1 無名さん

紅い蓮

ごめんね。

あと少し
貴方の名前と眠らせて


寄り添って過ぎし日は痛みを喜び合い

両手に映し出す貴方を想い泣いている

底に降る悲しみは知らないままで良いよ

安息に震えを覚えた


手繰り夢は何を見る?


薄れないで貴方よ

僅かな吐息を聴かせて欲しい

小さな鼓動で泣く。
貴方よここまでおいて…


変わらない夢に続きがあるなら
どうか途切れずに…


幸福と呼べなくても
溺れて重なる日々を
薄れないで貴方よ

僅かな吐息を聴かせて欲しい

小さな鼓動で泣く。
貴方よここまで置いて

救いの手さえも曖昧で
秒刻みの繭は
糸を千切れずに春になる


薄れないで貴方よ

僅かな吐息で聴いてて欲しい


小さな鼓動のように擦れる祈りよ届け

呼べぬ名前を抱いて

指折り数える明日は消えない


耳を塞ぎ聴いてた

揺り籠揺れる音


取り戻せぬ春に


紅蓮の華が咲く