91 無名さん
(自身の性格上級友と出かけることが滅多とない為、前日からどうにも落ち着きなく行動していた様はまるで遠足にはしゃぐ子供そのもので。それもいざ当日になってしまうと平常心を装っているのだから意地っ張りとは根強いものである。待ち合わせたロビーで落ち合い踏み出した外の世界は己の心情をそのまま表した雲一つない快晴。お出かけ日和に相応しく落ちる陽の光が白いレース編みのカーディガンに彩りを添え、微かにそよぐ東風がレモンイエローのロングスカートを揺らす。クリーム色のカットソーと揃いのミュールは踵が低いものを選んできたので走りさえしなければまず転ぶことはないはず、肩から提げた赤いポシェットには必要最低限の物だけが詰め込まれていた。道中を道連れの少女達と他愛ない会話に興じて進み、そうこうしている間に見えてきた駅前は常の喧騒に加えて春休みの学生達も入り混じり中々に忙しない。そんな中で踏み締めた舗装されたタイルの端にも生命力逞しい雑草が密やかに存在を主張していて、更には広場の中央を陣取る噴水が小さな七色の橋を作り上げているのにはしゃぐ面々も春の陽気に浮かれてのことだろうか。立ち並ぶファッションビルやブティックのショーウィンドウの奥にはお仕着せのマネキンやセール中のチラシが飾られており、淡いパステルの渦に包まれた街並みは正しく春めいている。花畑に迷い込んだ蝶々のような気分を味わいながら、まずは傍らの同行者の挙動を窺いみよう。立ち止まった場所は学生に人気の流行を抑えつつもリーズナブルな値段がウリの一画である。/↑)本当にあちこちでセールをしていますのね。お二人は目当てのブティックはありますか? 

(先輩達との外出、その緊張感のせいで昨夜は十分に眠れず。そう言っても目の下の隈が目立たないのは体質かそれとも普段から練習などで夜中まで起きていることが多いせいか。どちらにせよ、軽くファンデーションを肌に乗せ軽く化粧をすれば隈が出来ている事は容易に判断できないであろう。ロビーにて自身の杞憂とは裏腹に遅れること無く落ち合う事が出来、外へと踏み出せば快晴と言っても過言ではないほどの空模様。黒いマキシワンピースに丈の短いGジャンといった格好は日差しの照る中では暑さを感じるほどであり、せめてもの救いは普段下ろしている髪を高い位置でポニーテールにしている事によって首元に風が通ることだろうか。靴は昨年の誕生日に兄からもらったオーダーメイドのハイカットスニーカー、両手が開くようにと選んだ小ぶりのリュックサックには携帯と財布、ハンカチと必要最低限のものだけが入っており。歩いて向かうことの少ない目的地へと進む間も目的地の同じ仲間が居れば会話をしつつ向かう歩のペースも遅れることは無く。春休み、とう事も加わってか普段より幾分か人通りの多いこの場には同じ目テクであろう人物の姿もちらほらと確認できる。ショーウィンドウの奥に並べられてるマネキンが着せられているものやちらっと前を通ったときに見える服も淡い色が多く目につき。今日の目的は春物の普段着を買うこと、それに加え練習着も買えればなんて事も目的のひとつではあるのだが、練習着として普段身に着けているものは所謂ギャル系の服を売っている店のものの為それは同行者達の反応を見てからにしようと心に決めており。きょろきょろと辺りを見回していれば立ち止まった一角。その中に目当てにしている店を見つけつつも後回しにしても構わないか、と思っていれば同行者の一人ーー学年が一つ上である彼女から投げかけられた問い。それへの回答を目的の店へと指を指しつつするもそこはやや派手目の店であり。その後、首を小さく傾げるようにして質問を/↑)私…はそこの店ですかね。藪ちゃん先輩と文緒先輩は?