85 ロルの練習もかねて久々に頑張ったけど無理だった
(予定のない放課後、空いた時間を持て余しながらもまずは着替えをすべきだろうという考えからまっすぐ寮の自室へと向けた足取りはいつもよりはやや早い。朝や部活終了時に比べれば人の少ない寮内はわずかな物音は拾えるものの静かといえる域を出ず閑散としている。そんな静寂の中不意に耳に届いたテレビからの音声は自分の興味を引くには十分なもので、自室に向かおうとしていた足先は逡巡の気配すら無く方向転換され自身も自然と音の出所である談話室の中を覗き込もうとしており。そっと中をうかがってみればそこには遠目からのため確証はもてないものの見知った相手とおぼしき姿、思わず語尾を上げ疑問形ながら相手へと呼び掛けつつのんびりと進む先は相手の座るソファの真横で。遠慮がちな様子など全く伺えない明るんだ声音で問いを紡いでいたが、互いの距離が狭まるにつれてその手にされている紙の内容に気がつけば、返答を待たず納得の言葉で問いは締めくくられることとなって。軽く顎を引く程度の至極浅い首肯の仕草にとともに先ほどの問いの代わりとなる更なる問いを一つ加えながら/↑) 綾瀬?──何してるの、……あー…なるほど。気分転換?