1 リヴァイ

薔薇の代わりに

俺と同棲しているクソ餓鬼に宛てる。

こんな公の場所で想いの丈を言い募るなんざした事は無ぇが、二ヶ月記念には何もしてやれなかったからな。偶には悪くねぇだろう。なあ、エレンよ。
あー…頻繁にクソ長い置手紙を寄越すわ、致している時は散々俺の名前を呼びまくるわ、最近頭の螺子が軽く二、三本は吹っ飛んでやがるクソ野郎。
まあそんな御前に心底惚れている俺もたいがいクソ野郎だが、クソ野郎同士互いの相性は悪く無えんだろう。

御前と出会って、俺は弱くなった。
其の弱さを愛おしく思う。そして、御前の弱さも又、愛おしく思う。
存在に救いを求め、愛おしさ故に泣くなんざ俺には縁遠いモンだと思っていたが…他に言い様もない。ただ御前が愛おしい、エレン。

と、こんなモンか。前置きばかりが長ぇがそこは気にするんじゃねえ。普段直接喋ってんだから気持ちは容易に汲み取れるだろう。
ああそれから。互いの休みが被った其の時はてめぇ、諸々覚悟しとけよ。其の頭の螺子、あと四、五本抜ける程度には可愛がってやる。
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23 リヴァイ
エレン、お前はどうしてこんなにも俺を大事にしてくれるんだろうな。…なんて言ったら何を今更、と不貞腐れるかもしれねえが。

日々の仕事に忙殺されて、いつの間にか色んなモンを見過ごしちまうようになってた。任された物を全うしようと躍起になり過ぎてたのかもしれねえ。手前なりに奮闘した時間を否定する事はしないが、お前に寂しい思いをさせて、我慢ばかりさせていた事実を今改めて噛み締めている。
なあエレン。明日から俺は自由の身だ。水族館も、海も、温泉も、俺の車で何処にでも連れていってやる。駆け足になるかもしれねえが夏の思い出を作ろう。それから、秋、冬…来たる季節をお前と大事に迎えていきたいと、そう思ってる。
堪らなく不器用な俺の手を、これからも引いてくれるか、エレン。
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25 リヴァイ
漸く顔を見せに行けたが…一足遅かったか。腹を出して寝るんじゃねえぞ、今夜は随分と冷えていやがるからな。

ひと段落して今日こそは、と思ったその日にお前からの連絡が来る事が多い。それだけ恋しくさせちまっている不甲斐無さは如何にかしなきゃならねえと頭じゃ理解している、反省もしてる。だが乗り越えた先で見るお前の顔が愛おしくて愛おしくて、嬉しさが先に立っちまう。…俺こそ出来た旦那でも嫁でもねえよ、エレン。

出来た恋人じゃねえのは重々承知だが…すまねえ。俺はお前を手離せねえよ。