84 無名さん
あーあ。素直じゃねぇなぁ。(恐らくは自分の予想は図星であったのであろうと、ほぼ確信の出来る反応を返す相手を、口端を上げた笑みを浮かべて楽しげに見守っていたものの、どうやら己の行動が相手の機嫌を斜めにしてしまったと気がついたのは、鋭さの増した視線で睨みつけられた時で。ぶつけられた言葉と向けられた背に、やれやれと言った様子で軽く息をついて肩を一度竦めては見せたものの特に引き止める事も、追いかける事もせずに相手に聞こえない程度の声量で呟きながら遠ざかる背中を見送っても束の間。次第に狭くなった相手の歩幅に、どうかしたのかと微かに首を傾げたところで、相手が心細げに振り返るのを確認すると、思わず吹き出しそうになるのを何とか堪え)…あー、でも、よく考えたら俺みたいな怪しいのが一人で行っても怪しまれて入り口で止められそうだしそれは困るよなぁ。誰か真面な子が一緒にいてくれれば…って事で本城ちゃん、一緒に中に入ってくれない?勿論入ってくれるだけで後は別行動で良いし、これも人助けって事でさ。駄目?(また図星をつく様な言葉を告げても相手の機嫌は悪くなるであろう事は簡単に予測された為、少し思案した後、相手にも聞こえるほどの声量であくまで独り言のように言葉を放てば、相手の方へとゆっくりと歩いて行き、数歩距離を縮めたところで立ち止まり。自分なりに相手が受け入れやすいであろうとも思われる頼み事を培った演技力を発揮し本当に困ったような様子で頼んでみるか)