3 下手ロル
（予定無い放課後を持て余すならまずは着替えと真っ直ぐに帰寮すべく自室へ向かう足取りはやや早足、朝や部活終了時に比べれば人の少ない寮内は多少の音が耳に届けど静かと言える域を出ず閑散として。通りがかった談話室の近くで黙々と進めていた足を止めるのはテレビからの音声が耳に届いた所為、自室に向かおうとしていた足先は逡巡の気配すら無く転じてその先を覗き込もうと。向かう先の談話室には顔見知った姿が一つ、その入口で思わず口をつくのはやや遠目から予想した相手の名前、問いの形で呼び掛ければ進む足は相手の座るソファの真横へとのんびりした速度で向かい、遠慮がちな様子など全く無い明るんだ声音で問いを紡ぐも互いの距離が狭まるにつれその手にされている紙が何かを察するなら返答を待たず納得の語で問いは締めくくられる。軽く顎を引く程度の至極浅い首肯の仕草に、代わりになる内容を変えた更なる問いを一つ加えて/↑）綾瀬？──何してるの、……あー…なるほど。気分転換？