どうしようもないほどに悲しみに満ちた愛しい人を見たことがありますか？
寂しさに呑まれてぐらぐらで自分すら見失っていて。直感的にこの人は殺してあげなきゃだめだな、と同時に間違いなく殺してくれると壊してくれると思った

シドヴィシャスを知っていますか？
彼はナンシーを愛していたと思います
シドがナンシーを殺したと信じますか？
派手な殺し方なら確実に殺せるのに、シドにはきっとそれが出来たのに、彼女の死体は綺麗でした。ナイフで一刺しでした。美しく、そして愛を感じました
彼は本気だったのですか。俺には分かりませんが、
あなた達の言うように本気で殺そうと思うなら頸動脈を切って血しぶき吹かせれば一番確実でしょうね。もっと言えばバラバラに切り刻んでしまえばいいんじゃないでしょうか。
本気とはチンケなものですね

俺は先刻殺してくれると言いました。壊してくれると言いました。本気でそう思いました。本気で彼に殺されて彼に死んでほしかった。本気で彼を殺して死にたかった。出来なかった訳ではない
ただ彼の苦しみ続けた人生が俺には重かった。ただ間違って生きてしまって背負うのが怖くなった。ただ殺すこと以上に殺されることが何よりも恐ろしかった。死ぬことは単純ではなかった。殺すことは軽いことではなかった、俺は生きているのだと気づいた。俺は彼を幸せには出来なかった
迷わず刺せば本気でしたか、迷わず頸動脈を切って彼のあとを追えば本気ですか。迷わずこの心臓を差し出せば本気でしたか。そうだとすると本気とはチンケなものですね

申し訳ないですがあなた達の言うチンケな本気は俺には分かりません。本気で死ぬ気があるなら死ねると確実に死ぬ方法を選べばとやり直せていいねとあなたは本気で死と対面したことが本当にありますか。

本気とは必ずしも確実なものではないでしょう。本気とはぐらぐら揺れながらしっかりと地に足の付いたもっと美しさを伴うものだと俺は思います

長々と横レス失礼致しました