白蛇の神に

待つ、と……一言賜りましたのは孰れか秋草の頃、丁度一年前で御座りましょうか。
身辺落ち着きまして貴女を御迎えに参りたいと願いますも、斯に至る迄文のひとつも送らずにいた手前漸う其も憚られる気が致します。

なれど、貴女の御心が彼時と変わらぬ侭であると云う願い……万にひとつの其に賭けて呼び掛けさせて頂きます。

鍵は《出雲》

此度は私が貴女を待つ番。
2
嗚呼、天。
曾てもっとも愛した男。
が、契約は契約――反古は容されぬが定為れば、蛇は忘却れ恙無く生きなさい。
愛しいおまえに出来る最後の贐は、童が消える事。

さよなら、天。