1 エレン・イェーガー

もふもふ好きだった貴方

久し振りにここへ足を運んでみれば、懐かしさに胸が締め付けられる。もうここへは来ないつもりだっけど…
あれからもう何年経ったんでしょうかね。リヴァイさん?

はじめは確か、貴方の募集に目を惹かれたのがきっかけでしたっけ。癒しをどうたらとか。貴方を癒すつもりが、逆に俺ばかりが癒されてたなぁ。貴方にはしてもらってばかりだった。
リヴァイさんに会うたび、俺はどきどきしっぱなしで、俺ばかり夢中になってずるくって…貴方の事で満たされてた。

俺のワガママを心よぉぉく、快諾してくれたり。ふにゃふにゃになって寂しがりになったり。雪が積もれば物珍しげにしたり、格好良いのか可愛いのか…
そういえば、時々お友だちの犬を見せてくれたりなんかもしてましたよね。今日会ってきた、もふもふで可愛かったと自慢して…。可愛い、確かに可愛いけど!俺も可愛いですよ!貴方の好きなもふもふも、貴方の為に手入れして最ッ高なさわり心地ですよ!もふもふして!俺を見て!て嫉妬丸出しちゃったりなんかもしたな。そのかわり、俺の大好きなにゃんこも見せてくれましたが…
イタズラなんかも沢山しかけたし、はしゃいで無理も沢山言った。でも貴方は本気で嫌がったり怒ったりしなかった。それが嬉しくって懲りずに同じ事を繰り返したり…まぁ、流石に叱られはしましたけど。あれ、叱られたんだっけ?どうだったかな…よく思い出せないな。
だってもう何年経ったと思うんですか。記憶が曖昧で、美化されちまってるかもしれないけど…でも、楽しかったのは覚えています。貴方を、好きだったことも。

貴方を手放したくなくて、でも困らせたくもなくて…矛盾した事も沢山したし言った。目を引きたくて、俺に夢中になってほしくての言動も、空回りしたり。
何が手放さないだよ…貴方に重く思われたくない、嫌われたくない一心での行為も結局は……。

それでも貴方は俺を探してくれてた。それなのに、俺は…。遅かったんだ、見つけた時には何もかも。俺の唯一は貴方だったというのに

我ながら、とんでもねぇ程都合のいいことしか言ってねぇな。
あのね、りばいさん。これはただの独白です。最低で虚言を吐くだけの寂しい野郎の。だから、万が一ですよ?貴方がここへ訪れて俺だと分かっても…怒らないでね、りばいさん。
眠い…全て吐き出せたせいか、やっと睡魔がやってきた。もう寝よう、寝たら何事もなく、また過ごせる筈だ。もう思い返すことも、眠れない日を過ごすこともないだろう。……多分。