73 無名さん
96:クインたんロル
(ウィンクを向けられた男ははたりと瞬き、謙虚な奴がてめぇで謙虚だって云うかよ、なんて其処は突っ込んで、ぶはは、と笑い出す。前髪で判別した、というのは確かに我ながら情緒に欠けるとは思うのだが。男は突然眉をきりりと正し、真面目な顔を作って。)冗談だよ。どんな姿をしていても、君の事を見分けられない筈が無いじゃないか。(口調まで変わった。だがそれはわざとらしく芝居掛かった口調であり、保つのは束の間。その証拠に云い切った途端、男は堪え切れずに噴き出し、結局笑み崩れる事になる。)……なんて俺が云い出したら、そっちの方が微妙な顔すんだろうが。ま、もうしっかり覚えたけどな、絆創膏ちゃん。……ぁん? 実習ん時か?(巻いて貰った絆創膏のある指をくいくいと動かして示し、少なくとも多くの教え子の一人というだけではなくなったよとばかり、勝手に微妙な仇名を付けながら。彼女のジェスチャーを見遣って、BGMが欲しいという要望には、うーん、と視線を上方に向けて少し考え込むようにしてから。)そんぐらい許してやりてぇのはやまやまだがな。俺がえらい人に怒られるから却下。……あ、お前、自分で歌えば? 姫野の声ってよく通るし、ボーカルも行けんじゃねぇ? 俺、聴きてぇ。(それなら実習中でも許すかもな、なんて。半ばも減った珈琲を飲みつつ。)
11/10(金)18:59