40 無名さん
い」
先生が言うと、皆が自分の机の上に笛を出し始めた。
さっきまで吹いていたのに今さら隠すのは不自然だ。

幸いにも俺の席はクラスの一番後ろだ。先生がそれぞれの笛をチェックする間の時間は稼げる。
俺は笛に書かれた名前を消そうと、親指や消しゴムでこすってみたものの、
油性マジックで書かれていた為、なかなか消えない、そんな時、突然、前から声が上がった。

「あ!こいつの笛の名前のところ、塗りつぶしてる!」

一瞬、焦ったものの、言われたのはオレではなく、前のほうの席にいたNの事だった。
そいつは臭くて馬鹿なので皆から嫌われていた。

確かにNの笛の名前の書かれていたであろう部分はマジックで塗り潰されていた。
皆に問い詰められ泣き出すN。
「すいません。Sさんの笛取りました・・・」

たちまち絶叫がクラスを包んだ。泣き出すS。

だが待て。するとオレの持ってるこの笛は誰のだ?

「じゃあ、あの笛はあなたのなの?Nくん!」

「僕のじゃありません。ばれないようにSさんの名前書いて戻しておきました。」

「何でそんな事したの!?」
「Sさんに僕のいろんな所なめてもらいたくて、チン*とかお尻とかになすりつけておいたんです」
Sと俺は同時に吐いた。