1 むつみ

テコンドーさかもと

自習室/放課後/気になる。

No.1:from. 四條 虎太郎




xy平面上のyイコールsinxに沿って進む曲線が…、ん?(抜き打ちテストの成績が芳しくないと言う理由で課題を出された日の放課後。人の居ない自習室の窓際最後尾に席を陣取り既に眠気の篭る瞼を辛うじて押し上げたまま呪文の様に問題文を読み上げているも、外からは野球部の快活な掛け声が轟きどうしても意識はそちらへと流れてしまい。ふと流した視線が一人の青年を捉え、マウンドに立つその人物が球を放る直前になるや否や課題そっちのけで勢い良く立ち上がり、そのまま窓を開け放って軽く身を乗り出しながら試合の行く末に没頭。強風により机上にある白紙の紙が軽やかな動作で風に流されて飛んで行くのにすら気付く事は無く窓の淵を掴む手に力が入るばかりで/↑)

2013/08/12 10:35

--------------------------------------------------------------------------------


--------------------------------------------------------------------------------

No.5:from. 四條 虎太郎




「安心」か。確かに、安らかに眠れそうだ。(ほんの一握りの希望を抱いたばかりに突き付けられた現実の絶望感は果てしなく、元より色味の無い表情が更に色味を失うのにはそれほど時間も掛からず。漸く窓際から離れ重た気な動作で椅子を引くなり矢鱈と緩やかに腰を下ろし、意識が遠退きそうな程の課題の山に最早開き直った様子で軽口を叩いているも、いざ筆記具を手にするとその瞬間襲い来る眠気に太刀打ち出来る筈も無く、早くも伏し目がちになり始め。唯一意識を保つ術はと言うと付近に佇む彼女との会話のみ、用が済んだであろう相手にその場を離れられては困ると握った筆記具の先を一旦止めてそちらへと視線を送り、その後の予定を訊ねる表情は真剣そのもの。その傍ら野球の試合の続きも気になる様子で、投手の彼が見える位置に下がろうと踵で床を蹴って徐々に徐々に椅子を引き始め)坂本って演技もするんだな、てっきり脚本専門かと思ってた。…今から部活?


2013/08/14 07:33

--------------------------------------------------------------------------------


--------------------------------------------------------------------------------

No.6:from. 坂本 壱花




…なにこれ、呪文?四條もよくやるね。(軽口を叩きながらも、どこか気怠げな動きで大人しく席についた彼を確認した後、教室の時計に一瞬視線寄越し正面の席に鞄を置いてから椅子を引いて、その上に腰をおろせば椅子の軋む音が教室内に微かに響き。振り向いて、背凭れの上で頬杖をつけば記号のような公式や数字が並んだプリント、それから進む気配の見られないペン先を見つめあからさまに顔をしかめ。身も蓋もない言葉を一言二言呟いた後、視線を目前の人物に移動させると投げ掛けられた質問にゆるゆると首を振って否定を前提に舞台に上がるのはイレギュラーの事態が起きただけだとざっくり説明し、部活の有無に対しても同じ様に簡潔に説明すると、どうしても外の野球が気になるのだろう不思議な態勢でじりじりと後ずさりを始めた彼をぼんやりと見つめ、それから不意に不安になって己の存在が自習の邪魔になっているのではないかと反対に問いただし)ううん、基本は裏方だよ。演技っていうか…人数が足りない時は台詞無しのモブで出たりする事はあるけど。今日は顧問の先生が出張だから、各自家で自主練……あ。もしかしてあたし邪魔してる?


2013/08/14 17:59

--------------------------------------------------------------------------------


--------------------------------------------------------------------------------

No.7:from. 四條 虎太郎




やらなきゃ部活が出来ないからな、この調子だと軽く一週間は出来そうにない。…それにしても、通行人Aを演じる坂本か…。(山の様に積み重なる白い紙が時折吹き込む風によって捲れ上がるもそちらに目を向ける事は無く、淡々とした口振りで答える表情は部活と言う名の愉楽を奪われたことで多いに陰りを見せており。しかし、舞台上で脇役を演じる相手の姿を想像すると不服顔であった表情は普段の物へと変化し始め、顎に手を添えて態とらしく視線を持ち上げ、含みを持った物言いをしながら少し大袈裟に相手を一瞥して見せて。その視線はやがて緩やかに脇へと逸れ、既に攻守交代となってしまったらしい打者の方へと向かうものの、意識の傍らで確かな懸念の声を耳にすると数秒反応遅れながらも小さくかぶりを左右させ。自習する姿勢を見せるべくそそくさと椅子を元の位置へと戻して改めて気合を入れ直す為筆記具を握り締めたところ、心中伝えなければすぐにでも去ってしまいそうな相手の状況に言葉を選ぶ余裕も無く、心持ち前屈みになりながら良くも悪くも直接的な表現を用いて己の我儘を伝え)…え?あぁいや、全然そんな事ない。良かったらもう少しここに居てくれないか?話し相手が居ないと、今にも寝そうなんだ。


2013/08/15 07:16