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1 葛飾北斎.
蟲と薔薇、
あーあ、こんな形で娑婆に出るなんざ避けてえところだが惚れた弱みってのは何時の時代も不利だ。

構われたがりで口が軽くて、触れようとすりゃあ突き放して、素足を泥濘に突っ込んだみたいな不快さを有り様もないほどにぶちまける。そんな机上のたっぷだんさあとやらが、めんこくて愛しくて仕方なかったんだから、しょうがねえよナ。お手前さまの手だけはどうにも離してやれなかった、おれの強情がこの結果なら笑えねえが。
窓辺に飾られるにゃあ少々野生じみては居るが、いつかあんたがちょっぴり気に入ってくれた薔薇の名前を思い出したら、別に眠れねえ夜の一言だっていい。おれの伽藍堂を埋めておくれよ。
駆け引きなんざしてもしょうがねえなあ、と思っちまうくらい、何時だって何処だって、かわいいあんたがおれは大好きなのサ。

誰に宛てたモンか?見りゃあ解るってナ。

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