1 エルヴィン・スミス

無題

虚無感、とでも言うのか。

よく耳に、目にした台詞が脳裏を過る。

『胸にぽっかりと穴が開いたみたいだ』

情けない事に今の私は正にその状態らしい。
任務や執務、私用、雑務、やることはある。
無気力と言うわけでもない。
話し相手もいる。

それでも、何かが欠落しているような。
腑抜けていると言う表現が正しいかもしれない。


以前は満たされていた場所が、今は空洞のようで。

…寒さがより、身に染みる。
伸ばした手が掴むものは、腕に収まってくれる温もりは、もう無いと言うのに。


寒いな。