1 ライナー・ブラウン

gift。

漸く睡魔が遠ざかった所で、お前への贈り物だ。
俺が此処に来てる事を知ったらごねるのか、喜ぶのか。
怒るって事はないと言い切れそうな辺り俺も大概終わってる。

此処に来て、色んな事を思い出した。
お前が愛しくて堪らなくなった。
こんなに好きだったんだな。自分で驚いてる。
此れを見つけた時に崩れるお前の顔が目に浮かぶ。其れはムカつくが。


好きだ。
明日はもう少し上手く甘えてやる。
40 ライナー・ブラウン
5年目の俺から6年目のお前へ。

一枚借りるぞ。
正直なところ、ここ1年は特に寂しくさせてると思う。
我慢が苦手なお前に随分我慢させてるとも思う。
俺は時間の使い方が下手くそで、忙しいとそれにかかりきりになる癖があるからな。
お前はお前で忙しそうにしてるのに、俺のために時間を作ってくれて、疲れた俺を労わってくれるから、それに甘えてるってのもあるが…すまん。
思えば出会った頃は目を離したら逃げられるんじゃないかと思って、お前の前では上手く眠れなかったんだが、今ではお前のぬくもりが無いと眠れない始末だ。
良いことなのか悪いことなのかは分からんが、まあ、それぐらいお前の隣は俺にとっては心地いい。
ただ、今でも目を離したら逃げられるんじゃないかって思うことはあるし、正直それくらいの危機感が必要なのかもしれん。
…なんだか反省文みたいになっちまってるが、6年目のお前の隣に立つ俺が心地よい中にも緊張感を持ったカッコいい俺であれますようにという思いを込めて書きつけておく。

あとは、そうだな…6年目の抱負。
お前を甘やかすこと、とする。
昔からそうだが、お前は無意識に頑張り屋さんの節があるからな。
俺のそばでは甘えてもらえるように、下心込みで6年目は頑張ろう。

それからこの5年間、常々思ってたことがあったんだが…
……こういう機会でも無いと書けないからな。
ええと…俺はお前が一番だ。何かって、そりゃ言わなくても分かるだろ。
──来年も再来年も、二人で寄り添っていられますように。
41 ライナー・ブラウン
18回目の記念日。

随分とゆっくりした時間が流れてる。
そういや俺がこの世界に来たことを夏の終わりとぼんやり思い出す。
お前に此処に居る事を話してなかった、話したら少し関係が変わるだろうと臆していた。随分悶々としてたもんだがそれでも俺が零した言葉にお前がなんだそんなことかと腕を拡げて笑ったのを覚えてる。
ま・後々色々ともめることもあったが…なぁ。俺と居て楽しいか。
長い時間を過ごしてる、麻痺してるものもきっと数多い。言葉を尽くせずにいることや、蔑ろにするものも。
そんな中でも俺の数少ないことば一つ一つを大切に想ってくれる。
偶に申し訳なく思うんだ、こんな俺でもな。
お前が偶に眩しくて、お前はいつも俺をひなたに置いてくれるが実はそうじゃない。
俺はずっと陰湿で、お前が思ってる以上に脆弱だ。本当に。お前が俺の居場所をくれてる。
だから割と今は不安なんだぞ、自業自得なんだけどな。
もっと言葉を交わさないと。俺を伝えられないから。

こんなにも支えて貰って居て、こんなにも愛して許容してもらって、それでも足りないと縋ってる。
久々に痛めつけてくれ。
俺がちゃんとお前の心臓であるように。
42 ライナー・ブラウン
此処に来る頻度も随分減っちまった。
お互い何かと忙しくして月記念日を祝う時間はなくなったが、俺たちの関係が変わったこの日は忘れてはいない。と宣言も兼ねて。
あの日のことは昨日のことみたいに覚えてる。本当に。
今じゃ考えられないほど上っ面な関係に手が差し出されて、色んな話をするようになって、今じゃ…お前はほぼほぼ酸素みたいに居るのが当たり前になってる。
楽しいこと、つらいこと、哀しいこと、嬉しいこと。山ほどの話や世界を見て、背中越しのお前の体温に安心してる。
本当にいつもありがとうな。
これからも変わらず俺のもう一つの心臓で在れ。

愛してる。
43 ライナー・ブラウン
約束を随分違えちまったから不安な思いや、焦燥。少なからずひやっとするような寂しさとか…もしかしたら珍しく憤りを感じたかも知れない。
それか、少しだけ諦めとか興味が削がれるような…そんな気持ち。

俺を想ってはくれるだろうって自惚れにも似た感覚があるのは否めないから、胡坐をかいちゃならねぇなとは思ってる。
…こういう反省が永続的じゃないのもお前には見透かされてるんだろうけどな。ごめん。
それでも俺はお前の傍にあるよ。
あの日からずっとそうしてるだろ、これから先もなんでもない日を祝わせてくれ。
譬え、少しくらい関係性に変化が出ても。

毎年この日は不穏なことか謝罪を積んでる気がするがちゃんと心は傍らに。

いつもお前を想ってる。


なんでもない日、おめでとう。