12 無名さん
(夏期休暇前の登校最終日。夏休みを目前にしての大掃除は、自分のクラスであるB組教室の清掃を任された。茹だるような暑さも教室内のそよそよとした冷房のお陰かそれ程気にならず、授業中にこっそり描かれたのだろう壁にあるシャーペンの落書きを淡々と消していく作業に慣れてきた頃、体調不良で倒れたクラスメイトの代打を頼まれ。話を聞けば掃除場所に向かう途中で気分が悪くなり、そのまま保健室へ休みに行ったと言う。他のクラスからも手伝いが来るから、と結びに付け加えた伝言の彼に頼まれると、暇そうに掃除をしていた自覚もあり断る理由もなく。引き受けた先はグラウンド内の倉庫。額に流れる汗を手の甲で適当に拭い歩き、目的地が視界に入るところまで来れば倉庫扉が開いていることに気付き。既に倉庫担当の生徒が来ていると察し歩幅を広げてやや早足に向かう最中、聞こえてきたのは物の崩れる音、そして倉庫から細かな埃と転がり出てきたボールが一つ。少々間を空けたあと何事かと駆け寄れば女子生徒の後ろ姿が。状況を把握しきれていないものの大事がないか気になる半面、暗さと倉庫特有の空気が混ざり合った息苦しさを断つべく相手の反応を伺うより先に黒色のジャージの裾を脹ら脛の辺りまで乱雑に捲り留め、用具を倒さないよう足元に注意を払いつつ滅多に使用されていないのであろう倉庫の小窓を開けていき/↑)凄い音したけど怪我ない?…‥って、埃っぽいな。ちょっと待ってて。