1 リヴァイ

未だ染み付く毒を拭い棄てる

お前が俺を切り捨てた事を未だに覚えている。
少し前までは虚しさと憎しみと哀しみと馬鹿らしさと、ゴチャゴチャした感情が渦巻いていたが、今は随分凪いだ気分だ。
幻想と現実を混同していると言いたかったんだろうな。あの時の俺は確かに壊れていた。
好きだの愛してるだの言って繋ぎ止めた割に、連日自分の話はせず俺にばかり日々の報告とお前を楽しませる話題を喋らせて高鼾とは良い身分だなと思っていた。
それこそ俺の認識が間違っていたのだと今なら分かる。
お前はお前で、俺は俺。決して交わることの無い赤の他人が一時同じ方向を目指しただけ。愛や恋は道端に咲いてる花にも劣る取るに足らない戯言だった。酒に酔い過ぎていたのだ。
お前がもうこの世界に戻らないと言って去った割に突然俺を捜していたのには笑ったが。あれもそういう遊びの1つだったんだろうな。
一々反応してる俺がおかしかったんだとおかげで学ぶことができた。
お前の不幸も幸せも願わない。俺はお前に対して何も祈らない。それが正しい判断なんだろう。
酒との付き合い方も分からずに丸ごとのし掛かる奴に情なんかかける価値はない。
感謝はしておく。
花も毒も棄てる。