9 無名さん
8 渋谷 千夏 edit


(言葉にならないとはまさにこの事だろうか。多少なり精神的に落ちるであろう別れ話を軽い口調で語られれば、目を瞬かせて驚くと同時に乾いた笑みしか浮かべることが出来ず――寧ろ聞きたくは無かったとの気持ちになってしまう。人並みに付き合う機会があったではあるが、果たして自分はこうも軽く語れるかと聴かれれば、否と答えるだろう。漸く最後の一人が集まり、ノリの良い目の前の先輩と共に弄り始めたことで地味に反撃を喰らうも話題転換させてもらう代償として受け取りつつ、コップに注いでいた少し温くなった水を一口飲み、口の中を潤す。次いで野菜サラダを口に運びながらポツリと普段とは異なり呟くように言葉紡ぎ始めた登良の様子を面白そうに視線投げるも急に話題を振られて。直ぐに返答出来ずに間の抜けた声が零れるも直ぐに巻き込まれる前に手を打とうと)……ヤダ怖い。俺チャリ通じゃないし、食欲とか普通にあるんですけど。ってか登良の場合、後半いつもと変わらなさそう。へぇ、好きな人居たんだ…どんな人?オレ「大和撫子」以外にデザート賭けよっかな。先輩は?(好きな異性が居たことに素直に驚くも正直どんな人物なのかは想像出来なかったためその辺りの話を詳しく聞こうと掘り下げてみて。生姜焼きを箸で突きながら相手の好きな異性を考えてみるも結局口にした答えは幅広いものであり、部活を優先するあまり人を見て付き合っていなかったのだと何となく付き合っていました勘が浮き彫りにされるが、目の前にはこの中で唯一恋愛経験の豊富な先輩が居る。先輩の答えも聞いてみたく話を振ったのち生姜焼きを口へと運んで)

10/18 (土) 14:10
10 無名さん
9 榛名 諒 edit


ふぅん?それはどーも、お褒めに与り光栄至極。(如何にも疑わしい、とでも云いたげに細めた双眸で登良を見遣る。けれどその口許には相変わらず小さな笑みが貼り付いているのだから、彼の反応を見て面白がっているのが傍目にも明白だろうか。語調も強く告げられた賛美の科白は然も耳に馴染んだ社交辞令であるかの様に一々謙遜する風を装うでも無く、にこりと愛想良く微笑ってやや戯けた口調で以て礼を述べてみせた。登良が着席したのを合図にコンビニ袋の中から取り出したのはサンドイッチとペットボトルのお茶。後輩二人の机下での密やかな攻防戦なぞ素知らぬ顔でサンドイッチのビニール包装を指先で器用に剥がし、お待ち兼ねの昼食へとあり付く。味わう様にのんびりと咀嚼を繰り返す間、視線は斜向かいの少年の顔へ注がれて。さて如何様な逸話をその口から拝聴出来るのだろうか、期待と好奇の色も露わに待つ。やがて口火を切られた話、その第一声が鼓膜を震わせた際には一度だけはたりと睫毛を瞬かせたものの、やはり直ぐに緩やかな弧を口唇に取り戻した表情は渋谷と同様に登良の初々しい様子を面白がる其れで。手痛い餞別を賜った左頬は今はもう極微かな紅を残すのみで、ただの血色だと称しても差し支えない程度。例え傷痕が遺されていたとしても、榛名の胸を痛ませるには至らなかっただろう。最後の最後で悪足掻きとばかりに責任転嫁を試みる一言を聞き届けるや否や、可笑しげに笑声を弾けさせて。)はは、照れない照れない。いーねぇ、甘酸っぱくて。…んー…俺は逆に、「大和撫子」タイプにジュース一本賭けるかな。だってさ、考えてもみなよチカちゃん。この花よりも団子に全力で尻尾振って飛び付きそうなタイガーが飯も上手く咽喉を通らなくなっちゃうような相手でしょ?気軽に話し掛けるどころか、おいそれと近寄るのも難しいような、見た目も清楚な高嶺の花――普段からタイガーみたいな男子と一緒にふざけ合ったりはしないような、大人しくて控えめ系のコと俺は見たね。――どう、合ってる?タイガー。(揶揄する様な口振りではあったものの、紡いだ羨望の中には榛名本人すら自覚していない本心の欠片が混ざり込んでいたかもしれない。それ程に、目前の少年から語られた”恋心”は眩しくて綺麗なものに感じられたのだ。異性と”恋愛”をした事は数多くあったけれど、彼が語る様な”恋心”を抱いた事など一度でもあっただろうか。その自問に対する答は、否である。渋谷から向けられた水を受けて思案する様に視線を宙へ浮かせる。一拍の思考の間を挟んで紡いだ回答、同意を得んと順序立てて諭す様に展開して行く論は所々かなり失礼なものだったが微塵も悪気の無い様子だから始末に負えない。自信ありげな風情で論を結ぶと、最後に答合わせをするべく登良の方を窺い浅く首を傾けてみせた。)

10/18 (土) 22:29
11 無名さん
10 登良 尊 edit


(話の矛先が変わったのを更に無理矢理曲げた筈が口の上手い先輩の話術あってか何時の間にか元に、しかも逃げ場を封じられた挙げ句自分が口を挟む間も無く話と方向が深く入り込んだ所まで展開していって口喧嘩で勝てた事のない自分は手も足も出せず咀嚼したパンと共に固唾を呑み込んで。はす向かいにて笑みを浮かべる相手を恨めしげに睨みつけた後残ったパン最後の一口を悪あがきでゆっくり噛んで飲み込み)は?だから俺じゃなくて渋谷のヤツがって……うぅ、先輩渋谷の味方とかズルい。大和撫子……ん、んん?あの人ってそういうタイプ…なのかな。わっかんねー…――…っと、やっべ次移動教室だったわ。もう俺もーどろーっと!("大和撫子"と言われてすぐに頭に浮かぶのは某女性サッカーの軍団、いくら低学歴な自分でもそれは違うと頭振って思案巡らし。漸く、おぼろげにイメージが固まったその"大和撫子"に自分が一目惚れしてしまったあの女性を当て嵌める。しかし何時も遠く目で見ているだけの相手の事情など知る筈も無く細かな性格などもっての外、フルネームすら怪しく折角決意固めたにも拘らず首を横にも縦にも振れない状態で暫しそのまま動き止め。姿と声、そしてたまに拝む事の出来る笑顔で形成されている相手の事を当て嵌めるとすれば――のところで予冷を知らせる鐘の音が。思いの外時間が過ぎていた様で、入口にて自分の分の教科書を持って待つ親友の姿を視界に入れると慌てて立ち上がり二人に感謝の礼を述べた後逃げるように去っていって)

10/21 (火) 22:17
12 無名さん
9 杉浦 尋 edit


分かるわー、それな。脈ねぇの知ってても諦められない俺のオトメゴコロ。女子力やばいわ。(共感できる相手の存在とはいかに心強いのか、実感したのはまさに今現在だったのかもしれない。現況を語ることで事態が好転するとは限らないものの、心の靄が僅かに晴れゆくのを感じたのは相手の素直で綺麗な心に触れたからであろう。だらりと開かれた掌に再び力が戻ると、大衆演劇のヒロインよろしく胸元に其を宛て、しなを作って一言。少しずつ普段の調子を取り戻すと反対の手に握りしめていたおにぎりを大きめに一口ほおばってみせて。若さを持て余した身体は新たなエネルギーを欲していなかったらしく飯を頬張る動作は其処で一度静止、個包装紙と空いたビニール袋をランチョンマット代わりに其を地面へと置いて。徐に制服のポケットへ手を入れると中から開きかけのコーラ味のグミの袋を取り出し、中の数粒を口へと放り暫し咀嚼。やがて固体がなくなる頃に紡がれた言葉は適当かつ失礼千万、己の恋愛の悲惨な行く末まで捩った粗末な其であるが、語気はとても柔らかく目元も緩んだ穏やかな表情、信頼した相手なればこその激励の言葉で)ま、記録刻んだら俺んとこ来いよな、俺の涙で濡れた胸元でも良けりゃ貸してやるよ。やけ酒ならぬ、やけコーラでもしよーぜ。やけサイダーでも可。

10/19 (日) 05:15
13 無名さん
10 賀茂 琥太郎 edit


ああ、俺たちの女子力は限界値を突破してる、確実に。(先程迄は頼り無げに放られていた掌へと目に見えて力が戻った途端に早急宜しく紡がれた言葉は普段とさして大差の無いふざけた口調、然し其れに悪態をつくこと無く同様に至極当然という様な様子にて頷きを返すのは、何だかんだ優しく温かい眼前の友人であるからに違い無いだろう。見込が無くとも諦めがつかぬのは彼とて同じ、意図せず励ましを受けたことに対し僅か表情を緩め、破顔と言っては誇張表現であろうが珍しく目つきの悪さが際立つことの無い年相応の表情を浮かべる。視線を斜め下へ傾け丁度良く視界に入るふたつのパンを持て余しつつ、つい先程飲み干してしまった緑茶のパックを一瞥し、これらの行き先を思い浮かべては面倒だと衝動的に思考を強制シャットアウト。今は友人との談話が最優先事項だと、彼の縁起でも無い発言に続けて口を開き)やめろよお前、そういう夢のないこと言うの。もう少し夢見てたいんだよ俺は。…ま、でもそうなった時は仕方ない、傷心を癒やすっつー名目でやけコーラでもやけサイダーでも付き合ってやるよ。

10/20 (月) 11:33