＊No.1 佐久間 蕾

(以上だ、そんな終業を告げる担任の号令と共に、教室内は途端騒然とした空気に包まれる。慌てて教室を飛び出す者、担任に声を掛ける者、友人と合流する者と様々ではあるが、佐久間はそのどれにも属さない宙ぶらりんな存在だ。六時間目の授業教科である英語の教科書を広げた自席の机に頬杖をついて座り、ぴくりとも動かず――基、顔を俯けた頭は時折不規則にゆらゆら揺れているが――前髪の奥で瞼を下ろしてただそこに座したまま、静かに寝息を立てる佐久間が級友どころか教師にすら起こされなかったのは教科書を覗き込んでいるような体勢だからか、はたまた普段の真面目な授業態度の功績か。授業を終えても未だに夢から帰って来ずに教室の片隅で惰眠を貪る彼女は、またかくりと小さく舟を漕ぎ、/↑)
―――…………――。

2013-05-25 20:44
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