1 ジャン・キルシュタイン

無題

二兎を追う者は一兎をも得ず。
なぁ、お前にぴったりな諺だと思わねぇか?
本人は気付いていねえと思ってるのかもしれねぇが、何度も多忙や体調不良を理由にされたら鈍い俺だって分かっちまう。この壁の中の世界ってのはお前が想像しているよりも、ずっと狭いって事だ。
色んな奴に唾を付けて、篩にかけるやり方は感心しねぇよ。ちゃんとケジメ付けてくれ。それが他人と繋がりを持った奴の責任だろ。
これ以上、お前の事を嫌いにさせないでくれ。
2 ジャン・キルシュタイン
分かってたけどよ、やっぱりそうなったか。
所詮俺はお前にとっての暇潰し。期待を持たせるような言葉も行動も、全部自分が愛されたくてした事だったんだろ?
想うよりも想われる方が楽だもんな。けどよ、色んな約束ばかり残して使い捨てをされた俺の気持ちを少しでも考えた事があるのか?自分がされて辛かった事を、同じように俺にして罪悪感とかはねぇのかよ?

俺との事も全部なかった事にして、お前は何食わぬ顔で嘘を吐いているんだろうな。
手を繋いで抱き締めて、触れ合った事も気の迷いの一言で片付けて。自分は今も真っ白だって伝えてんだろ?
色々言っていた諦めの言葉を簡単に覆して…なんだよそれ。その言葉を聞いていたから俺は、待っていたのに。
酷い裏切りじゃあねぇか。なぁ…__。
3 ジャン・キルシュタイン
先に出逢っていたら良かったとか、俺と恋がしたかったとか、俺と過ごす時間が欲しいとか、そういう事ばかり言ってたのによ。
結局色んな奴に思わせぶりな言葉をかけていたってのが分かって、真に受けちまっていた自分のバカさ加減に気付いた。
振り回されんのもウンザリだ、俺は降りる。
これからは目移りをして色んなものに手を出すんじゃねぇぞ。平気で重ねて来た嘘はいつまでも隠し通せねぇんだよ。