4 ヤリツィン大統領◆X5x5
○月□日
今日、全校集会が開かれた。
私は、先生と一緒にステージに立って、全校生徒を見下ろした。
みんなの視線が私を責めているように感じた。
違うとみんなに言いたかった。あのテストは私のものじゃないと。
先生が、本日をもって私が生徒会長を辞任すると言った。
ああ、これで本当に終わりなんだと思った。

気がつくと、私はぬいぐるみと共に自分のベッドで眠っていた。
ここ数日で溜まっていたものを吐き出して、少しだけ気分が晴れた。
私は目元をこすり、起き上がる。
ふいにお腹が鳴った。
そういえば、ここ数日、ろくに食べていなかったことに気づく。
そうだ、あれを食べに行こう。
あれを食べて、うんと熱くなれば、きっと気分も楽になるだろう。
私は制服を整えると、部屋を出る。

食堂の周りには生徒たちの、異常な熱気が広がっていた。
ああ、またやっているのかと思った。
確かガルデモとか言ったか。
生徒たちに人気の、ガールズバンド。
今までは、生徒会長としてそれを取り締まっていたが、今日からはもう、関係ない。それに少し好都合だと思った。
みんなが演奏に注目していれば、食堂の隅で食事を取る私には、きっと誰も気づかないだろう。
そう、例えば、麻婆豆腐が辛くて、少しくらい涙を流してしまっても。
それに――
それに、食事をとりながら、この歌に耳を傾けてみてもいいと思った。
私はもう、何の責任もない、ただの一生徒なのだから。
一度くらいちゃんと聴いてみたっていいだろう。
私は、少しだけ足が軽くなった気がして、食堂へ足を踏み入れた。

:(;Д;*): 
 :レ V):
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