせならこーゆーの、使ってみたいよ、オレ」
金髪がブルゾンのポケットから取り出したのは、ビニールに梱包されたゴムチューブのよ
うなモノだった。
太さは数ミリだが、かなりの長さがある。
「なに、それ?」
訝しそうに顔を寄せる茶髪に、金髪が得意げに袋を振る。
「ネラトンカテーテルってんだ。これでさ、小便の穴をズボズボ犯しちゃうのよ。どう?」
3
「あ、それ、おもしれーカモ!」
二人は勝手に盛り上がり、封を切る。
茶髪が俺を羽交い絞めにして立たせ、金髪がオイルをカテーテルに垂らす。
間近で見る管は想像以上に太く思え、俺は恐怖で股間を一層縮こませた。
あんなモノを挿入されて、痛み以外の感覚があるとは思えない。
俺が射精しなかったら、この遊びはいつ終わるというのだろう。
それを考えただけで、俺は叫びたい衝動に駆られた。


鈴口に管が押し当てられたが、張りのない肉に通すのは容易ではない。
尿道をくじられる痛みだけがあり、俺は眉根を寄せて耐えるしかない。
こんなにされたら傷が付いて、そこから雑菌が入って病気になるかも知れない。
「入んねーよ、これ」
「フニャチンだからだろ。勃起させりゃ、入るって」
「そうか?」
茎全部を包まれ、強引に揉まれた。
金髪が俺の表情を覗き込みながら、カリ首を中心に揉みしごく。
きゅうっと甘いようなくすぐったいような快感が恥骨の内側で湧き起こって、萎えっぱな
しだった肉が熱を帯びる。
「そういう、恥じらってるっぽい顔、イイよな」
言われて顔から火が出るかと思った。
自分が感じてる時にどんな表情をしているかなんて、考えたことも無かったから。
「ここの首ンとこ、感じるんだ?」
「・・・・ぁ・・・っ」
裏スジに繋がる部分を指の腹でぐいぐいしごかれ、堪えきれずに声を出してしまった。
勃起が始まると、根元に通されたリングが急に意識され出す。
「そろそろ入るかな」
再び管が縦目に添えられ、
「あぁあああーーーーーっ!」
オイルが塗ってあるとは言え、その摩擦の刺激はとても我慢できるものではなかった。
一番弱い皮膚をこすられる感覚は、痛いとか苦しいとかそういう類とはまったく違う。
ヒリヒリと焼けるような、それでいて甘酸っぱくてむず痒くて、肉が電気を流されたみた
いに内側から痺れる感じとでも言えばよいのだろうか。
「おー、入った」
「ひっいぃぁああああああーーーっ!」
「すっげ・・・こいつのチンポ、MAX状態」
「感じてるんだろ。そーら」
カテーテルがゆっくり回転し、俺は根元まで串刺しになったチンポ全体から、全身に鳥肌
が立つほどの快感が波紋のように広がるのを感じた。
「あぁひぃぁああああああああ!!」
コックリングに圧迫された性器は血管を浮き立たせて、ものすごい勃起を見せる。
管の通っている裏スジがぷっくりと膨れ、そこがカテーテルが動くたびに波打った。
叫ばずにはいられないほどの、激しい快感。
「汁だく状態。見える?」
管が少し引き出され、俺から分泌された我慢汁がトロリと糸を引いて零れる。
「あぁ・・ふっ・・・う・・・っ」
それさえもジワッと熱い悦びになって、俺は痙攣しながら甘声を上げる。
「ずぶ濡れじゃん。あ、乳首もビンビンになってた。尿道ってそんな感じるモノ?」
「こいつが変態なだけだろ」
当たり前と言わんばかりの顔で、金髪が管でピストンを始めた。
「ひぃぎゃぁあああーーーーーっ!」
一突きごとに、脳天まで突き抜けるような衝撃が貫く。
それなのに、気持ちよいのだ。
電気ショックをかけられたような、何もかも漏らしてしまうほどの快感に、陰嚢が射精を
待ち望んでぐっとせり上がる。
羽交い絞めにしている茶髪の手が乳首を摘んでひねったので、陰茎から乳首までが繋がっ
て一つの性器になってしまった気さえした。
「あひぃあぁあああっ!あ、ぁああんぅあ!」
「泣いてやんの、こいつ」
4
「よっぽどイイんだろ。マジで変態なんじゃねーの」
もはや思考も停止した俺は、快感の海に頭から沈められた獣になって、空気を貪り吼え続
ける。
これほどまでに激しい快感だというのに、少しも絶頂が訪れる気配はなかった。
あまりにもキツすぎるのだ。
俺は全身を波打たせ、つねられた乳首を硬くしこらせ、汁を吐き出しながら絶叫する。
恥骨のド真ん中で爆発し続ける快感は、今や全身を性感帯に仕立て上げていた。
「なかなか射精しないな。刺激、足んねーのかな」
「マジで?んじゃ・・・」
一度金髪の手が止まり、俺は尿道の蠕動運動で少しばかりカテーテルを押し戻した。
「・・・ぁあぁぁ・・・っ」
それさえもがザワザワと皮膚が粟立つ悦びとなって、俺を溶かしてしまう。
緊張しきっていた体が弛緩し、束の間の静寂が人気の無い倉庫街に訪れる。
その数秒後。

カテーテルを飲み込んでいる鈴口にローターが押し当てられ、細かな震動が管を伝って俺
の深い部分にある性感帯をめちゃめちゃに震わせた。
俺は射精無しの絶頂を初めて経験した。