4 無名さん
崖先のお墓。それの前に色とりどりの花。二つの影。
「お前は悲しまなくていい。お前のせいじゃないよ。笑ってくれ。」
哀しそうに、笑う。
自分が一番悲しい癖に。
自分が一番背負ってる癖に。
なぜ貴方はそんなに優しいの。
なぜ貴方はそんなに朗らかなの。
「もういいの。笑うことは疲れたわ。」
笑って何処かで人が死ぬ。

亡くなった人を笑っている見たいじゃない。
その連鎖的な人生は疲れたのよ。
「ごめんなさい。」
「おまえ、まさかっ…!」
崖に身を投げる。
ほら、楽になれる。叫び声が聞こえる。
私が死んで、貴方がいつか笑って、
幸せに結婚して、子供も出来て。
そんな貴方の未来と幸せを、私の死と引き換えに。