1 リヴァイ

手紙

少し早いが、もう何時間かすりゃ一ヶ月になるぞクソガキ。
本来なら、三ヶ月目くらいに此処に密かにお前への想いを綴ろうと思っていた俺だが、予定を繰り上げた理由は二つ。
一つは、お前が俺への遠吠えをクソ愚かにも消しやがったからだ。今日を待ってそこに返信しようと思ってたのによ。
晒しものだ?俺も一緒に晒されれば文句ねぇだろうが。先走りやがって、馬鹿が…。
二つ目の理由は、三週間目でそんな遠吠えを此処に記しやがったお前だ。また、その残念な無表情と言語力の裏で
何を画策しているか解りやしねぇ…。だから、もう先手を打たれまいとこう踏み切った訳だ。

…まあ、そんな前置きはいい。一ヶ月だ、ミカサ。
思えば、お互いにこんな風に続くとは思っていなかったな。
お前はただ持て余した感情の捌け口を求めただけ、俺はたまたま時間を持て余していただけ。
利害が一致し、それなりのやり取りをすればそれまで……本来ならそこで終わってた筈だ。

終わらず、今も続いている理由を日々考えているが、明確な答えは今も出ない。
ただ…お前のことが気になる。どうしようもなく。
そもそも、最初のきっかけからそうだ。数ある記事の中からお前が綴った言葉が気になって声を掛けた。
取り留めのない言葉の中に見え隠れするお前の情の深さや、考え方に惹かれた。
実際に言葉を交わせば、優しい気遣いを感じて心地良かった。
その後、お互いにどうしてこうも惹かれ合うのか解らなかった俺達は、手探りのままがむしゃらに求め合った。
だが、お互いに気持ちの表現の仕方が下手で、気持ちだけ焦って、伝えたいことが伝えられずに空回った挙句、
一抹の不安と寂しさに負けて、短慮に答えを出そうとしたこともあった。

…ミカサ。あの時の行動がお前の捨て身の求めだと解った時、
最後かもと感謝を伝えてきた鳩がやって来た時、お前の心に触れた気がした。
あの日以来、日々のやり取りの中でその感触はよく覚えるようになった。
その度に、俺が温かな気持ちになっていることをお前は知っているか?
それは他の誰でもない、お前からしか貰えねぇものだ。
誰もが寝静まる夜更けに、部屋で待っていてくれるお前。
「ただいま」に「おかえり」を返してくれること。いつも、感謝している。

…されど、まだ一ヶ月だ。
別に、どれだけ続くかに拘るつもりはない。互いの関係に名前なんて必要無い。
ただ、いつものように、お前と共に居れる時間を大切にしていきたいと思う。
その結果、それが長く続いていくなら悪くない。……いや、それに越した事はねぇだろうが。

人類最弱のふわふわ兵長から、自称山犬を名乗る可愛いアッカーマン先輩へ。
26 ミカサ・アッカーマン
あなたは、きっと変われる。
だって心の奥では、大切なことを解っているから。
だから私を選んだ。私たちは惹かれた。きっとそう思う。

辛い時や寂しい時は、
重たい鎧を脱いだっていいの。
怖い時は素直に凭れかかって、「俺の事を好きか」と聞いてくれていいの。
何も恐れることはないの。
私が笑って、あなたを抱き締めたように、
いつかの私に、あなたがそうしてくれたように、
誰かの心を殴りつけるような甘え方でさえなければ…
人はちゃんと、受け止めてくれるのだから。
あなたは誰にも搾取される必要なんてない。

心を開いてくれてたのでしょう。だから「私」が解らないのが、悲しかったんでしょう。
愛していたからこそ、憎んでしまったのでしょう。
あなたが最後に投げた言葉の数々が、本心ではないこと、知ってる。
無駄だなんて思ってないこと…ちゃんと知ってる。
それは二人で積み上げてきた信頼だ。
マグカップを買いに行く朝がいつまでも始まらなくても、
私はこの二年間を、愛しているし、後悔はない。
すべて出し尽くした。あなたのおかげです。

今日まで、お疲れさまでした。明日からはまた新しいあなたの1日が始まる。
この世界には、素敵な人、たくさん居る。素敵なこと、たくさんある。
ひとつひとつ拾い集めて、それを大事にして、そして頑張りすぎず、
自分を労わりながら、楽しい毎日にしていってください。
それからいつかあなたの苦手な晴れ空の下で、大切な誰かと笑い合って。
私もどうにか、やっていくつもりです。

いつの日かこの日々を懐かしく振り返るとき、あなたの中の私が、優しい思い出でありますように。
お元気で。ありがとう、リヴァイ。

…楽しかった。いつもいつまでも、幸せにね。
27 クリスタ・レンズ
やっぱりユミルの隣は落ち着くよ。わ、私が馬が好きだって訳じゃないから…!
それにね、私が「ヒストリア」でも「クリスタ」でも、どっちでも良いって言ってくれるの……凄く嬉しいんだ。私は、いい子のクリスタじゃなきゃダメだったから…。
ねぇ、これからよろしくね。次こそあなたを、ずーっと大事にしちゃうんだから!

暈かしてたって、あなたが好きよ。
28 ミカサ・アッカーマン
軽やかな夕暮れを、もう一度あなたと見てみたいと願う。
29 削除済