1 エルヴィン・スミス

出来過ぎた私の恋人へ捧ぐ

本当は記念日や何かしら目出度い時に書くのが一番だと考えたが、…何故だろうね。心が導く儘に、愛用の万年筆を手に取ろうと思う。

出来過ぎた恋人だと常日頃から思っている。
…と言うとお前は『そんな事は無い』と何時もの口調で言い返して来るだろう。

私がこんなにも充実且つ、日々を乗り切れているのはお前のお陰だと、本当に感謝をしている。毎日遅く迄私の隣に居てくれる者になど出会った事が無く、只々毎日が新鮮で、色鮮やかで…。鳩を待つのが待ち遠しいと、お前と共にある一日一日が過ぎる度に其の気持ちは弱まることを知らないようだ。

私が長期の壁外調査に出掛けた際にも、他に目もくれず唯ひたすら健気に帰りを待って居てくれた事や、身体の事を本当に心配してくれた事…。有難く思って居る。

私には出来過ぎた恋人であり、けれども誰にも渡したくは無いかけがえの無い者だ。

お前が思って居る以上に、私もお前を愛している。どんなお前でも私は受け入れられると、そう確信している。

辛い時は辛いと言ってくれ。
淋しい時は淋しいと…。
そして、どうしても私が足りなくなったら名前を呼んで欲しい。

必ず抱き締めに帰る。
これからも私の隣に居て欲しい。


最愛の恋人へ
…愛を込めて
35 ファーラン・チャーチ
出過ぎた真似をすみません、団長。
前からずっと眺めていました。あんたたち、とても幸せそうだったから…。

別れた瞬間か…。
俺は、いい別れ方をしなかったから…。
相手の幸せを素直に願うなんてこと、できません。
ああ、不幸を願っているっていうことじゃないですよ?
未練たらたらってことです。

団長がどうか…幸せに笑っていられますように。
36 エルヴィン・スミス
お前に逢いたい

未だ想う事を赦して欲しい
37 リヴァイ
もうお前は、ここを見ることも無いのかもしれない。

何度もお前の事を思い出していた。
あんな風に別れを告げて、どのツラ下げて声をかければいいのかわからなかった。
お前と離れてから、誰かと鳩を交わす事すらしていなかったが…どれだけお前が想ってくれていたのか、今こうして痛感している。

憎まれていても仕方がない。
クソみてぇ人間の俺のために、
まだ逢いたいとここに綴ってくれたお前の心が嬉しい。
あの頃が、懐かしい。
38 エルヴィン・スミス
…俺の友人は良く出来た友人でね。
お前の事を知らせてくれた。

一先ず、お帰りリヴァイ。

何を話して良いのか…よく分からないんだ。沢山有り過ぎてね。ーすまない。だが、今確かに言える事は…俺はお前を憎んだりしていないという事と、涙が出る程嬉しいという感情…それだけは確かに感じているよ。

俺はお前との事を良き思い出には出来なかった。
…したくは無かった。だが、一度決めた事。決して遠く励むお前の邪魔にだけはならぬ様、心配をかけぬ様勤める事が俺にとってお前にしてやれる最後にして最大の愛し方だと思っていた。

お前と別れた後、何度か此処へ来ては来るはずのないお前に綴り、見返しては後悔する日々だった。

俺は中々に女々しかった様だ。
可笑しいだろう、リヴァイ。

例えお前が此処に書き残し、まだ遠くへ行くのならば俺は止めない。
ーだが、心は何時もお前のモノだ。そして俺の隣も…。だから何時までも待っている。

お前が帰る場所は俺が何時までも守って居よう。

俺は今でもお前の事を想っている。