23 無名さん
「決闘罪ニ関スル件」

 

 
この法律が規定される以前は、日本法上決闘に関する統一的規定はなく、ヨーロッパにあっては一定の時期までは決闘は違法な行為とは扱われなかったこと、また日本における果し合いの風習などもあり、決闘が犯罪と扱われないこともあった。しかし、決闘の放置は社会秩序の維持に悪影響をもたらすことから本法が制定された。
決闘罪は、決闘を申し込んだ人、申し込まれた人、決闘立会人、証人、付添人、決闘場所提供者など決闘に関わった全ての人に適用される。もっとも、構成要件及び法定刑は主体ごとに定められている。
決闘を挑んだ者・応じた者(1条) - 6月以上2年以下の有期懲役

決闘を行った者(2条) - 2年以上5年以下の有期懲役

決闘立会人・決闘の立会いを約束した者(4条1項) - 1月以上1年以下の有期懲役

事情を知って決闘場所を貸与・供与した者(4条2項) - 1月以上1年以下の有期懲役
決闘の結果、人を殺傷した場合は、決闘の罪と刑法の殺人罪・傷害罪とを比較し、重い方で処罰される(3条)。また、決闘に応じないという理由で人の名誉を傷つけた場合は、刑法の名誉毀損罪で処罰される(5条)。
なお、この法律は現行の刑法が施行される前の法律であるため、本法の内容の把握には、本法だけでなく、刑法施行法(明治41年3月28日法律第29号)の内容も参照する必要があることに注意が必要である。刑法施行法によれば、本法で「重禁錮」とされているものは「有期懲役」に変更され、また罰金附加は廃止されている。
この「決闘罪に関する件」という名称は、立法技術用語で言うところの当該法律に固有の「題名」でなく便宜的な「件名」である。したがって、固有の表記というものは存在せず、戦後の口語体(平仮名)で記載された公文書(法令や判決など)では「決闘罪に関する件」と平仮名表記で引用されることとなっており、参照・検索等の際は注意を要する。