1 むつみ

姫壁

学園食堂/放課後/時間潰し。

No.1:from. 姫野 芽衣




(教室から窓外へと目をやると未だ高い位置から降り注ぐ日差しに加えて目を凝らせばアスファルトからの照り返しが更に陽炎すら生み出して見え、自宅まで真っ直ぐ帰ろうとも学校を出れば最後自宅までの給水ポイントは限られており日中迂闊に外に出るより日が沈むまでの暇潰しに向かった先は食堂。放課後は各々部活に向かうなり帰宅するなりで生徒はまばらな食堂内は昼間より涼しく感じられその心地よさに肩の力が抜け、鞄から財布を出すと飲み物を求め自動販売機に立ち小銭を入れいざ顔を上げると目的としていたミルクティーのボタンは売り切れの文字を表示させていて伸ばした人差し指はそこに触れることなくさ迷うこととなり/↑)え…売り切れとか、ついてない…

2013/08/14 01:36

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No.3:from. 姫野 芽衣




(レモンティーの紙パックがディスプレイされた下にある点灯するボタンへと指を伸ばした刹那、後ろからの声に緩く首を捻ると制服姿の己に反して体操着姿のクラスメイト。部活動を思わせるその格好はこの猛暑日への抵抗にも見え滲む汗が更に外の暑さを物語っていて、運動部だっただろうか頭の片隅で考え相手に視線を向けていたが問いへの答えを紡ぐべく首を横に振って笑い。己はローファーのヒールがあるにしろ相手の視線の高さとは随分差があり多少なりに威圧されるかと思えど降りてくる声色は落ち着いたもので自然と表情を綻ばせ。相手も何か飲み物を欲してか邪魔にならぬよう先程変更した先の紅茶のボタンを押し、ほどなくして機械に運ばれ紙パックが下へと向かい落下したのを確認してから腰を折って取り出し口に手を入れ、パックを掴むと姿勢を正しながら財布を鞄に入れて肩にかけ直し体操着姿に首を傾げ)ううん、ちょっと飲みたい物選んでただけ。四方くん部活?あれ…演劇部、じゃなかったっけ?


2013/08/14 15:19

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No.4:from. 四方 高明




あー、ああ…。悪い、早まった。それならいいんだ。(冷静になりよくよく相手の指先を見てみると、硬貨を入れたあかしとして点滅するランプはしっかりと点いており、声をかけなければその指はまさに商品を落とそうとしているところで。意味もなく母音を伸ばしている間にガコンと音がし、取り出し口からパックを拾い上げた相手を見れば、完全にこちらの思い過ごしだったとバツが悪そうに視線を逸らして謝罪の言葉を口にして。問いかけられると再び視線を下げ相手を見つつ、終わったことがわかるとズボンの後ろポケットから小銭を取り出し投入口へ。相手の疑問はこの格好であろうことに目星をつけると、その理由を説明しつつ、果肉入りオレンジジュースの缶に当たるボタンを押して。大きな音を立てて落下したそれを取ろうとするも、腰を折るだけでは背が余り過ぎて中を覗き込めないため、年寄りくさい掛け声とともにしゃがみ込んで取り出し、今度は下から見上げる形で相手へ問いかけを返し)部活中。今大道具作ってて、よっこらせ…。制服だと動きにくいんだ。うるせぇからって外に追い出されたもんで汗かくし…。姫野は部活ねぇの?


2013/08/16 00:20

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No.5:from. 姫野 芽衣




いいよいいよ…あ、ん、今日は休み。(紡がれる謝罪には笑って顔の前で手を揺らしながら首も横に降り、取り出した紙パックが外気に触れたせいかすぐに軽く結露が始まり指先が濡れ。それを拭うべく軽く指先を擦り合わせてはみるが乾くには至らず、鞄からハンカチを探していると続いて聞こえる音に何の気なく取り出し口へと視線が向き。何を飲むのか細やかな興味から見た相手の手元に握られるオレンジ色の缶は男らしい容姿のイメージからは少し外れた可愛らしいものでそれも己の表情を綻ばせるには充分で口端を引き上げ。此方を見上げてくる瞳と視線が合えば小さく笑って視線のやり場を探した結局自身の手元で落ち着かせるとパックについたストローを外して差し込み、両手で紙パックを持ちながらストローを口元に寄せ軽く吸うと冷たい紅茶が喉へと届き先程感じた暑さを忘れさせてくれ心地よさに肩の力を抜いて指先が濡れるのももう気にならずハンカチを鞄にしまい)そっか、大道具…何作ってるの?学祭の準備とか大変そうだけど、もの作りって私も好きだよ。


2013/08/17 01:00